-6-「もう一度夏休みを過ごしたいな」
⑥
「どうだった?」
森の出口へと向かう中、魔女は今日の
ヒカルはさっきの出来事を振り返る。
モンスター(ポルア)を
それを可能にしたのが今、目の前にいる女性の“正体”のお
「すっごく楽しかったよ。お姉さんは本当に“
「魔法使いと言われるよりは“魔女”って言われた方が好きなんだけどね」
“魔女”と“魔法使い”。
違いはそんなにないのだが彼女にとって“魔女”の方が正しく重要のようだ。
「今日が夏休みで一番楽しかったよ」
「夏休み? あら、今日って‥‥」
「八月三十一日だね。夏休みも今日までなんだよね。お姉さんと早く会っていれば、こんな楽しい毎日を過ごせたのかな」
「ふふ、なるほどね。確かに私的にも今までにああいったことは体験なかったわね」
「あーあー、時間とか戻って、もう一度夏休みを過ごしたいな‥‥。そうすれば今度はちゃんと宿題とかもするのにな‥‥」
ヒカルの何気ない言葉に魔女は小さな声で返した。
「それは面白いかもね」
そうこうしている内に森の終わりが見えてくる。
アスファルトで
木陰の森から出たら先ほどのポルアの炎の息に吹かれたように焼かれるだろう。
魔女は
「ほら、もう迷いこむんじゃないのよ‥‥てっ、今回のは
ヒカルが森から抜け出せなくなった原因は結界の所為であるようだ。
あの“一度立ち入ったら出ることは出来なくなる”という言い伝えの
「そうだ、お姉さん。明日もここに居るの?」
「ん~どうかな。どうして、そんなことを訊くの?」
「また一緒にこんな風に遊んでくれたら良いなと思って‥‥」
「そうね‥‥。そうだ、そういえば君の名前を聞いて無かったわね。なんて名前なの?」
「風真光(かざまヒカル)だよ」
「ヒカルね。ねぇ、ヒカル。さっきキミが言っていた“願い”が叶うとしたら、どうする?」
「願い? えっと‥‥」
「時間が戻って、また夏休みを過ごしたい、という願い」
「まぁ‥‥出来ることならね。夏休みの宿題も終わってないし。それに‥‥」
「それに?」
「お姉さんと夏休みを過ごせたら、夏休みが今日みたいに楽しめると思うしね」
ヒカルの
「そうか、そうか‥‥。なるほどね」
「それじゃーね」
「あ、ヒカル」
ヒカルが名残惜しそうに立ち去ろうとするが、魔女は呼び止めると、
「その願いを叶えてあげるわ」
軽いノリのままで言い放った。
「ただし、チャンスは一日だけ。その一日以内に私を見つけて、私の名前を呼びなさい。そうしたら、もう一度夏休みを過ごさせてあげる!」
まるでゲームのルールを説明するかのように語りつつ、ヒカルの元へと近寄ってきた魔女は自分の手の平をヒカルの瞳に
当然、ヒカルの
「よく覚えていなさい、私の名前は‥‥」
暗闇の中で響く魔女の声を聞いていると一陣の風が吹き抜けていき、ヒカルの
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