第15話 生真面目皇女と気まぐれ皇妃

 無駄に広い部屋に豪奢な応接セット、部屋の端々には溜息が出る様な美しい美術品が並べ立てられて、壁には有名な画家の傑作が飾ってある。

 しかしそれらの素晴らしい芸術作品に囲まれても私の気分は晴れない。

 この部屋にある豪奢な造りの机に頬杖をついて、私は溜息を吐く。そして、机に築かれた決裁文書や報告書の山を視界に入れると、もう一度盛大に溜息を吐いた。


 私の名はベルナデット・レリア・ファビウス。ファビウス帝国の第五皇女にして、ここの領主を助ける補佐官という役職を拝命している。

 私は昨日、この街の代官をとある事情で馘首クビにした。その事については一切の後悔は無かったが、後に残された書類の山が問題だった。


 本来、領主たる母様がいれば、代官という役職は不要だ。しかし、私はおろか母様も統治の経験が無く、その道のベテランの補佐が必要という事になり、引き続きその男に代官を続けて貰うつもりだった。しかし、上げられてきた決裁文書や報告書を母様と共に精査して行く内に気が変わった。


 私は魔獣の出現件数と、武器や防具の消耗頻度との矛盾点に気付き、代官に説明を求めた。代官は平然と嘘を並べて弁明していたが、母様にあっさり嘘を見抜かれて、顔を青くして狼狽えている姿は滑稽だった。

 しかし、隠し持っていた書類と、処分しようとしていた書類の中で見つけた、周辺の集落へのオークやゴブリンの襲撃の報告や、森の中で発見されたそれらの大規模なコロニーの報告も、握り潰していたのには思わず閉口した。


 魔獣のスタンピードに繋がるような重大な事案を、何故放置して対策しなかったのかと代官を問い質した。しかし代官は、聖魔戦争による人手不足を理由にして、のらりくらりと言い逃れをする。

 傭兵ギルドや冒険者ギルドに協力を仰げなかったのかと尋ねるが、向こうの都合で協力して貰え無かったと言うだけで、理由については知らないとの一点張りで、なかなか埒が明かなかった。

 業を煮やして傭兵ギルドと冒険者ギルドに、直接事情を聴くべく訪ねて行って、初めて代官と国境警備隊長の不正を耳にした。直ぐに宮殿に取って返して代官を問い詰めると、観念してようやく白状した。


 この場で手討ちにして仕舞いたかったが、母様に今後の為にも即刻帝都に送り返して、裁きを受けさせる事にした方が良いと説得された。

 ランスには、とんぼ返りをさせて悪いと思ったが、きちんと裁きを受けさせる為にもミュール伯爵の人脈を頼る他無かった。手紙に不正の証拠や証言を添えてランスに託して、ミュール領経由で帝都への代官の護送を頼み、管轄外の国境警備隊長に付いては、兄のアドリアンに密書を送り、後の処置を彼に託す事にした。


 私は未決文書の山にもう一度目を遣ると、小さく溜息を吐いて独り言ちる。


「はぁ、せめてこれだけでも処理させておくべきだったわ」


 その文書の山は、日々上がって来るこの街の運営状況の報告書だった。前任の代官はこれを半年間も放置していた。私は一体何をしていたんだと溜息を吐きながら思ったが、このまま放置する訳にも行かず、書類を手に取って順番に決裁を始め、決了の文書と保留の文書を分けながら処理を進めた。


 まだ書類の処理が一割も終わってないというのに、昼食の準備が終わったとメイドが告げに来た。私は昼食を摂る為に一度ペンを置いて、メイドの案内で食堂に行く事にした。

 食堂までの廊下では擦違う衛兵が次々と敬礼をするので、私も答礼を返しながら廊下を歩き進む。そうしてしばらく歩くと食堂となっている部屋の前に辿り着き、案内のメイドが食堂のドアを開く。

