スライムに寄生されまして。

ちびまるフォイ

それまで俺ってだれが動かしてたの?

あるとき、スライムに遭遇した。


「ははは、こんなの剣のサビにしてやるぜ!」


あっという間にスライムを瀕死に追い込んだのはよかったが、

追い詰められたスライムは俺の体にくっついてきた。


「うわっ! くそっ! 離れろ! この!」


ぶよぶよした体は皮膚の隙間をぬって体に密着していく。

そうして気が付いたときにはもう一心同体となっていた。


「体にモンスターがくっついているんですよ! 助けてください!」


「最近のモンスターはやぶれかぶれでとんでもないことしますね……」


「なんとかはがせませんか?」


「ええ、でもかなり深くくっついてるでしょう?

 今無理にはがしてしまうとあなたも死んでしまいますよ」


「じゃあどうすれば?」


「あなたの体から栄養をとってるわけですから、栄養与えなければいいんです」


「なるほど……」


「というわけで、これから毎日かき氷で生活してくださいね」


「辛すぎませんか!?」


「これも治療のためです」


スライムをはがすためにかき氷生活がはじまった。

飽きないようにといろんな味を用意したが3食も食べればすぐに飽きた。

なにせ食感がすべて同じ。

これをどう楽しく食べればいいんだ。


「うう……辛い……」


ストレスのせいなのか、この食生活を続けているせいなのか

体はどんどん細くなりスライムもげっそりとやせていく。


鏡の前にたつと、自分の顔がげっそりとこけているのがわかった。


「こ、これくらいでもういいだろう……」


もう栄養失調一歩手前まで弱らせたところで医者のもとへ向かった。


「だいぶ弱らせましたよ……これではがせますか……」


「はい。もう十分です。まかせてください」


医者に麻酔を打たれて徐々に意識が遠くなっていく。

目が覚めたときにはきっときれいな体に……。


 ・

 ・

 ・


「ん……ふああ。手術、終わったのか」


目を覚まして真っ先に体を触った。

あのぶよぶよの感触はないはず……。


「あれ!? スライム残ってるんですけど!?」


「おや、目が覚めましたか」


「先生! どうなっているんですか! 思いっきりスライムまる残しじゃないですか!」


「スライム? なんのことですか?」


「俺の体にくっついていたやつですよ!」


「いやあなたの体に寄生していたものは取りましたよ」


「はぁ!? だって今も俺の体に……」


医者は奥からガラスケースを持ってきた。

ガラスケースには俺の首が入っている。


俺の頭には切断面の首から妙な触手がのびていた。




「いやぁ、あなたの頭を乗っ取っていたモンスターを

 取り外すのは本当に苦労しましたよ」

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