第2話 思ってたのと違う…
大輔は目覚めると見覚えのない部屋にいた。
そして今自分がベッドの上いることを知っ
た。
「んー。えっと…。」
そうだ!あの中年魔王のせいで異世界に…。
「でもここ…。」
作業机にクローゼット、壁には絵画が何枚か飾ってある。
元いた世界と同じような内装に少しがっかりする。
(もっとこう武器とか鎧が飾ってあったり、割っても怒られない壺とか樽があればなぁ…。)
せっかく異世界に来たのだから少しはゲーム要素があってもいいのにと思った。
すると部屋の奥のドアが開く。
「やっと起きたのね。」
そこには普通の30代程の女性が立っていた。文字通り普通の、元いた世界の欧米風の顔立ちをしたような女性である。
(あれ?俺異世界来たんだよな?それともさっきのは夢?いや、これも夢か?)
混乱で頭をフル回転させている大輔の顔は眉間にシワが寄っていてとても険しい顔をしていた。
そのため女性は少し怯えながらも声をかける。
「大丈夫?買い物の帰り道であなたが倒れていたから。」
大輔はまだ深い思考の中にいるため黙ったままである。
「あ、私はボニータ・メイ・ベネット、ボニータでいいわ。安心して、ただの市民よ。」
大輔はやっと彼女が話しかけてきていることに気がつく。
「あ、えっと…。俺は…。」
なんて言えばいいのだろう。元の世界の本名でいいのだろうか。何かあったときのために偽名やこの世界に合わせた名前を使っていくべきか。
「ちょっとお茶淹れてくるから待っててね。」
困った顔の大輔を見てボニータはそう言って部屋をでる。
(なにやってんだよ俺。)
初対面の人があれだけ話しかけようとしてくれているのに無反応だった自分を心の中で責める。
少し待つと再びボニータが入ってくる。
「さっきは起きてすぐにいろいろと話しかけちゃってごめんね。」
そう言ってベッドの近くに椅子を動かし紅茶を出すボニータ。
「いえ…。さっきは俺も…すみません。」
先程の自分の行動に詫びを入れ、ボニータが淹れた紅茶を飲む。
(うまい…。)
純粋にそう思った。
「話せなければいいんだけど、ゆっくりでいいからなにがあったのか教えて。」
そう言われた大輔は
「俺もよくわからないんですけど…。」
自分は元々別の世界にいたこと、自殺を図ったこと、そして魔王にここに連れて来られたこと全てを話した。
話終わるといつのまにかボニータは立っていた。
猟銃を持って。
その銃口をこちらに向けて…。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます