第三章 気まぐれ皇妃の統べる都市

第13話 城塞都市ベルメール

 

「ほおー……、でかい城門だな………」


 目の前に聳え立つ大きな城門を見上ながら啓悟は感嘆かんたんの声を上げると、横に居たイーリスは具体的な比較対象を用いて感想を漏らす。


「……王都アシュテナの城門にも匹敵する大きさ………」


 横でそれらを聞いていたアルマは、この城門と城壁に囲まれた城塞じょうさい都市ベルメールの概要を語る。


「この都市は、北部小国家連合の一角を占めるエルダード公国への玄関口で、交易によって栄えています。東へ四クレマ (一クレマ約一キロメートルに相当)進んだ先の国境にベルメール要塞ようさいとクロフベイン要塞があります。そこから更に東へ四クレマ先に進んだ所が、エルダード公国の商都クロフベインです」


 彼女は学術都市エアハルトで研究者の助手をしていた時に、研究材料を求めてこの都市に訪れた事があった。その為この都市については多少の知識がある。


「この都市は帝室直轄なので、現在の所は他の貴族領などと違い、圧政などとは無縁です。しかし帝都同様に不正が横行しているので、小役人がよく袖の下を要求してきます。だだし、それを上手く利用して立ち回ることが出来れば、ここで過ごすのに不自由はなさそうですよ」


成程なるほど、そうなると資金調達をマメに行う必要があるか………。ところで、この都市の領主様は皇子様か皇女様なのか?」


「いえ、現在は空席です。それに候補者は、子女だけでは無くきさきも含まれます」


「ん? しかしそれだと外戚が権勢をふるう事には成らないか?」


 候補者に皇妃も含むという意外な答えに、啓悟は疑問を感じて質問する。


「ええ、勿論もちろんその危険があるのは確かですが、その危惧きぐは実子でも同じ事が言えるので、補佐官を始めとした執政者は親衛隊から直接派遣するか、皇妃や皇子の実家からの影響を受けない者を厳選するそうです」


「まあ、それなりには考えてあるか………。で、空席の現在はどうなってるんだ?」


「はい、領主が空席の時は代官を置いて、執政の代行をさせます。しかし帝都からの監視が行き届かないせいか、歴代の代官は不正する者が多く、現在の代官も色々と黒い噂が付きまとっている様です」


「悪代官か……。扱い易い奴だと良いな。しかし、流石にその突っ込んだ情報は情報部からもたらされた物だろ?」


 代官への感想と希望を口にした啓悟は、彼女の説明にある情報の出所を推察してアルマに尋ねる。


「ご明察の通りです。流石にこの街に過ごしただけでは、そこまで分かりません」


 その事をアルマが素直に認めると、啓悟は一番の懸念を払拭する為の質問をした。


「ところでアルマ。この街での異種族の扱いはどうなんだ?」


 啓悟の質問に逡巡しゅんじゅんしながらも、アルマは答えた。


「交易都市と言う事もあって、異種族には寛容でした。ただ、過日の戦争で、私達エルト族への印象ははなはだ悪いかも知れません」


「ガストン爺さんの街ではそうでも無かったんじゃない?」


「いえ、あの街は例外です。街を危機から救ってくれた英雄に向って、石を投げつけるなど貴方には出来ます?」


 まああの場合は、尊敬と恐怖、二重の意味で出来なかっただろうと啓悟は思う。


「それもそうだな、それじゃ二人には悪いけど、街に付いたら早速宿を取って引きこもって貰うか。人前に出る時も、雨具用に出したフード付きの外套で、頭を隠して貰うしかないな。――――全く、真夏で無くて良かったよ」


