第126話 ドラゴンの生態
ドラゴン観察開始。
なんだか苦しそうに息をしている以外は特に動きはなし。それにしても、初めて見るドラゴンに感動している。
捻れながらも美しく後ろにカーブする角、立派なキバ、太く逞しい体躯、大きい被翼、長く鞭のようにしなりそうな尻尾。艶のある鱗。
「やっぱりドラゴンかっこいいよな」
「……、あ、そうかお前この前のやつ体験していないんだったか」
「この前?」
「チクセ村のやつ。あれ大変だったんだぞ」
そういえば、洞窟にドラゴンが衝突したんだったか。思い出してみれば、森が大変なことになっていたな。
「ドラゴンって、どんな攻撃すんの?」
「あんときのドラゴン、尻尾で凪ぎ払うわ前足で木を折るわ後ろ足で踏みつけるわ蹴るわ、あとはなんか八つ当たり気味に木に咬みついて空に放り投げてた」
「……わーお」
想像するとやべーな。
「まぁ、風起こされたり火を吹かれなかった分まだマシだった気もするさ」
「そうか、火も吹くんだった」
某アニメでは空飛ぶ戦車扱いされていたもんな。どうするんだろう、アレ。
「色は違うけど、火の飛竜よね。言葉が遣い通じれば良いんだけど」
「ロー・グレーザン?」
「そう。問題はあの汚染が何なのか、だけど。毒に強い竜を汚染するなんて」
あちらはあちらで何か話し合いをしている。
後ろは後ろで猫男だけ残して何処かへ行ってしまった。いや、ジュノ語分かるアウソが残っているから意思疏通できるけど、トルテまでいなくなってしまったのは予想外。
「キリコさん、ドラゴンってどういう生き物なんですか?」
あまりにも置いてけぼり感がするので、ドラゴン博士のキリコに質問してみた。
キリコは一瞬キョトンとしたあと、ああそうか、と言って近くの岩にドラゴンの絵を描く。
「アタシの知っているドラゴンは一部だけど、あのドラゴンに共通しているものがあるから詳しく話すわ。まず」
ドラゴン、竜は古(いにしえ)の生き物、頑丈な一族に属する種族で、その防御力はとてつもない。
そのなかで火属性の飛竜は火を吹き、毒を持ち、空を飛べる特性を持っている。火や熱に強いが、寒さに弱い。
そして殆どが雄。牝はほぼ居ない。いたとしても数百年に一頭みたいな感じ。平均年齢がおよそ300だが、それは数千年生きているのがいるので、普通はだいたい100~150、下手したら20で死ぬのもいるらしい。何でかって?馬鹿みたいに危険なものに突っ込んでいったり勝てもしないのに勝負挑んで殺されたりとか。
竜は弱肉強食の世界なので弱いのは死ぬしかないんだそうだ。
で、100越えたのは人型に成ることができるようになって、
鱗は鎧の役割をしているが、首の喉仏辺りに逆鱗という隙間があり、そこが弱点。でもそこ狙ったら間違いなく相手を殺すまでしつこく追い回されるから気を付けないといけない。
火を吐くと言われるが、実はあれ火焔魔法で、火炎放射機のようにするだけではなく、火の玉を喰らわせてきたりする。それは個体差があるとのこと。そして飛ぶのは、旋風魔法によるもので、少し翼を動かすだけで風が起こる。
毒に強く、また牙から猛毒を発生させる事ができるので、咬まれたら色々終了である。
ちなみに人の言葉を話し始めるのは200からなんだとか。
キリコの説明を受けてオレは思った。
(無理ゲーじゃねぇか)
こんな怪物をどうしろって言うんだ。
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