 食堂の中は長いテーブルが置いてあり、テーブルの周りには多くのメイドが、そして壁際には護衛の衛兵が数名控えていた。

 レリアは、メイドに促されるままに席へ着いてふと気づく、テーブルの向こうの皇妃の席に母様の姿が見えなかった。

 私は母様が席に居ないのに嫌な予感を感じ、席の傍に控えているメイドに尋ねた。


「母様はどうされたのかしら?」


 すると傍に居たメイドでは無く、メイド長が代わりに答えた。


「ジュディット殿下はお部屋に居られませんでした。先程から宮殿中を探しているのですが、一向に見つからないのです。ベルナデット殿下は何か心当たりが御座いませんか?」


 メイド長がそういうのを聞いて、私はまたやられたと思った。心当たりを聞かれると答えられない事は無いが、それが即ち彼女を探し当てると言う事ではない。


「メイド長、母様の事は一先ず置きましょう。後で騎兵団長へ内密に捜索を依頼するわ。私としてもこの城中の衛兵を総動員して、大騒ぎするのは本意じゃないしね」


 しかし、彼女がそう言った処で、衛兵やメイドの不安は完全には払拭できない。万が一にも皇妃に何かあれば、彼らが責めを負わねばなら無いからだ。

 そこで私は、皆の不安を打ち消す様に断言する。


「母様の事なら心配要らないわ、あの人を害せる者はそうそう居ないから。遅くとも明日の朝までには帰って来て、ケロリとした顔で朝食を要求してくるわよ」


 そう言いながら私は、取り敢えず母様が無事帰ってきた時のお仕置きを、どの様にするかを考えた。



 ***



 通りを、歩いている男たちが次々と振り返って、一人の美女に視線注いでいた。注がれた当の本人は慣れているのか鈍いのかは判らないが、素知らぬ顔で大きく伸びをして、帝国人には珍しい蒼銀の髪を揺らしながら呟いた。


「う~ん………、籠の鳥は楽じゃなかったわ~。――――御付きの居ない解放感は、何物にも代えがたいほど格別よね」


 彼女の名はジュディット・エステル・ベルメール・ファビウス、帝国の第六皇妃その人であり、現在のベルメール領の新領主にしてベルナデット皇女の母親でもある。

 彼女は宮殿暮らしに飽き飽きしていた。自由に外へ出る事も出来ない、宮中ではトイレに行くだけでも御付きの者がゾロゾロ付いてくる様な落ち着かない生活を、十年以上も強いられていた。

 彼女にとって、ここベルメール領に飛ばされる事は真に願ったり叶ったりだった。

 ここは人手も少なく、いちいち御付きが付いて回らないからだ。そして何よりも都合が良かったのは、ここの宮殿の警備は皇城の警備と比べるとザルも同様で、彼女にとって抜け出す事など朝飯前だった。


「さて、一先ずは冒険者ギルドね」


 彼女は最初に行くべき場所を呟くと、大通りをそのまま広場まで歩いて行った。

 広場に到着すると、エステルは一先ず辺りを見回して、直ぐ傍にあった野菜売りに声を掛け、冒険者ギルドの場所を聞いた。野菜売りは東の大通りを指差し、彼女にギルドの在る場所を教えた。

 エステルは広場を見物する様に、東の大通りへ向かう。広場は其れなりに活気があったが、極端に人族が少なく戦争での影響で帝国人の人口が減っている事を如実に物語っていた。


