第14話 クライマックスだな

神を恨みながら、俺は振り向いた。

俺のことを呼び捨てで呼ぶ人物はあいつしかいない。


「あー・・・こんにちは、凜香さん」


「急にどうしたの?気持ち悪…」


さらりと悪罵しながら、凜香は俺の横についた。

ぎこちなく尋ねる。


「あの、、部活は?」


「え?ああー・・・ちょっと今日はサボり。行く気しなくて」


舌を出して彼女は笑ったが、どうしても無理しているようにしか見えなかった。

ここで突っ込むべきか、俺は迷う。

___どうせ言おうと思っていたところだ。

さっさと追及して、別に何もないよと言われ、それで納得してそれを清水に伝えれば、なんとかはなるはずなのに。


どうしたって、それができない。


急に止まった俺のことを、凜香が不思議そうに振り返る。


「どうし」

「悩みがあるならちゃんと言えって」


彼女は目を見開く。

純粋な驚きの中に、葛藤が滲む。

思いのほか強気な口調で、凜香は言いかえしてきた。


「は?悩みなんてないし」


「ウソだろ、そんなの。部活サボるなんて今までなかったじゃん」


「そんなのあるよ、たまには。あんたが知らないだけ」


「そんなことない」


「……帰宅部の湊には分からないでしょ!たまにはやりたくないときだってあるんだってば!」


そう言ってまた彼女はまた無理して笑う。


_____ここで止めておけばよかった。

後々、何度そう思ったことだろう。


「俺、言っとくけど全部知ってるから!凜香が部活内でトラブルに会ってて、動画投稿されたりとかされてるの、全部_」

「何言って」

「ちょっと腕とか見せてみろよ、なんでこんな暑いのにカーディガンなんか_」



「やめてっ!!」



触れようとした俺の手を、凜香が乱暴に払う。

彼女の目尻に浮かんだ涙を見て、ハッと我に返る。


「湊になんて何もわからないんだから、ほっといてよ!!」


そう言いながら手荒く靴を履きかえると、走って玄関を出ていく凜香。

動けなかった。


どうして、こうなるのだろう・・・。

しょげながら靴を履きかえると、クラスラインが鳴った。

何だよこんな時に、と思いつつも画面を見ると、そこには。



『矢野凜香さんがこれから自殺するそうです!みんなお楽しみに(^_-)-☆』



俺はもう、言葉が出ない。









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