第22話 ハデス=ベルセイヌ⑤
大賢者の弟子として
雑魚モンスターを1000匹倒したり、オリジナル魔法をコピーしたり、SSレアのドラゴンのような強力な召喚キャラを相手にするなど。惑星を破壊するパワーを持つスーパー転生人のリィルを封じて同居した。日本のラブコメみたいな展開もあった。
だからレオンは困惑した。これ以上の経験はまっぴらごめんだ。魔法学園卒業後は微々たる給金をもらい隠居したいのだ。
「魔王になってほしい」
チート連合幹部最後の一人ことバジーナはそう告げる。
レオンの脳内で様々なことが浮かぶ。
魔王とは何をする職業なのか。雑魚モンスターを率いて人間を滅ぼせばいいのだろうか。そもそも
「時間切れね。5秒以上経過。人間は5秒のルールというものがあって何かをやろうとしたとき5秒以上経過すると、できない理由を脳が勝手に探し始めるの。レオンも今現在、魔王にならない理由を探しているはず」
「たしかにちょっと意味がわかりません」
レオンはやっとのことで反応する。それだけバジーナの目力が強力なのだ。
リィルが助け舟を出す。
「バジーナはいつもいきなりで適当なんだよ。嫌がらせの起因も王様を四天王の一人にしよう、とかだったじゃん。無理ありすぎ」
「そうかしら。昭和生まれの頭の固い中年おっさんに紅蓮輝く『ホムラ』を授けようとしただけじゃない」
「いやいや。王様のチート能力が『時間干渉』だからってホムラはない」
「破天荒な性格に『時間干渉』能力。ホムラはぴったり。日本人同士、仲間になってアルテミスを征服したい」
バジーナとリィルから親身な雰囲気を感じる。リィルがレオンの、敵の手に落ちて捕虜になったからといって
その気になればいつでもリィルを助けることができる。
そんなメッセージを受けた。
「僕のレオンをいじめないでほしい。魔王って中二病ワードはやめて」
「いいじゃない。私たちは才能がありすぎた。そして王様に制限を受けすぎた。完璧な中学生が親や担任に抑圧されたら不真面目になるように。私たちチート連合にアルテミスは暇すぎた」
「だから魔王って。バジーナも平民の気持ちになれば日本にいたときの
「興味ない。私は敵が欲しい。魔眼『異界送り』にためを張る
「バジーナさんは脳内まで戦闘狂ですね」
「リアル、ドラゴンボ〇ルに言われたくない。脳筋」
バジーナとリィルの視線が交錯し、静かに火花を散らす。仲がよろしいようで気が抜ける。レオンはやっとこさ会話に加わる。
「アルミス様の安全は確保してほしい。護衛の任務を無視して遊んでいた俺も悪い。バジーナさんの要望はできるかぎる答えます。だから返していただきたい」
バジーナは嬉しそうに微笑み、室内を歩き回る。彼女の癖のようだ。考え事をするときにペン回ししたり、貧乏ゆすりしたりする感覚でゆっくり歩く。
「ありがとう。私の要望は戦うこと。王様を
「わかりました。なんとかします。ちなみにバジーナさんは漫画家の方は?」
「リィルがアシスタントしてる件ね。私に漫画趣味はない。漫画は好きだけれど」
新しい情報をゲット。異世界転生人は漫画家を目指すわけではないが、漫画好きは多いらしい。
「アルミスは王様に強い影響力を持っている。決闘の機会をつくると約束します」
「どういたしまして。そうそう、ハデスが脱獄した件がすでにバレてしまったから、これもなんとかしてくれない?」
「なぜわかるのですか」
「私は魔眼使い。『異界送り』のほかに千里眼や石化まで何でもござれよ」
バジーナの魔眼は少々特殊だった。
片方の開いている眼はピット器官のように赤外線感知や魔力感知に
もう片方の、眼帯している眼は相手に直接影響及ぼす攻撃的な魔眼を秘めている。
リィルが悪ノリする。
「バジーナが眼帯を開くとき、相手は死ぬ」
「ま、脳筋の言うとおりでしょうね」
「リィルもバジーナさんも落ち着いて。ちょっとハデスに用があるんだけど、どうすればいいかな?」
「眼帯を開く。会ってきなさい。最後にアルミスと一緒に解放してあげる」
「え、眼帯?」
バジーナが眼帯に手をかける。片方の黒い瞳とは対照的な琥珀色にきらめく魔眼が顔を出す。異界送り。見られた瞬間、レオンは魅入られるように別世界に送られる。
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