花束をもらった少女は初めて大人になる

まだ愛を伝える方法が花束だった頃に

私の顔が隠れるくらいの花束をくれた人がいた

口紅が綺麗に塗れない

幼い私を一時だけ

レディにしてくれた人

音楽が好きで

文学が好きな知的な人

だけど、寂しそうだった

幼かった私は

彼のそばにいたかった

夢見がちな子供だったから

彼の幸せを私が決めていた

愛ってそんなものよねなんて自分に言い聞かせながら

欲しかったのは多分、花束ではなく

レディにしてほしかったのではなく

そばにいたかった

その先は考えていなかった

彼は寂しいまま去っていった

今度は私がさみしくなった

花束を私にくれたから

私は大人になってしまった

ずっと寂しいままで

どうか、もう一度私に会って

それから子供のままだねって言って

花束を頂戴、沢山




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