憂いを帯びた顔つきで窓の外を見ている顔がある

自宅の窓

電車

新幹線

飛行機

スペースシャトル

ありとあらゆるところにそれはいる

そこから何を見ているのかは本人しか分からない

悲劇を見ているかもしれないし

喜劇を見ているかもしれない

もしくは過去を見ているか

未来を見ているかもしれない

一人一人が同じものを見ているとは限らない

幼かった私

同じ景色を見ようとしていた

周りもそれを強要した

だから私も強要した

それはいけないことだったと知った

勉強とか空気を読むだとか

それは大切なことかもしれない

それよりも

あの憂い顔を見ないように

同じ景色を見るように強要しなくてもいい方法を

教えてほしかった

愛とか友情とか未来とか憎悪とか

そんなものはあとから分かる

でも自由は分からない

教えてもらうこともできない

ただ、覚えてはいる

それを思い出させてほしいだけ

もっと自由が欲しいと

言わせてほしいだけ

自由でいいと確認させて

開け放つ窓からそう叫びたい






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