第9話 謎の軍師と黒髪黒瞳の男
三人が屋敷から出て来て、門に向って歩いている姿を、屋敷の窓から金髪セミロングの少女が眺めながら呟く。
「黒髪黒瞳の男か………。まさか………ね」
少女はこれまでに出会った、同様の容姿を持つ者達を思い出しつつ、門に向かう啓悟達を眺め続ける。やがて彼らが門の外に姿を消すと、少女は内緒の見送りを止めて、執務机の脇にあるソファーに腰かけた。
コンコン
その直後に、ドアがノックされた。
「開いてるわよ」
少女はそう短く答えて、訪問者の入室を待った。
ドアが開き、一人の老人が入室して来た。
「失礼しますじゃ、ベルナデット殿下」
「待っていたわ、ガストン。でも人前でもないのにベルナデットは止めて、その名前は余り好きじゃないわ」
「それは済まなかったのう。陛下から頂いたお名前はお気に召しませんか? レリア殿下」
入ってきた老人は、この館の主ガストンだった。レリアと呼ばれた少女は先程の老人の言葉をスルーすると、老人をソファーの向かいに座らせて話し掛ける。
「それでガストン、どんなお話を聞かせて頂けるの?」
「アシュテナの噂と、先程の訪問者の件、どちらを先にお聞きになりたいのかのう?」
レリアは少し考えてから答えた。
「どちらも気になるけど。アシュテナの噂からお願いするわ」
「アシュテナ王都攻略の話は知っておるかのう?」
「ええ、その話は聞いてるわ。ルイーズ姉さんと新しい勇者を英雄に仕立てて、人心掌握を図りたい主戦派がゴリ押ししたのよね。でも勝てる戦いの筈なのに、見事に手玉に取られた挙句に三万もの兵員を損ねたお陰で、今や主戦派も窮地に立たされているそうよ」
「流石は殿下、そこまで知っておったか」
情報収集に余念のないレリアにガストンは感心するが、レリアは彼に情報元をアッサリと明かした。
「そんな事無いわよ。今の内容はアドル兄さんが、帝都出立前に突然執務室にやって来て、勝手にペラペラ喋ってたから」
「情報元はアドリアン殿下じゃったか………。掴み所が無くてのう、あの陛下も取り扱いに困っておったらしいのじゃ。度々皇城を抜け出しては城下で浮名を流しているとの噂が流れたので、第二皇子のジルベールが彼を捕まえて説教をしたらしいのじゃが、逆に秘密の愛人と隠し子の存在を暴露されて、ひと騒動起きたんじゃ」
「ふふっ、兄さんらしいわね」
兄弟の中で最も親しい兄の、初めて聞く裏話に含み笑いを漏らして、更に重要な事を暴露した。
「そう言えば私と母様の暗殺計画の事も、この間ここにやって来て暴露してたわ。その計画が一時保留になった事もね」
「なんと! そんな事まで掴んでおったのか、何とも恐ろしい御方じゃ」
「ええ、全くね。伊達に情報庁の長官をやってないわ」
「ふぅ、この調子だと、皇妃達の伽の回数までチェックしてるかも知れないわね」
一つ溜息を吐くと、レリアは彼女自身に取っても恐ろしく思える感想を漏らした。
思わぬ所で第五皇子の有能さを暴露されて、驚愕を隠せないガストンではあったが、自身が持つ情報の重要さも思い出して話を切り出す事にした。
「ところで、殿下はアシュテナの軍師の噂を聞いた事はあるかのう?」
ガストンに質問に、彼女が知っている内容と推測を交えて答える。
「王都攻略に失敗した原因は、アシュテナの新しい軍師のせいだという噂? 単なる主戦派の言い訳じゃないの?」
「左様じゃ。ワシも最初は主戦派の言い訳と思って余り相手にしておらんかったんじゃが、情報を集めるうちにまんざら嘘でも無い事が分かって来たんじゃ」
しかしガストンは自身の調査と裏付けで、それが嘘では無い可能性があると言って更に続けた。