「馬鹿な戦争の影響は深刻ねぇ、簡単に乗せられたバカ殿もそうだけど、セレーネ教会や馬鹿貴族共も罪な事をしてくれたものね。この落とし前、どう付けるつもりなのかしら」


 エステルは不快気に呟くと、冒険者ギルドへの道を急いだ。

 暫く東の通りを歩き進み、冒険者ギルドの前に辿り着く。彼女が質素な扉の前に立って、扉を開けようと手を差し出した瞬間、扉が開いて中から男が飛び出して来た。

 お互いが間一髪でかわしたが、エステルは驚いて思わず「キャッ」と短い悲鳴を上げた。


「すみません! お怪我は有りませんでしたか?」


 ぶつかりそうになった男は、彼女から一歩引いて頭を下げて詫びた。

 彼女は男の礼儀正しさに感心をしながら、彼のお詫びに応える。


「大丈夫よ、貴方も避けてくれたし傷一つ無いわよ。それよりあなたこそ怪我はなかったの」


 エステルはそう言いながら、男を観察する。彼女は黒い髪に黒い瞳を持ったその男に見覚えがあったし、自分の娘がご執心だった男の容貌にも一致している。彼女は更にその男に声を掛けようとしたが、男の方が先に口を開いた。


「ええ、私も大丈夫ですよ。それより申し訳ありませんが、急いでますので失礼します」


 男はそう言ってそそくさと、その場を後にした。 すると中からギルドの事務員らしき女性が飛び出して来て、先程の男に声を掛けた。


「絶対ですよ~! 待ってますからね~!」


 エステルは彼女の必死さに、色バナか恋バナでも聞けそうな予感がして話しかけた。


「どうしたの、貴方の彼氏?」


 すると彼女は顔の前で手を振って笑いながら答えた。


「いえいえ違いますよ! 有望そうな新人に成りそうだったので、声を掛けてみたんですけど、見事に逃げられました………」


「ええ、とても有望よ。彼を一度ミュールで見かけたけど、剣を一振りするだけでオークを真っ二つにしていたわ」


 エステルがミュールの屋敷を抜け出している時に見掛けた、彼の武勇を口にしているのを聞いた女性は「えっ?」っと言って悔しそうに呟く。


「くっ! 逃した魚は大きかったか………」


 エステルは彼女の必死さが気になって尋ねた。


「新人を勧誘しないといけない程、ギルドは人手不足なの?」


「違いますよ、冒険者の方が不足しているんですよ」


「冒険者不足はそんなに深刻なの?」


「ええ、かなり深刻ですよ。今、中に居る冒険者の方も、知り合いに呼び出されたと言う方で、うちの支部を中心に活躍していると言う訳じゃ無いんですよ」


「ひょっとして、ナーディアが来てるの?」


「よくご存じですね。今、居られる方はクロフベイン支部のジラルド様、ナーディア様、テオドール様の御三方ですよ」


 エステルは、その三人の名前を聞いて懐かしさを感じた。

 この三人とあともう一人で、彼女が後宮に上がる前はよく命がけの冒険をしたものだ。疾風のジラルド、幻惑のナーディア、鎧砕きのテオドール、得物殺しのベネデッタ、そして彼女は蒼銀の雌豹エステルと呼ばれ、五人で大陸中を暴れ回ったものだった。

 彼女は昨日の内に駆使くし(飛脚の様なもの)を使って、クロフベインの冒険者ギルドに手紙を送っていたのだが、思った以上に反応が早かったことに驚いた。かつての仲間も少し歳を重ね、それぞれの生活がある筈なのに、三人も集まってくれたのだ。それも手紙を受けてから直ぐに反応しないと、こんなに早く来る事など出来ないはずなのにだ。

