第26話 クラス対抗戦オッズ
ポイズンクッキングのおかげ(?)で風邪が治り、そうそうに復帰したレオンはクラス長の役目を遂行する。クラス対抗戦の戦略を練った。基礎魔法のクラスにリィルが編入するのをフォローした。
編入前リィルに、ロリ系でいけ、とアドバイスし、実際中等部ほどのあどけなさに変身したリィルは母性本能をくすぐるかわいさで見事編入デビューを果たした。
瞬く間にクラスの人気者になったロリっ子リィルは他クラスのものを巻きこんで、ファンクラブができるほどの人気をはくした。
「これで当面の心配はないな」
各所に根回しして強引にリィルの編入させたかいがあったというもの。あとチート連合のバジーナをどうにかすれば国防は問題ない。それはおいおい考えるとして。
次はヘミィの番だ。
「こんにちわ。バミラ先輩」
「こんちわ」
レオンは新聞部へと向かった。緑髪の新聞部部長バミラと対面し交渉に乗り出す。アルミスが王族である特ダネは6月号の新聞。それとは別件で話をすすめる。
大賢者の後継者争いを論点に
「バミラ先輩は生徒会長と仲が良いとお聞きしました」
「ああ、旧知の仲だ」
「実は6月号で掲載する予定の大賢者の後継者争いについてです」
「そういえば、彼女も大賢者の弟子だったな」
バミラは部下に淹れてもらったお茶を飲み、堂々とした態度で話を続ける。
「君とはライバルなのかい?」
「ええ。生徒会長は後継者の大本命です。ヘミィと争うことは必須です」
レオンは風邪の間にクラス対抗戦について、魔法学園際について、独自の情報網をつかって調べた。しかし、新入生であるためどうしても上級生に劣ってしまう。そこで情報通のバミラを懐柔しようと躍起になる。
「先輩の知っている限りでいい。生徒会長の情報をください」
「友を売ることはできないね」
「先輩は商売に私情を挟むような人種ではございません」
「たしかに。友情と仕事は別だ。私は友情なるもので彼女に協力しているらしい。君は仕事として私に頼んでいるのかい?」
「ええ。必ずやバミラ先輩の利益になるようにします」
「面白い。確かに学園祭で魔法人形の販売を差し止めするって噂は耳にした」
「――!?」
レオンは一度落ち着き、お茶を飲む。もう攻めてきたか。自分の予想より早いアプローチにびっくりしつつ対策を考える。そして言葉を発する。
「ヘミィのいるギルドに圧力をかけたということでしょうか?」
「ああ、彼女は生徒会長として人望ある素晴らしい人物だが、その反面、非常に冷徹でもある。友情よりも利害関係を優先し、彼女の個人情報を流す……私のようにね」
「わかりました。バミラ先輩が生徒会長の側近であると認めます。情報を全部買いましょう。いくらです?」
「あっはっは。食券100枚じゃ無理だ。1000枚でもあれば……」
「1000枚で買います!」レオン即決。
「え?」
バミラがあきれ顔になる。無理もない。食券1000枚は中古車が一台買えるほどの価値がある。魔法学園の学費、約1年分くらいだ。
「いやいや、ヘミィ嬢ならまだしも、君に払える金額ではないだろう?」
「もちろん後払いです。ギルドの資本金を使います」
「だから魔法人形の販売は指し止められると……」
「秘策があります」
「……ん。聞かせてもらおう」
「クラス対抗戦の賭博オッズです」
「……ほう」
魔法学園の部活動は商売が容認されている。中にはギャンブルで利益を出す部活も存在する。新聞部はその中の一つだった。
「食券という性質上、賭博法には触れていない。私たち新聞部が合法賭博をやっていると知っての提案かい?」
「はい。あなたたち新聞部はクラス対抗戦、個人戦の両方で賭博を開催します。私はそれに百パーセント勝つ算段がございます。もちろん大穴狙いで」
「はっはっは。ギルドの資本金をギャンブルに回して百パーセント勝つから、先払いで食券1000枚分の情報を流せ。つまり生徒会長を裏切れっていうことかい?」
「その通りです」
鼓動が速くなるのを感じる。レオンは冷や汗を垂らしながらバミラの返答を待つ。
生徒会長に勝つため、ヘミィを大賢者にするための食券1000枚は安い。
転生チートのリィルやバジーナを相手取った時と同じくらいの緊張を感じる。
「いいだろう」
バミラの返答はイエスだった。
「本当ですか?」
「彼女を信頼した結果だよ。君に彼女の情報を流そうと、彼女の有利は変わらない。私が裏切っても生徒会長の妨害は防げないし、クラス対抗戦賭博で勝つことはない」
「かまいません。食券1000枚は後払いで必ずやお渡しします」
「食券1000枚を用意できない場合は卒業まで新聞部でこき使ってやろう」
商談は成立した。レオンはバミラから生徒会長の戦略を可能な限り聞き出す。
学園祭、クラス対抗戦、個人戦とヘミィを中心に狙ってくるようだった。
レオンとしては好都合。がんがんヘミィにおとりになってもらおうと考えた。
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