季節

季節が巡ってくればいいのに

そうしたら、服も言葉も全部自由だ

ある日、時計屋が来て季節を止めてしまった

季節を楽しむ余裕のない一部の人たちが

例えば、着る服を選ぶ手間とか

季節に合わせて言葉を変えることを疎ましく思う人たちが

私たちの季節を止めてしまった

それが罪であることも知らずに

季節はもう巡っては来ないのだろう

時計屋は遠くに行ってしまったのに

季節がいつまでもやってこない

私たちの心から季節という概念はなくなってしまった

季節を止めてしまったことよりも

私たちの心から季節が無くなってしまったことのほうが

貧しかった

罪だと思った

バイバイ、ふるさと

私は季節を探しに旅に出る

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る