「残念ながら直に存在を確認した者はおらんが、連中が王都を放棄する辺りからその存在が浮かび上がって来たんじゃ。なにせ王国軍のバルターは王都を死守する事に拘っておったらしいから、奴が王都を放棄する作戦を考え付くなどあり得んからのう」
ガストンは密偵を放って噂話の収集にも余念が無かった。だが、市民への疎開命令が出ると、集められる情報は集めさせて早々に密偵を撤収させた。無理に残しても、優秀な密偵が失われるだけで、大した情報を得られる事は無いからだ。だがそのせいで、王都放棄時の様子は分からずじまいだった。
「攻略軍は王国の王都放棄が泥沼の消耗戦の始まりとも気付かずに、掃討戦のつもりで王国軍に対していたんじゃが、いつの間にかゲリラ戦に持ち込まれて消耗戦を強いられるようになったんじゃ。もしかすると、帝国の情勢も計算に入れて消耗戦を仕掛けたのかも知れんな、わざわざ挑発して執拗に消耗戦を強いていたからのう」
「まあ、その中でも攻略軍を手玉に取った脱出作戦も鮮やかじゃった、本命を絞らせずに戦力を分散させて、兵たちが苦手な森にワザと痕跡を残して誘い込み、接触した部隊を殲滅して逃亡を繰り返す。特に東側の森に至っては、姿を見せない鮮やかな手口だったそうじゃ。取り敢えず与しやすい西の森に勇者を投入したんじゃが、彼らが森での活動に弱い事が分かると早々に引き上げさせたんじゃ」
「勇者が森の中での活動に弱かったのも驚きだけど、その話に出て来る精鋭部隊の噂も聞いたことが無いわ。あの兄さんに落ち度があるとも思えないし」
レリアはそんな戦場伝説の様な部隊がある事が信じられなかった。実際にそんな部隊が存在していたら、今までの間の戦闘で投入されていたに違いない。
仮に温存されていたとしてもアドリアンが見逃す筈は無いだろう、全貌とは行かないまでもその影ぐらいは掴んでいる筈だ。
しかし実際のところ、多くの部隊がその部隊に撃破されている。精鋭部隊が湧き出るなんて勇者召喚ぐらいしか思いつかないが、そんな派手な事象はアドリアンで無くとも掴めるだろう。
「どうしても分からないわ、今迄、影も形も無かった精鋭部隊が、今になって湧き出したのか」
レリアは首を傾げながら疑問を口にするが、ガストンは、心当たりに思い至ったのか、自らの経験を交えて推測を語り始めた。
「殿下、エルト族の者と行動を共にした事はありますかのう?」
「いえ、無いわ。流石に帝室に連なる者が、魔族と公には付き合えないわよ。教会が言い掛かりを付ける前なら兎も角ね」
「儂はありましてのう、この村は元々エルト族の者がよく出入りしていておったんじゃ。儂にもエルト族の友人がいたんじゃが、若い頃はよく共に命がけの旅をしたもんじゃ」
ガストンは目を閉じて、昔を懐かしむように続けた。
「そのエルト族の若者は、儂らと共に魔物相手に戦ったんじゃが、戦士としては並じゃった。しかし森に入れば、凄腕のレンジャーに早変わりしたんじゃ。儂は聞いたよ何故こうにも差が付くんじゃと、その若者は笑いながら森は自分達にとっては庭も同然じゃと言いよったんじゃ」
「連中は恐らく、今まで平原での戦闘に長けた儂らの舞台設定に合わせて戦っていたんじゃ。しかし謎の軍師は連中の能力を把握して、軍の再編と戦術の適正化を図ったんじゃ無いかのう。その成果が謎の精鋭部隊の誕生に繋がったと儂は思うんじゃ」
「王都を放棄したもう一つの理由も、本拠地をワシらの戦い易い地形に面した王都から森の奥に移して、嫌でも連中のテリトリーに踏み込まざるを得ない状況を作り出す為じゃろう」
ガストンの話を聞いたレリアは驚きをもって呟いた。
「謎の軍師か………。もしかして、とんでもない人かもしれないわね」