 エステルは嬉しさのあまり、わき目もふらずにギルドの事務所に飛び込んだ。

 事務所内を見回し、面積の半分を占める酒場のテーブルの一つに三人が顔を突き合わせて座っているのを見つけると、そのテーブルに駆け寄り懐かしそうに声を上げた。


「ナーディア、ジラルド、それにテオドール! 三人とも久し振りね、ほんとに懐かしいわ………、元気にしてた?」


 すると、三人の中でナーディアと呼ばれた女性が、それに応じてエステルに向けて声を掛けた。


「私たちは御覧の通りよ、それよりエステル! 貴方こそ元気だったの? 帝都で突然姿を消した時には皆して随分心配してたのよ」


「ごめんなさい! 詳しくは話せないんだけど、色々あって、貴方たちには連絡の一つしないで心配ばかりかけて………でも、私もこの通り元気よ」


 エステルは、今までにない殊勝な態度で、彼女の旧友達に詫びた。

 皇城での騒動の後、直ぐに後宮に入れられて、その経緯からも帝室の醜聞が外部に漏れるのを防ぐため、彼女達と自由に連絡が出来なくなってしまった。別れの言葉も告げられずに連絡を絶ってしまった事を非常に心苦しく思い、何時もマイペースの彼女には珍しく、三人に対しては殊勝に成らざるを得なかったのだ。


 ナーディアは未だ且つで見た事の無い、エステルの殊勝な態度に毒気を抜かれて、それ以上の追及をする気にはなれなかった。しかし、ここに呼び出された理由だけは聞いておかなければいけないので、更に話を続けた。


「まあいいわ、これ以上の追及は無しにしてあげる。それより、立ったままは落ち着かないでしょ、取り敢えず一杯やりながらにしましょうよ。貴方はエールで良いわね?」


 ナーディアがそう聞いて来たのでエステルが頷くと、カウンターに向って声を掛けた。


「マスター! エール四つお願い!」


「はいよ! エール四ね!」


 この酒場のマスターはナーディアの注文を聞くと、数量を復唱して、カウンターの下からエールジョッキを四つ取り出して、それぞれにエールを注ぐと、ジョッキを左右の手で二つずつ持って、彼らのテーブルに運んできた。


「エール四つ、お待たせ!」


 マスターがそれぞれの目の前にエールの入ったジョッキを置いて行き、空になったエールジョッキを回収して、再びカウンターまで戻って行った。それをナーディアが確認すると、再び切り出した。


「それじゃあ、こんな所に呼び出した理由を教えて貰えるかしら。」


「ええ、勿論よ! ………それより、ベネデッタはどうしたの? ………まさか、死んだなんて言わないわよね?」


 エステルは最悪の返答も覚悟していた。彼女達の稼業は、言わば死と隣り合わせの世界である。一昨日共に戦った戦友の、昨日の訃報を聞く事など日常茶飯事なのだ。

 しかしナーディアからの返答は、彼女にとっては意外かつ良い知らせだった。


「ベネデッタは、そこに居るテオドールと結婚して、子育ての真っ最中よ。言わば育児休業と言うやつね、今頃は家で赤ん坊にお乳をあげて居る最中じゃ無いかしら?」


「へ~ぇ、おめでとう! テオドール、ベネデッタとは上手く行ってる?」


「ああ、上手く行ってるぞ。今回は子育てが忙しくて、来れなかった事を残念がってたぞ。また子供を見にがてらに顔を見せてやってくれ。彼女がこの中で一番心配していたからな」


「ええ、そうさせて頂くわ。………さて………、気分の良い話の後で悪いんだけど、これからお願いする事は貴方たちを不愉快にさせるかも知れないわ。それでもお願いしなければならないの」


 今迄のエステルからは想像できない程、遠回しに言葉をこねくり回していると、ナーディアがしびれを切らせて先を促した。


「あなたらしくない回りくどい言い回しね、大体想像は付くけど率直に言って欲しいわ」


「ごめんなさい………。私のお願いと言うのは、このギルドを通して出る魔物退治に参加してほしいの」


「そんな事ぐらいで貴方が恐縮する理由がわからないわ。ただの魔物退治なら幾らでも引き受けてあげるわよ」


「ええ、単純にそれだけなら、貴方たちにここまで気を使わないわ。問題はこの依頼がベルメール領主から出ているからなの」


 その依頼主の名を聞いた途端ナーディアだけでなく、他の二人も顔をゆがめた。

 エステルはそんな様子の三人を見て、小さく溜息を吐いて弁解を始めた。


「貴方たちがそんな顔をする理由が分からない訳では無いわ、ここの代官がやらかした事は本当に許し難い事だったから………。でももう大丈夫、その代官はその罪を新領主と共にやって来た補佐官に暴かれて馘首クビになったわ」


