第2話 なんだってーーー!(笑)
癒し系あやかしサイト『姫蓄亭』の管理人漆目。
『まき餌』兼『妖怪探知機』の後輩Eを引き回し、
あやかしと人間の共存を願いつつ。
今日も今日とて不思議狩り!
前回、今予定している旅行の計画中に起きた奇妙な出来事について書いた。
それから一週間ほどが経ったある日、
そろそろ細かい旅行のスケジュールなどを決めなくてはイケナイと思い立ち、まずは交通手段。
今回は行きがかり上、電車の旅としていたので、経路、運行表の検索を行い、見当をつけたあらましをEに電話で報告。
「こっち出発は5:44発の快速で、東京駅で乗り換えてそのまま目的地。だから、オマエさんの居る駅に着くのは5:55分くらいか?そこで待ち合わせだ。了解?」
「早ぇーーー」
「ナニカ?」
「いえ。それでいいです……」
いかにもしぶしぶながらと言った口調でEくんが同意する。
「じゃあ漆目さん、あと、チケットの手配とかは私がやっておきます。それと……」
「?」
「漆目さんにもあったみたいですね」
Eくんの言っている意味はすぐわかった。
前回、Eくんが宿の予約をしてる最中、突然原因不明のめまいに襲われ、その連絡を受けたオイラの身にもまた、奇妙な現象が。
そんな顛末をオイラはブログに書いていた。
そのブログを彼は読んだと言うことだろう。
「漆目さんにもあったんでしょ!めまいとハウリング!」
おー、あったぞ!それがどうした。と言いかけて、Eくんの物言いに違和感を覚える。
「ちょっとまて」
違和感の原因を尋ね返す。
「オマエ今、漆目さん『も』って言ったよな」
「はい……」
神妙なEくんの答えが返ってきた。
「『も』ってどういう事だ?オマエはめまいがしただけじゃ無いのか?」
そう、Eくんの物言いではまるで自分も奇妙な音を聞いているかのようでは無いか?
「違うんですよ!漆目さん!私も聞いたんです!サイトを開いている最中にハウリングのような音が鳴って、めまいが……」
果たして、それはそう言う意味だったのだ。だが、だとしたら、やっぱりそれは。
「やっぱりあの旅館のホームページに仕掛けがしてあると考えるのが妥当じゃないか?」
私一人に起きた現象だというならば、ナニカの間違い、偶然、希なる現象と言う事も有るだろうが、アクセスした者が皆が皆(この場合は2人だが)その音を聞くとすれば、これは旅館の『悪戯』と考えるのが妥当だろう。
大体、『怪異』なんてものがそんなにホイホイ起こるはずがない。
そう、よっぽど日常的なレベルで頻発しないかぎり。
「違いますよ!漆目さん!」
Eくんの口調が強くなった。
「メールに書いたじゃないですか!私がめまいを起こしたのは宿の予約の最中って!」
だから。
そう言いかけたオイラの言葉を遮るようにEくんが続ける。
「わたしが予約するために開いていたのは『旅行会社の宿検索サイト』なんですよ!旅館のホームページじゃありません!」
「!」
偶然?
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