第10話 咬ませ犬たちの哀歌

 啓悟の正面に、傭兵風の大男が片手に大型の剣を携えて、睨むように立っていた。

 その大男は啓悟を更ににらむと、威圧するような大声と口調で啓悟を怒鳴りつけた。


「貴様ら! 此処に何用だー!」


 大男の声はよく通り、辺りに響き渡った。


 啓悟は大男の声に臆する事無く、頭をかきながら呟くように反論した。


「何用って………、旅人が街道を通るのに、何の不都合があるのかねぇ………」


「何を言ってやがる! わざわざこんな時間を選んだ上に、たった三人だけでここを抜ける奴など居るか!」


 啓悟の態度と呟きが気に入らなかったのか、大男のボリュームはさらに上がった。


 ちらりと横を見ると、アルマは少し怯えた様子を見せていたが、イーリスは能面の様な表情で、大男をじっと見つめて観察していた。この期に及んでも大男の威圧にビクともせず、いつも通りの彼女のクソ度胸に恐れ入りながら啓悟は溜息を吐いた。


 大男は暫く啓悟達を観察して、合点が行ったのか、大声を出して得意げな表情をしながら言った。


「さては、貴様ら斥候だろう?」


「斥候? 何それ………」


 すると、イーリスが横から、会話を割って入って来た。


「斥候、本隊に先駆けて、進行方向を警戒、偵察する任務の事を言う」


「あのなあイーリス、その程度の事なら俺でも知っている。それとも俺の事を、底抜けの間抜けとでも思ってるのか?」


「思ってる。でも大丈夫、何時でも私が付いてケイゴを助けるから心配ない………」


 啓悟はイーリスに間抜け扱いされた挙句に四六時中の付き纏い宣言されて、大きな溜息を吐いて疲れたような表情をする。


 大男は自信たっぷりの推測を無視された上に、勝手に掛け合いを始めた二人を順番に睨んで、大声を張り上げた。


「貴様ら、人の話を聞いているのか! 俺の質問に答えろ!」


「斥候って言われても、誰のですかねぇ?」


 啓悟のすっとぼけた対応に、大男は額に青筋を立てて怒り心頭で怒鳴り散らす。


「皇妃と皇女の護衛部隊に決まっとる!」


 それを聞いた三人は困惑の表情を浮かべてお互い顔を見合わせた後、大男の方に向かって三人同時にナイナイと手を振る。


 啓悟はこの口の軽い男のお陰で、あの村に滞在していた帝室関係者が皇妃と皇女と言う事が分かった上に、この集団が皇妃と皇女に何かしらのリアクションを起こす事も予想出来た事に、この集団の素人臭さを感じた。


 大男はと言うと、三人のその仕草を見て舐められていると誤解し、啓悟に剣を突き付けて更に喚く。


「とぼけるな!」


「とぼけるなと言われても………。大体、帝室関係者の警護にエルト族………あんた方の主張だと魔族なのかな? まあそんなのを採用するなんて考えられる?」


 啓悟は横に並んでる二人を交互に見て、大男に言った。大男は啓悟に論破されたせいで、顔を更に真っ赤にして喚き散らした。


「そんな事分かるかい! 大体、あの変人皇妃と皇女だ。クソ魔族共と手を組んだって不思議はねえんだよ!」


 しかし、イーリスはそれを聞いて場違いの指摘をする。


「私達を魔族と一緒にするのは、魔族にも私達にも失礼。私達の生命力はマナとは別物だけど魔族はマナそのものが生命力となる。だから私達エルト族も魔族と違って人族と同じ系統だという事は、研究結果で証明されている。そもそも――――」


「やかましい! 俺をおちょくってるのか!」


 大男はこれ以上無いぐらい顔を真っ赤にして、イーリスに向かって怒鳴り散らす。

 しかし、イーリスは大男の威圧を物ともせずに、大真面目な顔で答えを返す。


「おちょくってなどいない。ただ、あなたが馬鹿な迷信を信じているので、それを訂正しただけ。あなたが遮ったお陰で、肝心なところの説明が抜けてしまった。だから続けさせて貰う。そもそも――――」