「……ヒキコモリ………」


 イーリスは啓悟の指示を不満に思って呟きながらも、荷物から外套がいとうを取り出して羽織はおると頭にフードをかぶり、アルマもまた同様にして外套を羽織る。

 啓悟は二人の準備を確認すると、城門に向って歩みを進めた。


 城門で、衛兵に呼び止められる。


「そこで止まれ!」


「三人とも手形を見せろ!」


 二人の衛兵がそれぞれ声を掛けて近づいて来た。


 三人はそれぞれが持っている、金貨袋の中に入っていた手形を衛兵に差し出した。

 衛兵は差し出された手形を食い入るように精査し、やがて本物と確認すると手形をそれぞれに返した。


「通ってよし!」


 衛兵が通行を許可すると、三人は城門を潜り抜けた。


「ミュール殿が手形を、金貨袋に入れていてくれて助かりましたね」


 アルマがそう言って、ガストン・ミュール伯爵の厚意に感謝していると、啓悟が別の感想を呟く。


「本当に喰えない爺さんだよ。こんな所にまで気が回るなんて、俺たちの正体も薄々感づいてるんだろうな」


「私たちの事が全てバレたの?」


 その呟きにイーリスは少し不安を見せて尋ねたので、しまったと思った啓悟は、少しでも彼女の不安を取り除こうと、普段は絶対言わない楽観的な事を口にする。


「いや、たとえイーリスの素性に気付いても、あの爺さんなら知らん顔を決め込むだろう。もしかすると、もう知った上でスルーしているのかも知れないな。確かに勘で判断するのは危険だが、あの爺さんは大丈夫だと何かが囁き掛けて来るんだよ」


 第六感とでも言うのだろうか、最初に出会った時にそう直感した。最初は老人の特殊な能力を疑ったが、その影響の及びそうに無い所まで来ても、その感覚はせていない。

 啓悟自身はオカルトの類は余り信じないが、気休めでも良いから根拠のない第六感に頼る事にした。だがイーリスにしてみれば、啓悟は女神からの使いである。その彼が言う事はご神託並みに信頼が置け、その言葉は彼女に充分な安心を与えた。


「それを聞いて安心出来た。それで啓悟は、これからどうする?」


 この先の行動をイーリスに尋ねられた啓悟は、二人に予定を伝える。


「俺は街で情報収集をする、二人は宿屋で待機してくれ。この街に付いていろいろ把握しないうちに外に出て、取り返しのつかない事態になるのはけたいからね」


「アルマ、悪いけど知ってる宿屋があったら案内してくれないか?」


 啓悟は彼女に宿の心当たりを尋ねて、彼女に案内を任せる。


 アルマは二人の先頭に立って、大通りを中心地に向かって歩き始めた。

 流石に帝国屈指の交易都市だけあって、大通りには様々な店が並んでいた。その大通りを抜けると大きな広場に突き当たるが、アルマ言うには様々な露店が並び市場の様に賑わっている筈だった。しかし出店している出店もまばらで、隣国から来た獣人等の異形種ばかりが目立っていた。


 街は広場を中心に、西に行けば帝都への西門、東へ行けば国境への東門、この東西の通りには、宿兼大衆酒場が一軒ずつと武器や防具を扱った店がのきつらねる。それに西には傭兵ギルド東には冒険者ギルドがある。

 南側入り口から中程に向って高級商店街、さらに奥に行けば上流階級の居住区が続き、突き当りに宮殿がそびえ立つ。

 北側は、南側の様に大通りは無く、北東、北、北西と三本の通りがあり、北西は住宅街が延々と続き、北東は手前に高級酒場や宿が軒を連ね、中程に行くに従い風俗系の酒場に娼館と続く、そして更にその奥は最下層と呼ばれるスラム街になっている。