「思い切って王都を放棄し、帝国軍の弱点を突いて消耗戦を仕掛け、その作戦に適した部隊を短期間で錬成する手腕。そして、執拗な消耗戦で浮かび上がる真の目的は帝国の分裂を誘い、あわよくば内戦の誘発まで狙っているのよ」
「そうじゃのう。こちらの情報はある程度、王国側にも掴まれているのは覚悟しておったんじゃが、その情報だけじゃなくて儂らも気付かなかった勇者の弱点まで知っているのは驚きじゃ。なにせ、少ない戦力を分散してでも作戦を強行した裏には、勇者の要素を考慮しなくても良いという確信があったに違いないからのう」
ガストンの齎した情報は、謎の軍師に関して一定の結論に導いていた。勇者について何らかの情報を握っている者は、この世界では限られていた。
召喚された勇者自身と召喚に関わった教会関係者くらいだろう。ほかにも関わった者が居たとしても、深い情報にまでは中々至らないものだ。
現に一部の勇者達と、懇意にしていたレリアですら、勇者達が深い森のフィールドワークに弱い事を知らなかったのだ、それ以外の者などはお察しだろう。
レリアはそこから導き出される結論を想像する。一つは彼女が逃亡の手助けをした勇者達が、アシュテナ王国の側に付いて帝国の情報や自らの情報を暴露したと考えられる。
だが、それだけだと今までに無かった戦術は実現しないだろう。確かに彼らは聡明だったが、傍目から見ても素人だった。戦闘の技術は抜きん出ていても、容赦の無さが足りなかったのだ。とても森に潜んでいる様な精鋭部隊の錬成など不可能だろう。
それなら、他の可能性はどうだろうか考えた。教会関係者はまず有り得ないだろうし、それに深くかかわっている貴族も同様だろう。そうなると勇者達の欠点を知る新たな召喚者でも無い限り、今の状況に至らないと考えるのがレリアの辿り着いた結論だった。
「セレーネ神以外で、異世界人の召喚なんて出来るのかしら?」
レリアの呟きに、ガストンは肩を竦めて答えた。
「さてな、儂にはどうだか判らんのう。儂に分かるのは、異世界人を召喚するのに大量の術者とマナが必要と言う事ぐらいじゃ」
彼が言っている事は、裏を返せば大量の術者とマナさえ揃えば、不可能じゃないと言う事になる。
彼女は常々、勇者召喚の様な異世界人召喚は、セレーネ神だけに許されたものなのだろうか? 他の神々も可能なのではないかと考えていた。
「アシュテナの軍師も召喚者なのかしら?」
「それについても何とも言えんのう。儂らがその軍師と対峙する機会は、恐らくないじゃろうしのう」
「そうかしら? もしかしたら今日訪ねてきた男がそうかもしれないわよ」
レリアは黒髪黒瞳の男が
「恐ろしい事を言わんでくれ。それに時間軸が合わんぞ。あの男をアストラの森の近くで拾ったのは今日だが、もし件の軍師ならひと月程度でアシュテナの王都からアストラ森林地帯を抜けた事になる。エルト族なら兎も角、あの男が森を苦手とする勇者達に連なる者なら、ワシら並みに二か月以上かかるぞ」
「でもガストン。その辺を含めて色々知りたいと思わない? それに、黒髪黒瞳の男が別人でも、その軍師とは一度会ってみたいわね」
多くの召喚者と接したせいか、レリアの彼らに対する好奇心は並々ならぬものがある。ガストンは彼女の好奇心の強さに呆れながらも彼女に一応尋ねる。
「やれやれ、アシュテナの軍師にも会いたいのかね」
「ええ、どんな人物か知りたいし、お話もしてみたいわ」
レリアはその望みも叶えばいいなと思いつつ、もう一つの話題に話を振った。
「取り敢えず、この話は一旦やめましょう。情報が少なすぎて推測の域を出ないわ。そんな事より、もう一人の男についても色々聞きたいわね」