「てめえ! 俺の学が無いと思って馬鹿にしてるんじゃねえか? 俺達にてめえの薀蓄うんちく聞いてる暇はねえんだ!」


 大男が馬鹿にされている事に怒りを露にしているが、それでもイーリスは表情を変えずに話を続けようとしたが、啓悟は手でそれを制する。


 彼女がこれ以上話を続けても堂々巡りをするだけで、話が一向に進みそうに無いので啓悟が代わりに答えた。


「あんたの事を馬鹿にしている訳じゃないさ。俺達は帝室とは無関係で、ここを通り抜けたいだけ。ただ、それだけの事だ」


 だが大男は、彼の言葉を頭から信用しなかった。


「そんな事を信じるか! お前らは十分に怪しい。こんな時間帯にわざわざ通る奴は、余程の馬鹿か密偵のどちらかしか居ないんだよ!」


「ふう……。やはり堂々巡りか………」


 溜息を吐いて首を横に振りながら啓悟は呟く。


 この男はそれほど馬鹿じゃ無いと啓悟は考える。普通なら問答無用で襲い掛かっても不思議では無い筈だ。


 しかしこの男は、啓悟達を始末するか素通りさせるかで迷ってる。啓悟達が自分達を凌駕するほどの実力を隠し持っていると踏んだからだ。


 啓悟の方も大男の先程からの言動と彼らが放つ雰囲気から、皇妃と皇女の暗殺を請け負った傭兵だと当たりを付けていた。しかし皇妃と皇女の実力がガストンの評価の通りだとすると、この連中程度では歯が立たないだろうとも彼は思った。


 連中の依頼主もとんだ無茶振りをするもんだと思った啓悟は、思わず口を滑らす。


「《可哀想に》………」


 啓悟の口から出た日本語の呟きを聞いた大男は、意味不明の言語に警戒感を膨らませ、虚勢を張って大声で喚く。


「何、訳の分からねえ事言ってやがる!」


 この雰囲気に、先ほどからの遣り取りを後ろで静観していた男達が、焦れ始めて口々に勝手な事を言い始めた。


「お頭、面倒くさいから、全員殺っちまいましょうぜ」


「いや、どうせなら男だけ殺して、女はひん剝いちまいましょう」


「そうだな、楽しませて貰った後は売り飛ばしちまえば、金にもなって丁度良いしな」


「ツルペタのガキはどうしやす?」


「貴族にはツルペタが趣味の奴も大勢いる。そっちの女より高く売れるぜ」


(あぁ~あ………、こいつ等、地雷踏んじゃったよ)


 啓悟は心の内で嘆く。


 イーリスは自身のスタイルにコンプレックスを持っていたが、それは勿論イーリス原理主義者のアルマも共有していた。


 啓悟は以前森の中で、うっかりイーリスのスタイルを冷やかしたら、彼女達に吊し上げられたのだ。土系と水系を巧みに利用してツタを操った魔術は見事と言うほか無かった。


 今回もその穏便(?)な方法で済ませて貰え無いかと啓悟は期待したが、彼の期待とは裏腹に男達の下品な会話を聞いたアルマは、剣の束に手を掛けてゴミを見るような眼つきで威圧を放ちながら口走る。


「ケイゴ、こやつらを手討ちにして宜しいでしょうか」


(彼女はか弱い女を辞めてしまったみたいだ)


 啓悟はそう思いながら、イーリスを伺う。

 こちらは、能面の様な表情を崩して笑みを浮かべていた。ただ、こめかみにうっすらと青筋が浮かべて、目も全然笑っていなかった。


「ツルペタ………。ケイゴ………、こいつ等の脳みそブチ撒けて良い?」


(彼女の鉄の理性も、宇宙の彼方にぶっ飛んで行ったらしい)


