音楽

あなたの心臓が音楽になればいいのに

あなたの死んだあと、体が楽譜になって

私が一人でピアノを弾く

そこには老いも、苦しみも、憎しみも、怒りもなく

勿論、喜びも幸せもない

時は止まってしまった

私の体内時計は夜ばかりを指して

二度とこない朝を待ちわびている

残酷だけれど、多分

あなたが死んで楽譜になって

その音楽が私に刻まれたとき

私はあなたを忘れて、別の人を愛するようになるのだと思う

生き物ってそういうものだから

出来ればピアノになりたかった

そしたら、私はあなた以外の音楽を引くことが出来ないから

色褪せるなんて綺麗な言葉を使って

あなたを忘れるのだと思う

音色が空に吸い込まれる前に

私があなたとの思い出を全部吸い込んでしまいたい

さようなら、思い出

さようなら、音楽

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