爪痕

皮膚を引掻いたとき

真っ赤なラインがひかれる

それと同じように

物事には爪痕がある

私に自由を教えてくれた人は

私の虚栄心と

偽りと

真面目さに爪痕を残した

薄い風船の膜を裂いたように

その人は私に自由になっていいといった

裸足で歩いているみたいだった

ありがとうと言いながら

走っていた

びりびりに破れた虚栄心とか

偽りとかのくだらない感情を持っていた

途中で捨てた

その人と私の距離が離れていく

寂しかった

あとは私の自由だけがあった

涙が出た

自由を教えてくれたことに

教えてくれた人に別れを言わなければならないことに

さようなら

ありがとう

またね

もう一度会いたい

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