 状況は一触即発、主にこっちが暴発寸前の状況を打開するため、そして無益な殺生を避けるためにも啓悟は二人に小声で話し掛けた。


「イーリス、アルマ聞いてくれ、ここでこいつ等をシメても面倒事が増えるだけだ。二人とも俺が叫んだら、右側の茂みを真っ直ぐ突っ切ってこの場を離れるんだ」


 兎に角逃げの一択と小声で話しているのを聞き咎めた大男怒鳴る。


「何コソコソ話してやがる!」


 啓悟は大男が怒鳴った瞬間、大男の後ろを指して叫んだ。


「あーっっ! キンググリズリーがこっちを睨んでる」


 このキンググリズリーと呼ばれるこの森の名物クマさんは、図体がとても大きく凶暴で動きも素早い為、並の戦士が束になっても歯が立たない。啓悟も一度これに殺されかけた事がある。

 更に悪食の為空腹時に近づこうものなら、不味いと評判のゴブリンすら頭から丸齧りする。食える物なら見境なく齧って来る恐怖の代名詞の名を叫ばれて、動じないのは秋田の猟師さんぐらいだろう。

 無論、動じまくった並の戦士達は一斉に後ろを振り向いた。

 アルマはそれを見た瞬間に即反応して茂みに飛び込むと、啓悟も続いてダッシュしようとしたが、気配が動かないイーリスの方に目を遣る。しかし彼女は大男達と一緒になって啓悟の指差した方を見ていた。


「ったく、どっちが間抜けだよ! お前も一緒になって引っかかってどうする!」


 啓悟はそう言ってイーリスの手を掴み、森の茂みに向ってダッシュする。

 彼女の手を引きながら茂みの中に突っ込むと、大男達も気が付いて喚きながら追いかけて来た。


「あ~っ! あいつ等逃げやがった!」


「くそ! 追え~!」


 大男達が地響きを立てて追いかけてくる。


「ケイゴ、痛い!」


「我慢しろ!」


 強く手を引かれている為、手に強い痛みを感じたイーリスは抗議するが、この状況で手を離す訳にも行かないので、我慢させる事にした。

 啓悟は更に状況を打開するため《閃光発音筒》を取り出し、歯で安全ピンを抜いて走りながら足元に落とすと、同時にイーリスを自分の胸元に引っ張り込み、両腕で抱えてお姫様抱っこをした。

 走り去る二人の背後で、大きな爆音がすると、後ろで男たちの悲鳴が上がった。


「ウオ~! 何だこれは~!」


「耳が~! 目が~!」


「目が開けられねぇ! 耳鳴りも酷で~よ~!」


 男たちの悲鳴が響き渡る中で、足音も途絶えていたが、油断する事無く走り続け、途中で足を止めていたアルマと合流すると、三人は深い森の中に消えて行った。



 ***



「クソ! ツイてねえな!」


 俺は自身の今の状況に毒づいた。


 それまでの俺等は其れなりに順調だった。

 聖魔戦争に参加した時は、小さな町に侵攻する部隊に参加し、適当に魔族を襲って戦果を挙げ、その魔族共から財産を奪う等して来たが、契約が切れたところで懐も潤って来た事もあり、更新せずに帝都へ戻って遊び歩いていた。その時に酒場でアシュテナ王都の攻略に向かう連中の好待遇を聞いた時は流石に後悔した。


 しかしその後酒場で知り合った男に、皇妃一行を襲う依頼を持ち掛けられた。

 俺はそのリスクてんこ盛りの胡散臭い話に、受けるのを渋っていたが、成功した暁には俺と子分の一生身の安全を保障し、地位も報酬も思いのままとだと、帝室の紋章が入った短剣を見せながら言ってきた。


