出会い 〜新しい人生は「悪」でした〜
第1話 王は王でも
(ん?どこだここ?天国か?いや俺が行くとしたら地獄か…。)
そんなことを考えながら目覚めた大輔は辺りを見回す。
そこは真っ黒な部屋だった。
「なんだここ?無駄に広いし、趣味悪いな。」
「なんだ?黒は嫌いか?」
後ろから声が聞こえる。さっき気絶する前に聞こえた声と同じだ。
振り返るとそこには高価そうなソファに寝転がるを黒いローブを身に纏った40代くらいの男がいた。
「なんとなく察したけど、あんた誰?」
「ヴェスネス城の王、ネラ・サタナ。俺がお前をここに連れてきた。」
どうやら異世界の王らしい。
「え?なんか王っぽくない…。どっちかと言えば王の使いかなんかかと思ってたわ。」
大輔が少しバカにしたように言う。
「いやちゃんとした王だから!じゃあ力見る?今度は死ぬよ?」
ネラが今にも殺すぞといわんばかりに構えをとる。
「い、言われてみれば王に見えなくもないなぁ…。なんて…。」
あわてて先程の発言を訂正する。
「分かればいいんだよ。」
あぶねぇ。でも別に死んでもよかったかもなぁ…。生きててもなんもいいことないし…。
本気でそう思う。
「で?なんのために俺をわざわざ異世界に?」
「なんでってお前が『生まれ変わったら…』とかなんとか。」
この言葉で渇ききった大輔の目が輝き始めた。
「俺の望んだ世界に行けるのか!?」
「この世界は別にお前の望んだ世界とは限らないな。ただお前が俺たちの世界に来ればお前と俺のどちらの願いも叶う。」
「どういうことだ?」
訳のわからないことを言われて困惑する。
「ん?お前は正義とかそういう類のものが嫌いなんだろ?」
「そうだけど、あんた王やん。まんま正義の塊やん。」
なんか関西弁でツッコミたくなった。関西弁よくわからんけど。
「あれ?なんか勘違いしてない?俺、魔王なんだけど…。」
は?
そう、ネラ・サタナは魔王である。
「いや先に言えよ!王は王でも魔王かよ!なんかおかしいと思ったんだよなぁ。」
この勘違いで話がスムーズに進まなかったことに少し腹を立てる。
「わかれよ!見た目で!あとこの部屋!どう見ても魔王だろ!」
「真っ黒だからなんとも…。」
「まぁいい。それより今俺たち魔族たちは神族たちによって壊滅の危機にさらされているわけだ。それで今お前のような俺たちの助けになってくれるような奴を探してる。手伝ってくれるか?」
「えー…。別にお前らになんの恩もないし…。」
少し悩むがそれで自分が得することもないなと思う大輔。
「はぁ…そうか…。わかった。」
ん?意外とあっさりしてるのな。
「無理矢理にでも連れてってやるよ!」
ネラの片手に光が宿る。
「え?そんなんありかよ!」
まあ当たり前っちゃ当たり前だが…。
目の前が真っ白になり、またもや大輔は意識を失った。
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