 北は手前側に食料や生活用品店、などがあり、一番奥に異形種専用の酒場兼宿屋数件と異形種専用の居住区がある。

 この街は全体的に真円に近い円で描かれていて、南半分が主に上流階級、北半分が庶民の区画と二つに分かれていた。


 アルマは北に延びている通りに入ったので、二人も彼女の後に続いた。

 この北通りは他の場所と違い、多くの人で賑わっていた。しかし、そこに歩いている人々は、尻尾があり頭に犬や猫の耳を生やした獣人系の人や、爬虫類はちゅうるいを思わせる目に、手足の先の部分がうろこで覆われた体を持つ、トカゲ系と思われる人に、小柄でずんぐりしたドワーフと言う亜人ばかりが行き来していた。だが、帝国人の姿は頻繁ひんぱん警邏けいらしている帝国の衛兵以外は見掛けなかった。

 この通りは主に他国からの旅行者や、出稼ぎの者が滞在する区画と言う事もあるが、ここ以外の場所同様帝国人の若者の数が、極端に少なくなっている為だろう。


 衛兵達は啓悟たちの存在を、余り意識していない様子だった。アルマの説明によると基本的にここの衛兵は、迷い込んだ帝国人を保護するのが主な目的だという事だ。お陰で三人は、何の障害も無くアルマの案内する宿屋に辿たどり着く事が出来た。


 宿屋の入り口の前で足を止てその建物を見上げる。その建物はどっしりと構えた二階建ての建物で、外壁は完全な石造りの立派な外観だった。

 啓悟は入り口に掛かる『たけ虎亭とらてい』と書かれた看板を見て、縦縞模様たてじまもよう法被はっぴを着たオジサン達で一杯になった酒場を、思わず想像してしまった。


 宿屋のドアを開き、中に案内されると広い空間が広がっていた。この宿屋の一階は酒場になっていて、多くのテーブルが並べられていたが、席は昼下がりと言うのにほぼ満席だった。奥にはカウンター席もあるようだが、他のテーブルとは違い、ガランとしていた。


 猫耳頭に長いしっぽの少女が近づいて来て、声を掛けて来た。


「いらっしゃいませ~、ただいま満席になっております~。カウンター席ならご案内出来ますが如何いかがでしょうか~?」


 猫娘は愛想のよい笑顔で挨拶してきた。


 啓悟は反射的に「カウンターで」と答えてしまうと、「カウンター席、三名様ご案内~」と声を上げて、「ささっ、こちらへ」と啓悟たちをカウンター席へ案内した。

 啓悟達は猫娘の後に続いて、席へ案内されると、先ず啓悟が座り、その隣へイーリスが座ると、アルマは迷わずにイーリスの横に座った。


「マスター呼んできますね~」


 嬉しそうに厨房ちゅうぼうに消えようとする猫娘を啓悟が呼び止めた。


「ちょっと待て、宿泊も合わせて頼めるか?」


 啓悟がそういうと、足を止めた猫娘は「賜りました~」と言って厨房の奥へ消えて行った。


 暫くすると、厨房の奥から大きな人影が姿を現す、その人影は優に二メートルは超えるだろう。薄暗く奥が明るいため逆光になって、正体は分からない、やがてその人影は厨房の入り口から姿を出す。


 啓悟が彼を初めて一目見た感想は『虎』だった。

 二メートルを超える巨体の上には、虎その物の頭が乗っていた。眼光鋭いその顔は、そのままでも十分迫力が有るのに、眉間みけんから目、ほおに架けて大きな傷跡があり、迫力に拍車はくしゃを掛けていた。ただ、身に付けている服は街の人たちが着けているのと大差が無く、更に誰の趣味かは知らないが、ファンシーにデフォルメされた虎の意匠いしょうほどこしてあるエプロンをかけて、頭には申し訳程度にバンダナを付けていた。


(バンダナじゃ駄目だろう。あれだけ顔が毛だらけじゃあ目出し帽でもなきゃ毛の落下防止なんて無理だろうに)


