第3話
お互い知らないことや、気が合う話などいっぱいあったからか昼過ぎから今まで
だいぶ話し込んだ。
少し夕焼け色が見えるぐらいの時間になっていた。
りりは少し残念そうな顔をしてもうすぐ帰らなければいけないことを告げた。
不器用な僕はそれに相槌を打つことしかできなかった。
すると彼女はまっすぐな笑顔で僕にこう言ってくれた。
「一週間後、今日ぐらいの時間私ここにいるの・・・また、来てくれる?」
不安そうな声色でりりは僕に問いかけてきた。
僕は久しぶりに使う表情筋をぎこちなく動かして笑顔を作り
その問いに精一杯のうれしさを表現した後。
りりの言葉に対し迷いなく「もちろん」と答えた。
そのあとの帰り道には照り付けるような暑さはなく、
少し磯のにおいを含んだ涼しげな風に短い黒髪を揺られた。
夕焼けが落ちていくのを見ながら僕は
少しだけ、ほんの少しだけ顔が熱い気がしたことを夕焼けのせいにした。
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