レリアの興味深そうな表情を見たて、ガストンはさもありなんと頷くと
「そうじゃろうな、儂も興味津々じゃったからのう。エルト族のお嬢ちゃん二人と、黒髪黒瞳の男との組み合わせは、この大陸でも中々お目に掛かれ無いからのう」
「黒髪黒瞳の男はどんな感じだった? ケンザキの様な精悍なタイプ? それとも、イシヅの様な優男かしら?」
遠目でしか見ていないレリアは、比較対象に知己である勇者の名前を挙げる。しかし、ガストンの答えはその何れにも当て嵌まらなかった。
「その何れにも当たりませんな、どちらかと言うと彼らの父親と言った方がしっくり来るのう。黒髪黒瞳と言う特徴を除けば、冴えない中年男といった感じじゃった」
「珍しいわね。今までにそんな年の人が召喚されたのを聞いた事が無いわ」
「ふむ、ワシも聞いた事が無い。しかしその男冴えないとは言ったが、ワシはその男の所作から軍人じゃと直感した。問い詰めてみるとそれらしい事を仄めかしておったしのう」
「それにその男、見慣れない武器を使用しておったが、戦闘スタイルは洗練されておった上に、遠中近全てのレンジに対応しておったぞ。特に剣を使った戦闘は鳥肌ものじゃったわい」
「儂の騎士たちが戦いに介入すると、誤射を嫌ってか飛び道具中心の戦法を止めて、剣に持ち替えおった。それまで飛び道具に怯えていたオークが、チャンスとばかりに攻撃を加えよったが、それを紙一重で躱して剣を振り上げて、紙でも切るかのようにオーク程の分厚い体を両断しおった」
剣術を嗜むレリアにとっては、剣の
「剣はどんな物を使ってた? 剣術はどんなスタイルだった?」
思った以上の食いつきに、ガストンは苦笑いしながら続けた。
「うむ、刀身は片刃で少し反った作りになっておってのう、刀身から反射される光がどこか怪しげな感じで我々の剣とは一線を隔す珍しい物じゃった。何処の武器職人が作ったのか、聞いてみたかったのう。それから、柄の部分はシンプルに纏められていて、刀身の割には柄が長かったのう。どちらかと言うと片手で扱うよりは両手で扱うような作りじゃったな」
ガストンは更に剣術に関して言及する。
「剣術は盾などを使った剣術などでは無く、基本的には両手で扱っておったのう。動きも動作と動作の繋ぎ目は滑らかで、まるで水が流れる様な動きで全く無駄が無かった………。そうじゃ! そう言えばケンザキ殿が扱う剣術にどこか似ておったわ」
レリアはガストンの話を聞いて、どうしても実物を見たくなった。彼女も一廉の剣士である以上、剣に対する興味は人一倍ある。ましてやガストンも初めて見るくらいの剣だ、余程珍しいのだろうと思い、何としてでも足止めをさせて、見せて貰うべきだったと後悔していた。
「逗留して頂いて、是非とも拝見したかったわ。返す返すも残念ね」
「彼の者は、殿下を避けているような節があったようじゃった。エルトの嬢ちゃんを連れておったせいかも知れぬがのう」
ガストンは、同行者の関係で会見を希望しても、逃げられた可能性を暗に伝えた。
「これじゃ風評被害みたいなものよね、彼がエルト族の連れと別行動する時を狙うしか無いわね」
「まあ、それしか無いじゃろうな。ただ、彼の者が思惑通りに、ベルメール領に滞在する事が前提になるじゃろう。まかり間違えても、国境を越えられると、ほぼ永久に機会が訪れないかも知れんしのう」
レリアはガストンの最悪の予想を聞いて本気で焦った。彼女自身、自由の利く身では無いので、国境を越えてまでして彼らを探しに行くことが出来ない。無理やり口実を付けて国外に出て捜索しに行こうにも、御付きがゾロゾロ付いてきて肝心の彼らに警戒されてしまう。最悪、追っ手と勘違いされた挙句、完全に身を隠されるだろう。
