流星群

今夜流星群が来るらしい

昔の人はあれが願いをかなえてくれるなんて

知らないから

世界が滅ぶんじゃないかって

びくびくしたかもね

僕と君は流星群が願いを叶えてくれるものと知っている

でも

僕たちは相変わらず

空の下で

世界の隅で

びくびくしている

だから二人で

流星群を見て希望というものに

世界を壊してくれるように頼んでみる

不思議だ

世界が滅んだら涙ができる気がする

だって、僕たちはこの結末を心のどこかで受け入れていなかったから

どうか、流れ星様

世界をやっつけてください

僕たちは人形のように生きていた

他人に生きることを託しすぎていた

まあいいか、と受け入れていた

もしも、この先誰かが自由の花束をもって

僕たちは解放されたんだよって

花束を空に向かって投げたとしても

それがいつ来るのかは分からない

僕たちが先頭を歩いてもいい

でも、ほんの少しだけ力が及ばなかった

だから、世界をもう一度やり直すことにした

やがて、自由の花束が投げられるその時を待つことにした

僕たちにできることは、その土台を作ること

そう考えた

さようなら、人類

さようなら、世界

おやすみなさい

二度と目覚めないように

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