 俺は子分達がその景気の良すぎる話に大乗り気になって、断る雰囲気では無くなってしまった為に結局依頼を受ける事にした。この事が、ケチの付き始めだったのかもしれない。


 あの妙な三人組に出会った時に嫌な予感がしていた。魔族の女二人を引き連れた男は、何処から見ても怪しかった。この森をたった三人で、しかも最も危険な時間帯を選んで通るなど単なる馬鹿か、そうでなければ余程の腕利きと言う事になる。


 だが例え腕利きと言えど、いや腕利きだからこそ、酔狂でわざわざ危険に飛び込むなど有りえない。何らかの密命があって然るべきなのだ。


 あの皇妃と皇女は、聖、魔と言う教会の色分けにも、異論を唱えていた。その彼女達が魔族を密偵に引き入れていても不思議は無いと思い、彼らを問い詰めたが、ふざけた返答を繰り返して煙に巻いて来たのだった。


 焦れた子分たちが、しょうも無い事を口走ったお陰で緊張が走り、一触即発になったところで、リーダーと思しき男が、俺達の気を反らせて逃亡を試みやがった。


 目と耳を眩ませる魔法を使ってまんまと俺達を巻いて姿を消したが、俺達も諦めずに連中の足跡を辿って追跡した。


 しかし、連中の方が一枚も二枚も上手だった、森歩きに一日の長のある魔族相手に追い切れる訳も無い、男も魔族と共に行動する位だ、森歩きも達者だろう。


 俺達は疲れ切ってしまい、追うのを諦めて街道まで戻ろうとした。ところが、戻る途中でゴブリンの群れに出くわして戦闘になった。


 何とかゴブリンとの戦闘を凌いだが、俺達もボロボロになった。そこへ、この森の恐怖の代名詞、キンググリズリーが腹を空かせて、俺たちの前に立ち塞がった。


 全員が恐怖に包まれて、その場から逃げ出した。幸いにも倒したゴブリンが奴の餌代わりになって、全員逃げ出す事に成功したが、心身ともにボロボロで街道まで辿り着いたその時に、タイミング悪く皇妃と皇女の一行に出くわした。


 半分自棄になって突っ込んだが、情報に無かった戦力が追加されていて、到底歯が立たず次々と子分が倒れて行った。いよいよ俺の番かと思った時に静止の声が掛かり、俺は取り押さえられた。


 馬車から女、いや少女が降りて来た。

 その少女は俺の前まで歩み寄ると、地面に押さえ付けられている俺を、暫く何も言わずにじっと見おろした。


「クソ! やっぱりさっきの三人組は斥候だったのか………」


 俺は少女の沈黙に耐え切れず悪態をついた。しかし少女はその悪態に反応して、俺に向かって話しかけた。


「その話、詳しく聞かせて貰えるかしら?」


 俺は其れまでに起こった事を、掻い摘んで少女に話した。三人に出会った時の状況、会話で翻弄された事、気をそらされてまんまと逃亡を許した事など、順を追って少女に話した。その中でも翻弄されていた時に男が呟いた言葉を、記憶を頼りに再現した時に、今迄悠然と構えていた少女の顔色が変わった。


「本当にそう呟いたの?」


「ああ、確かに《カワイソウニ》だ。間違いない」


 少女は俺が断定したのを聞いて、頬に手を当てて考える仕草をしながら呟く。


「やはり、《ニホン》語ね」


「その、《ニホン》語ってのは何ですかい」


 俺は少女が発した言葉が気になって尋ねた。少女は不快な素振りも見せずに質問に答えた。


「勇者達の母国語よ」


「勇者……達……の………母国語……?」


 俺はとんでもない事を聞いた様な気がして、呻きながらオウム返しをした。


「ええ、勇者達の母国《ニホン》の言葉よ」


 少女は狼狽える俺を気にした様子も無く、俺のオウム返しに応えた。俺は狼狽えながら更に確認した。


「勇者の母国語と言う事は、あの男も………」


「そうね、言語だけなら勇者と言う事になるわね」


「し、しかし今までの勇者と違い、歳を食い過ぎている! 俺も勇者を何度も見掛けたけど、あんな年嵩なのは見た事が無い! 確かに上着の下に来ていた服は、一部の勇者の者に似ていたがな」


