Epilogue
「かーえでー!おはよう!」
「おう、今朝も遅いな」
「これでも早く起きたんだよ!?それに洗濯物も干したし」
「もう11時だ。台風が来て授業が午後からになってなかったら遅刻確定だったな」
「ひどいよー!!!」
誕生日デートの後から、柊香の楓に対する懐き度が上がった。詳しくいうと、人前でもいちゃつくことに少し遠慮がなくなった。お陰で楓と、それを見せつけられる花梨の精神状態が軽く危うい。
「ほら、早く食べて雨が降り出す前にいけよ」
「うん!」
そう言うと、柊香は楓が用意した朝食に飛びかかる。あれから、楓もいろいろ試行錯誤して、短時間ではあるが、自力で実体を維持することができるようになった。今では彼氏というかなんというか、保護者のような感じになっている。呼ばれなければ学校についていくこともない。
「うん、いつも通りおいしい!ありがとう!」
「なんてこたねえよ」
「またそう言う…素直に褒められておけばいいの!l
「はいはい」
軽く流しながらテレビをつけ、ニュースを見る。今日は台風の接近で外は風も強い。4時ごろからは本格的に降るようだ。
「じゃあ行ってきます!降りだす前に洗濯物取り込んでおいてね!」
「任せとけ」
「じゃあ…行ってきます…」
チュ…
柊香からの軽い口づけ。あれから出かけるときはいつもこうしている。こうしていれば、一緒にいなくてもお互いを感じられる気がするんだとか。もしかしたら、楓が自力で実体を保てることにも少し関係しているのかもしれない。
「じゃあ、気をつけて。行ってらっしゃい」
「うん!」
柊香が見えなくなるまで見届けると、楓は部屋に戻り、スマホで花梨と蓮に『今日もあいつを頼む』とメッセージを送る。短時間でも自力で実体が保てるようになったので、買ってみたのだった。もちろん、柊香とお揃いのi◯oneだ。カップル用のペアルックケースなるものを付けてはいるが、気を抜いて体が消えてしまって落としてしまうことがたまにある。花梨や親戚からはバカップルだと笑われるが…
「これでいいんだ………。よし、今日も1日頑張るか!」
今日もタマシイだけの彼氏の1日は平和だ。
ータマシイ彼氏(ショートVer)ー 完
タマシイ彼氏 ちやま式 @chiyamax
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