 迫力満点の虎の大男を前に、そんな場違いな感想を、啓悟は思い浮かべていた。


 虎の店主は、その迫力のある顔を向けて値踏みする様な目で、三人を眺めまわすと、一言、頭を隠してる二人に言った。


「取り敢えず、エルトの嬢ちゃん達はフードを取りな、ここじゃあそいつは不要だ」


 そう言われて二人ともフードを取ると、虎の店主はアルマに視線を送る。


「嬢ちゃんは以前に見た事があるぞ。確かアルマと言ったんじゃないか?」


「ええ、お久しぶりです。ゴードンさん」


 アルマはゴードンに尋ねられると、懐かしそうな表情で、挨拶をした。


「確かエルミナ・カナルの助手だったな」


 啓悟はその名を聞いて、イーリスにその人物の事をこっそり尋ねた。

 彼女が言うには、エルミナ・カナルという名前は、学術都市でも有名な部類に入るそうだ。鉱物学の権威で、有名な錬金術師でもある。アルマは魔導学校を卒業して五年間、彼女の元で日々研鑽に励んでいたとの事だ。

 アルマは、こそこそ話し合う二人を尻目に、ゴードンの問いかけに答える。

 

「ええ、そうでした。今は訳あって師匠の元を離れてます」


「そうか………」


 ゴードンはそう呟くとそれ以上は詮索せんさくしようとはしなかった。

 アルマは今の状況を他人に漏らす訳には行かないので、あらかじめ訳アリを強調する事で、それ以上の詮索が無いように予防線を張った。酒場の店主はどの店でも、愚痴ぐちは聞いてくれるが余計な詮索をしない者が多い。また、そういう店主の店ほど人気がある。

 ゴードンは、その強面の虎顔を啓悟に向けて口を開いた。


「兄さん、部屋が要るそうだな」


「ああ、二人用と一人用、それぞれ一部屋ずつだ」


「ああ、それなら食事付きで前払い、三人で一日銀貨九枚だ」


「じゃあこれで十日頼む、残りはチップで良い」


 啓悟は小袋から金貨一枚を取り出すと、カウンターに置いたが、ゴードンはそれを取らずに啓悟に言い返す。


「チップは受け取れんな」


「じゃあ残りは、毎日水を張ったタライを人数分部屋に用意してくれ。それなら良いだろ?」


「ああ分かった、それなら良かろう」


 啓悟が沐浴用のタライを用意させる事で、チップ分を相殺するよう提案すると、ゴードンは納得して、カウンターに置いた金貨を受け取った。


 猫娘は、啓悟がおくした所を微塵みじんも感じさせない態度で、ゴードンと駆け引きしていたのを見て「チッ!」と舌打ちをした。

 啓悟は何を期待していたのだろうと思いながら、舌打ちを聞かなかった事にしたが、ゴードンは聞き捨てにする訳にも行かず、猫娘の悪戯いたずらたしなめた。


「メリザ! いい加減に人族からかうのを止めにしな! この前も帝国人のお客さんを、ここに案内しただろう。あのお客さん、俺の顔見るなり逃げ出したぞ!」


「だあってえぇ、あの帝国人やたらと威張いばり散らして、偉そうにしてたんだもん! マスターの姿見て、ちびりながら逃げ出した時はすっきりした~」


 メリザの悪びれない態度に、ゴードンは溜息ためいきを吐いて彼女をさとす。


「メリザなぁ、お前さんが帝国人嫌いなのは分かるが、辺り構わず噛みつくのは止めにしな。そうで無いと、何時か痛いしっぺ返しを食らうぞ」


「は~い、分かりました~」


 分かったかどうか判らない様な返事をしたメリザに、ゴードンは更に深い溜息を吐いてると、ドアベルの音が聞こえたので、メリザに向かって声を掛けた。

「メリザ、仕事だぞ!」

「は~い!」

 ゴードンは入口に向けて顎をしゃくると、メリザは軽く返事して入口の方に駆けて行った。

 彼女を見送ったゴードンは啓悟に向き直り、彼に話しかけた。


「悪かったな、兄さん。………根は良い子なんだが、小さい頃から帝国人の迫害を受けたせいで、極端な人族嫌いになっちまった。だからな、この店に人族が来るとああして悪戯を仕掛けるんだ」