 俺は今までの勇者像と食い違っている部分を強調しようとしたが、同時に共通点も思い出してしまった。少女は俺に向って満足そうな笑みを浮かべると、俺に自説を展開した。


「そうなのよね、今迄教会が召喚してきた勇者とは毛色の違う者、仮に召喚者と呼びましょうか。彼はセレーネ神とは関係の無い所で召喚されて、エルト族と行動を共にしている。この事が示す意味は、他の神々の元でも何らかの方法で召喚が可能と言う事。今巷で噂になっている、アシュテナの軍師も同様の方法で呼び出された召喚者かも知れないって事を意味するのよ。まあ証言も取れていないから、仮説の域を出ないんだけどね」


 少女は鋭い洞察力で、とんでもない仮説を披露したのだ。俺は恐ろしくなった、この少女の洞察力もそうだが、今まで自分達が優位に運べていたのは勇者のお陰だった。しかし、少女の仮説が正しいのなら、今の帝国の優位は、砂上の楼閣でしか無い事になるのだ。


 少女は、自分の仮説を誰かにブチ撒けてスッキリしたのか満足げな表情を浮かべていた。まったく………こっちはその仮説を聞いて、不安しか湧いて来ないのに能天気な事だ。


 俺は少し心に引っ掛かっていた事を少女に尋ねた。


「一つ教えてくれ、あの男が俺に向って呟いた《ニホン》語の意味をな」


「彼は貴方に向って憐みの言葉を掛けたのよ」


「憐み? どうしてだ?」


「あの男はね、貴方の行く末を案じていたのよ。彼は貴方が仕事を達成しても失敗しても、殺される運命にある事を悟ったのね。彼、貴方を一目見て実力を見抜き、そして気付いたの、貴方が返り討ちを前提に嗾けられた、哀れな咬ませ犬だと言う事に」


「ど、どういう意味だ!」


「貴方、まだ気づかない? 貴方の子分は返り討ちに合ったんじゃなくて、刺客に始末されたのよ。そうよね、ランス」


「はっ、殿下の命を聞かずに凶行に走った者は、既に取り押さえております。殿下の暗殺を狙った刺客の可能性もあります故、ベルメールに着き次第厳しく追及致します」


「ええ、ご苦労掛けるけどお願いするわね」


「はっ、仰せのままに」


 少女はランスと言う名の騎士に労いの言葉を掛けると、俺に向いて話しかけた。


「さて、貴方は私の馬車に同乗して貰うわ」


「えっ、俺、一応刺客だぜ! 良いのか?」


「心配いらないわ、ランスにも同乗して貰うから」


 少女は更に続けた。


「それに、貴方はまだ暗殺される恐れがあるわよ」


 少女が言い終わるや否や、近くに居た近衛騎士が剣を抜いて俺に躍りかかって来た。


 ギィーン


 少女は涼しい顔をして剣を抜きそのまま近衛騎士の剣を払い上げると、傍に居たランスは、その騎士の足を払って倒し、地面に組み伏せた。


「ほらね、命が惜しかったら馬車に乗ってね」


 少女は片目を瞑ってウインクした。


 俺は目前に迫った死の恐怖で固まって居ると、馬車の中から声が聞こえた。


「ベルナデットちゃ~ん、いつまで待たせるの~。もう出発しようよ~」


 何とも間の抜けた声だが、声が呼んだ名前を聞いて俺は更に固まった。思うように動か無い頭を少女に向けて呻きながら尋ねた。


「まさか………、ベルナデット……殿下………?」


「如何にも、私はベルナデット・レリア・ファビウス、この国の第五皇女よ。貴方には、例の男について見た事や感じた事を、ベルメールに着くまでじっくりと聞かせて頂くわ」


 どうやら、暫く俺に気の休まる暇が訪れる事は無さそうだ。少なくともベルメールに辿り着くまでは。

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