-5-「チンプンカンプン」
⑤
ポルアを探すために辺りを見回しているが、ヒカルはチラチラと魔女を見ていた。
その熱い
「どうしたの。なにか
「あ、あの‥‥。さっきのポルアは、どうやって出したの?」
「魔法よ」
「そ、そうだと思うけど。なんて言うのかな、ちゃんと
魔女は思わず「おっ!」と
「
ヒカルの頭の上に大きな『?』マークが浮かぶ。
それを察してか魔女は話しを続ける。
「たとえば、キミが
「え、水って‥‥蛇口をひねると出る、アレ?」
「そう、アレ」
「なんで出来ているかって‥‥雨じゃないの? 降った雨をダムとかに貯めて、浄水場で
その答えに魔女はニッコリと笑って返した。
「そうか。そこまでしか知らないか‥‥。そういえば、キミは何歳なの?」
「え、九歳ですけど‥‥」
「九歳か‥‥。それなら知らなくても
ペラペラと語る内容にヒカルの頭の中は『?』マークが一杯となり、一部が耳からこぼれ落ちる。
チンプンカンプンとはまさにこういうことを言うのであろう。
だが、元素の話しは小学四年生のヒカルならば解らなくて当然だ。まだ習っていないのだから。
「と、まあ今は解らなくても大丈夫よ。知らないことはちゃんと聞いておきなさい。
思考回路がショート寸前になっていたヒカルの頭を優しく
「さて、他に
魔女に釣られてヒカル見上げた――その先に木の枝の所でポルアは寝ているのか、耳の羽を休めていた。
「けっこう高い所にいるね。この
魔女の手から生み出された虫取り
ポルアがいる場所まで五メートルはあるだろうか。あきらかに長さが足りない。
「大丈夫。こんなこともあろうかと。ねえ、長くなれ、と
「えっと‥‥」
「ロ、ン、ゲェ、ム、オ」
「ロ、ロンゲェ、ムオ」
たどたどしく
ヒカルは点になった目で虫取り
「魔法の虫取り
「そ、そうなんだ‥‥」
「さぁ、それでさっさと、とっ
ポルアは魔女の声で起こされたのか、目を覚ますと
「逃げちゃった」
「追いかけるわよ!」
ヒカルたちは先ほどみたく見失わないように飛び去っていくポルアを追いかけていく。
だが、相手は空を飛んでいる。全力で走っても追いつく
「ロンゲェムオ!」
先ほど学んだ呪文を唱えてみると虫取り網の
そして飛び行くポルアに向けて、虫取り
「たぁっーーー!」
しかし、ここは森の中。
――ガサッ!
並び立つ木々の枝に長くなった
「あららら、何やってるのよ」
引っかかった
「このまま、ただ追いかけるのもツマラナイわね」
魔女は近くに生えている木の幹にそっと右手で
「ミーダオルドンジェセグ・ミーダ・マノ・ラボリ(我の命に従え。その枝を我の手とし動け)」
木の枝が
ポルアは
「まぁ、こんなもんね! さぁ、あのモンスターがノビている内に、さっさと捕まえなさい」
「う、うん!」
地に伏しているポルアの元に駆け寄ろうとしたが、長くした虫取り
「あっ!」
「レヴェーノ(戻れ)と唱えれば、短くなるわよ」
「う、うん。レ、レヴェーノ!」
言われた通りに虫取り
その間にポルアは
ふとヒカルは
そしてポルアがより強く
「うわわわわっっっ!」
ヒカルは見えないチカラで強く押され、
しかし運良く後ろにいた魔女が、
「おっと!」
飛ばされたヒカルを受け止め、
続けざまにポルアは小さな口を開くと勢い良く青い
全てを焼き
「ルメツムゥーロ(光の壁)!」
すかさず魔女が右手を前へ差し出すと
光の壁の先に、炎を吹き終わったポルアが魔女たちの様子を
「なんなの、あの生き物? てっ、私が
「た、確か、ポルアはね。エスパー系のモンスターで。テレキネスや
ゲームサイトで知ったポルアの情報をスラスラと述べるヒカル。学校の勉強もこのぐらい覚えが良いといいのだが、それはさておき。
説明から先ほどヒカルが吹き飛ばされたのは、
「う~ん、
「戦って、弱らせてから捕まえるものだけど」
「だったら
魔女はポルアに挑もうと覚悟を決めていると、
――ゴゴゴゴ‥‥
地響きと共に地面が振動し始め、地面が割れて、
それは土属性系のテレキネス‥‥“グランドショット”。
ポルアは土の塊を魔女たちに目がけて放り飛ばした。
「おっと! よっと! さっと!」
魔女は
「今度はこっちのターンね。ファイロルグロブ(火の球)!」
魔女の右手に光が集まると、サッカーボールぐらいの
それをポルアに目がけて放ったが、火球が
そのまま目に止まらないほどのスピードで、あちらこちらと動きまわる。
「おっおっおっ!?」
流石の魔女ですらも
「シューティングスターだ! すごい! 実際、こんな感じなんだ!」
ゲームでの技が今目の前で繰り広げられていることにヒカルは
ポルアは動きを止め再び姿を現すと、小さな口を開く。
また火を吹くのかと構えたが、口の周りに光の
ヒカルは
「あれは破壊光線(デストロイビーム)! 気を付けて! あれはスキルの中でも一、二の
ヒカルの
「本当にスゴイわ、私って。そんなものも再現させるなんてね。だけど、ゲームのプログラミングの
今までの状況を
「だからこそ攻撃の動作をするときが、こちらからの攻撃のチャンスでもある訳よね。さぁ、同じようなスキルだったら、どっちが強いかしらね?」
ポルアの口から光線が
「ブリリーガラディオ(輝きあふれた閃光)!」
魔女の手の平からも同様の光線を
光線と光線がぶつかった瞬間、
魔女の光線の方が
光線がポルアを命中すると大きな音のすぐに
平和な日本で普通に暮らしていたら絶対に
やがて砂塵が晴れ、
「ほら、
魔女の声で
「う、うん。わかった!」
言われるがままポルアの元に
『ポルアをゲットした!』
そんなゲットメッセージと共に、ヒカルの頭の中で
しかし、せっかく
「だけど、これ。どうしよう‥‥」
「あら。せっかく捕まえたのだから、ペットとかにすればいいじゃない?」
飼いたいのだが相手はモンスター。光線を出したり超能力を使ったりする生物を普通に飼える訳が無い。
しかたがないので、
「このポルアをゲームの中に戻せる?」
「キミがそれを望むならね」
少し名残り惜しくもヒカルは
魔女はゲーム機を渡して貰い、
「ナンフィグロガスタ・フィグロレヴェーノ(型どられた形から相応しい姿となれ)」
呪文を唱えると、
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