第3話快晴
高校、大学と順調に進んだ私は、就職活動をしていた。今の世の中。どこでもいいから、少しでも給料が高く、残業が少ないところに就職できればいいと、考えていた。
私の入社した会社は素晴らしかった。給料こそそこまで高くはないが、安すぎることもなく、仕事量に見合った分だけもらえた。それに、残業などはほぼなく、世間一般にいわれる「ブラック企業」とは、程遠いものだった。私は人事部で勤めるようになった。
入社して半年が過ぎて随分と仕事に慣れてきた頃、私はある想いを胸に抱いていたのである。それは「恋」というものだった。相手は、社内でもとても人気があった同世代のマイさんだった。社内恋愛などよくある話でだ。
私はある日マイさんを夕食に誘った。プロポーズをすると決めていた。私は私が思う最高のシチュエーションでプロポーズをした。結果はすぐに出た。「ごめんなさい」この、ひとことだけだった。
私の初恋は虚しく、そして儚く散っていった。
それから数年の月日が経ち、私はずっと独り身でいた。恥ずかしいことにあの初恋から立ち直れなかったのである。しかしある女性が私の側にいてくれた。彼女はのちに私の妻となった人だった。
彼女は非常に明るく、そして優しかった。今になって彼女は非常に素晴らしい女性だったと思う。しかし私は彼女からプロポーズを受けるまで一度も彼女に「恋」をしたことがなかった。
私は彼女に「恋」をするまでに3年という時間がかかった。
しかしその先は非常に速かった。半年もしないうちに私たちは夫婦になったのである。結婚生活は幸せだった。1度たりとも別れたいと思わなかった。このような幸せは生まれてこのかた味わったことがなかった。
結婚してすぐのこと、私は役職がどんどんと上がり、給料もどんどんと増えていった。そして彼女と私の間に1つの新しい命を授かった。
私の人生は、雲ひとつない快晴の日の空のように幸せが広がっていた。
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