 啓悟はお客を案内しているメリザに目を遣りながら、ゴードンの謝罪を受け入れた。


「気にしてはいないさ、種族の確執は何処に行っても絶えないからね。ましてや迫害を経験しているなら尚更だ。彼女が憎しみや警戒心を持ってしまうのも、当然の成り行きさ」


「済まないな、そう言って貰えると助かる………。おっと、それより部屋だったな。直ぐ案内させるが、どうだい?」


「いや、飯も頂こう。ここに来るまで、真面まともな物を食ってないからな」


 啓悟はゴードンの問いかけに、横の二人に目配せしながら言った。


「注文はお任せで良いか? 後、飲み物はどうする?」


「ああ、それで良い、飲み物は………」


 そう言いながら、イーリスとアルマに目配せする。


「……ワイン………」


「エールで………」


 イーリスとアルマがそれぞれの欲しい物を言うと、啓悟がゴードンに伝えた。


葡萄ぶどうジュースとエール、俺は水で良い」


「私は子供じゃない………」


 啓悟がそう言うと、イーリスは不満そうに声を上げて抗議し、啓悟の足をカウンターの下で蹴とばした。


「イテッ! ………イーリス……、若い内から酒をガバガバ飲んでると、脳の機能が衰えて馬鹿になるぞ」


 啓悟がそう脅すと、ビクッとして顔を青くすると「葡萄ジュースで良い………」と言って納得した。


「じゃあ、お任せ三つと、葡萄ジュースにエール、兄さんは水っと、本当にそれで良いのかい?」


「ああ、俺は後でひと仕事有るんでな」


「そうか、それじゃしばらくく待ってくれ」


 そう言ってゴードンは厨房に消えた。


 暫くして、料理が運ばれてくると、ゴードンの料理の腕もさる事ながら、まともな食事がひと月振りのせいもあって、三人はあっという間に料理を平らげた。その後はゴールデンレトリバーを思わせる、大柄な犬耳の女性に部屋を案内してもらった。


 案内の前に『ジュスタ』と名乗ったその女性は、三人を二階廊下の突き当りまで案内すると、大通りに面した方の部屋を指差して案内する。


「こっちが二人部屋、廊下を挟んでそっちが一人部屋ね。水を張ったタライは後で運び込んでおくよ」


「ああ、すまないが頼む」


 啓悟が彼女に向かってそう返事をすると、二人用の部屋を指してイーリスとアルマに伝えた。


「二人の部屋はこっち、向かいは俺が入る、何かあったら遠慮なく呼んでくれて構わんが、居ない事が多いのでその時は勘弁な」


「どうして居ない事が多いの」


 イーリスがそう尋ねると、啓悟は彼女に言い聞かせるように話した。


「ここでしばらく滞在する為に、街の事を色々調査しなければならないし、それに路銀を稼いで置く必要もあるからな」


「ガストンさんから貰った分だけじゃダメ?」


「これから先、何にどの程度必要になるか分からないんだ。その為に調査をしなければ成らないし、資金もなるべく集めておく必要があるんだよ。………それによく言うだろ。『何時いつまでも、あると思うな親と金』ってな」


「なにそれ? 聞いたことない………」


 イーリスは啓悟が口にしたことわざに首を傾げていると、横から聞いていたジュスタが口を挟む。


「いい言葉だ、金言きんげんっていうのは、こういうのを言うんだねぇ。で、誰の言葉だい?」


「まあ、誰のと言われると分からんが、俺の故郷こきょうの諺でそう言うのが有るんだよ」


 啓悟はそうジュスタに説明すると、イーリスとアルマに向いて再び話しかけた。


「まあそう言う訳で俺は出かけて来る。二人は出来るだけ、ここで引き篭っていてくれ。もし出かける場合も、必ず二人で、ここの通りだけにしてくれ」


 啓悟はそう言い残すと、階段で一階まで降りて、この宿屋から外に出た。

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