どうしようも無い手詰まり感にさいなまれていると、ガストンが提案してきた。
「今夜の御逗留を中止しなされ、さすれば追いつく事も可能じゃろう。問題は皇妃殿下がどう反応されるかだけじゃ」
「母様はなら多分大丈夫よ、さっき勝手に屋敷を抜け出して、街を見に行ったみたい。でも直ぐにしょげて帰って来て、『この街、つまんない』って嘆きだしたのよ!」
ガストンはその話を聞いて、豪快に笑って感想を言った。
「わっはっはっは! 正しくあの方らしい言い草じゃ、此方としても返す言葉も無いからのう」
「そうは言ってもお世話になっている身で、あの言動は無いわ。そう言って説教しても人の話を全然聞かないで、『早くベルメール領へ行こうよ~!』とか言って駄々を捏ねる始末………。ほんと困った人だわ!」
ガストンは、気ままで変わり者の皇妃に翻弄され、頭を抱えている皇女の様子を想像して、思わず吹き出しそうになるのを堪えると、彼女に問題が解決している事を指摘して更に提案した。
「じゃが、皇妃殿下がそうおっしゃるのなら、何の問題も無さそうじゃな。夜中に黒森回廊を通る事になるじゃろうから、護衛を儂の方からも付けよう、刺客は気になる所じゃが、予定外の行動を取れば相手を惑わすこともできよう」
この村とベルメールを結ぶ街道には広い森が横たわっており、その森に包まれた街道部分の事を黒森回廊と呼んでいた。そこはオークやゴブリンのなどの魔物の巣窟だが、それ以上に盗賊がよく出没して、回廊を通る商人や旅人を襲う、帝国内でも一、二を争う難所だ。ベルメールの傭兵ギルドや冒険者ギルドでは、この回廊の護衛を生業としている者が殆どだが、特に商人の護衛は報酬も多いため、依頼の取り合いとなっていた。
レリアはガストンの申し出に恐縮して、申し出を固辞しようとして口を開いた。
「護衛の件は、辞退させて頂くわ。私と母様の我儘で、ガストンには迷惑を掛けられないもの」
「殿下、遠慮は無用ですぞ。儂ら全員が皇妃殿下と皇女殿下のファンじゃよ、断られても付いて行く奴が出るわい。ここでの遠慮は無意味じゃぞ」
レリアは、諦めたように溜息を一つ吐くと、申し出を受け入れる旨を伝えた。
「分かったわ、お願いするわね。そうと決まれば、母様に知らせて、直ちに出発する準備に取り掛かるわ」
レリアがそう宣言すると、ガストンは彼女がすっかり忘れている事を指摘した。
「黒髪黒瞳の男の話は、もう良いのかのう」
「本人を捕まえて、じっくり聞く事にするわ」
レリアがそう言ってソファーから立ち上がり部屋を出て行った。その姿を見送ったガストンは、レリアとの会話の中で話したエルト族の青年の事を思い出していた。
彼等との別れの日、ガストンは村の南西側に広がるアストラ森林地帯に接する街道で彼等、エルト族の青年と、彼に付いて行くことを決意した人族の少女と別れた。
そして今日、奇しくも二人と別れた場所で拾った三人の中の一人で、別れたエルト族の青年と同じ綺麗な蒼銀の髪と面差しを残した少女と出会い、そしてその青年に寄り添った少女の鮮やかな金髪と面差しを残した少女と出会った。
「良縁悪縁、果たしてどちらかのう………」
ガストンはそう呟いて、ゆっくりとソファーから立ち上がると、これから起こる皇妃、皇女の護衛権争奪戦に頭を痛めながら部屋の出口を目指す。
「どうやって希望者を絞ろうかのう」
彼はそう呟き、外れた者をどうやって宥めるかを考えながら部屋を出た。
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