 すると聞こえていたのか、横からギルドの受付担当のミアンが、遠くにあるカウンターから会話に割って入って来た。


「あ! 私その補佐官なら知ってます、私よりもずっと若くて綺麗な方でした。私、彼女に聖魔戦争関係で行われた、ペナルティーの徴収の件とその顛末を話したんですよ。彼女ったらそれを聞いた途端に顔が青くなったと思ったら、直ぐに怖い顔に変わって飛んで帰って行ったわ。で、その後直ぐに代官の更迭を知らせる御触れが出たのよね~」


 エステルは彼女の話の続きを知っていた。その怖い顔で飛んで帰って来て物凄い剣幕で代官に詰め寄り、反省の全く見えない告白を聞かされた途端に剣を抜き放った。恐らくエステルが止めなかったら、代官は手討ちになっていたかもしれない。


「へえ、未だかつて無いほど痛快な話ね。中々やるじゃない? その新領主は!」


「まあ新領主と言うよりその補佐官よね。でも彼女、優秀なんだけど怒りんぼなのが玉に瑕なのよね。あの後も代官を手討ちにするって聞かなかったの、宥めるのが大変だったんだから………」


 微に入り細に入り事情に詳しすぎるのを不思議に思ったナーディアが、彼女に対して沸き上がった疑問をぶつけた。


「エステル、その補佐官と親しいの? 今の言葉を聞いていると、物凄く近しい所にいる感じに聞こえたんだけど………」


「あ、ええ。………まあ、古くからの付き合いでね、いつもはお世話になりっ放しで迷惑ばかりかけてるのよ。でも彼女、根が生真面目過ぎて時々暴走しちゃうのよ、その時ばかりは流石に私が止め役に回るのよ」


 ナーディアは彼女が少し言葉を詰まらせたのに多少の違和感はあったものの、いつも適当でマイペースな彼女が、生真面目な友人に迷惑ばかりかけてる姿が容易に瞼に浮かび、以前の自分と彼女の関係を思い出してしみじみと感想を語った。


「へえ、貴方とは正反対なのね、以前の私との関係を思い出して妙に納得したわ。でも、そうだからこそ良い関係を続けられるのかも知れないわね」


「ええそうなのよ………。だから………お願い! 彼女を助けるためにも、貴方たちにも一肌脱いでほしいのよ」


 エステルは手を合わせて三人に向ってお願いした。


「まあ、事情は理解したわ。そう言う事なら私は協力を惜しまないわよ、気苦労の多いあなたの友人の為にもね」


 ナーディアはそう言うと他の二人に目配せして、意見を求めた。


「俺もナーディアと同じ意見だ、帝国は嫌いだがエステルの面倒見てくれている奴なら信用できる。後は条件だけだが、そういう点は人一倍うるさいエステルなら、変な話にはならんだろうしな」


 そう言いながらジラルドはジョッキを傾ける。テオドールはと言うと、腕を組んでジラルドの意見を聞きながら頷くとジラルドに続いた。


「こっちは子供が出来たばかりで色々物入りだし、ベネデッタも子供の面倒を見るのに手一杯で、暫くは俺の収入だけで何とかしないといけないからな。条件が真面まともなら何でも引き受けるぞ」


 テオドールはそう言うと、腕を組んだまま椅子の背もたれにもたれかけた。

 ナーディアは二人の意見を聞き、エステルの方を向くと前の二人に続けた。


「そう言う訳で二人とも問題無いそうよ。それじゃ早速で悪いんだけど、詳しい話を聞かせて貰えるかしら?」


 ナーディアがそう言ってエステルに話を振ると、彼女は前任の代官の失態から、この街に迫る危機に至るまでを、彼女達に掻い摘んで説明を始めた。

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