-4-「じつは私はね…“魔女”なの」
④
森を前へと進んでいく中、ヒカルは
「あ、あれ‥‥。おかしいな‥‥」
どこまで行っても森から出られなかったからだ。
何本もの木々とすれ違ったが、まるで同じ場所で
ヒカルは方向を変えて、右へ左にも行ってみた。
今来た道を戻ってみたが、この森から出ることも、森の終わりを見ることが出来ずにいる。
“一度立ち入ったら出ることは出来なくなる”
ふと
やがてヒカルの
「うわっ!」
「な、な‥‥!?」
淡く優しい光が
それは
その“人”らしき
やがて光が
その人物は
その長い髮の女性はゆっくりと
「‥‥あら?」
女性は、その場に立ち尽くすヒカルに気が付き、自然と視線が合わさった。
「キミ、誰かしら? そもそもなんで、ここに居るの?」
「え、あ、その‥‥」
突然目の前に現れた女性に対して、それはこっちの台詞だと思ったが、
未だ
「てか‥‥もしかして、今の見た?」
言葉を
「あちゃ~。そうか、見ちゃったか。おかしいな~~。
軽い
「お、お姉さん。一体何者なの? いきなり、光の中から現れて‥‥しかも、宙に浮いていたよね? どういうこと?」
ヒカルは
その
「やっぱり、しっかりと見ていたのね。見ていましたか。う~ん、なんと説明しましょうか‥‥。まぁ、良いか。じつは私はね…“魔女”なの」
“魔女”
ヒカルは、小学四年生の九歳。
まだ夢見がちの子供ではあるが、それなりの
女性は見た目的に
だからこそ「えっ?」と短い言葉が
しかし――先ほど見た光景。それが魔女発言に確かな
ヒカルは改めて
「本当に魔女?」
「ええ、そうよ。まあ、魔女だと
先ほど見せたあっけらかんとした表情で、あっけらかんと答える。
「しょ、
「さっきので
何も誰も居なかったはずの場所に、
「あれは
「何をしていたか‥‥う~ん。
「え‥‥?」
「だけどその
「ねがい? そ、それって、どういうこと?」
「言葉の通りよ。私は魔女だからね、どんな願いでも“魔法”で叶えてあげられるわよ。ほら、
だが、どんな願いでも叶えてくれるという言葉に
その中で夏休みに叶えられなかった、あの“願い”を思いついた。
「‥‥それだったら、ポルアというモンスターを出してよ」
「へ? ぽるあ?」
聞き慣れぬ言葉に魔女とあろうものが聞き返してしまった。
「もしかしてお姉さん、モズパを知らないの?」
「もずぱ? なにそれ?
「食べ物とかじやない。えっとね、モズパはね‥‥」
ヒカルはポケットの中に入れていた携帯ゲーム機を取り出し、魔女の前に差し出した。
モズパ――
モンスターを捕まえて、モンスターを動物園のように
このゲームにハマってしまった為に、ヒカルは夏休みの宿題が出来なかったと
ちなみにモズパに登場するモンスターは全部で八百匹いるらしく、ヒカルは友達と協力してモンスターを集めていたが――
「そのゲームに
「なるほど、ゲームね」
「どう?」
ヒカルは
しかし科学の
ダメ元で頼んでみたのだったのだが――
「いいわよ」
魔女の
「ちょっと、これ借りるわね」
「“ゲーム機”だって、要は“魔法”みたいものだからね」
魔女の手から青い光が発せられ、それはやがて光の輪‥‥
その光景をヒカルは、口をあんぐりと開けて眺めていた。
そして魔女は不思議な言葉――呪文を唱えだす。。
「ファントゥジィオ・ダ・エクジィトス・フィグーロマーソン・ミィ・アントゥ・エペリ(幻想の存在よ。姿を構築し、我の前に現れよ)‥‥」
光の魔法陣はゲーム機のモニターに吸い込まれていくように消えていったと思ったら、ゲーム機のモニターから“物体”が飛び出した。
それは――
「ぽ、ポルアだ!」
目の前に現れた生物は、鳥の翼のような形状をした長い耳、銀色の毛並みから世族に
小動物でありながらライオンのように
その姿はゲーム雑誌で見た“ポルア”という名のモンスター。
ゲーム上のモンスターが目の前に、現実の世界に現れたのだ。
てっきりヒカルは、裏技を使ってポルアのデータを出現させるものだと思っていたが、。それが、まさかである。
「え、あ、なに、今の何? え、えっ!?」
「あなたのお望みどおりに、ポルアというものを出してあげたのよ」
「ポルアが。なんでゲームから出たの?」
「あら? 君はそれをご所望じゃなかったの?」
「ポルアがゲームに出てくるものだと‥‥」
「だから出してあげたでしょう」
「いや、あんな風に本当に出てくるなんて‥‥。そんなこと思いもしなかったよ!」
「まぁ、少し食い違ってみたけど、ある
「いや、間違ってはいると思うけど‥‥それはそれで、えっと‥‥」
何が正しいで、何が間違っているのか
改めて女性をじっと見つめ、
「お姉さん‥‥一体何者なの?」
「ふふ、言ったじゃない。魔女だって」
その言葉は初めて聞いた時よりもズッシリと感じるほどの
「それより良いの? あの逃げた生き物をほっといて?」
「あ、そうだ!」
飛び去ったポルアを姿を見つけようと辺りを見渡しが、どこにも見当たらなかった。
「もうどこかに逃げたんじゃ‥‥」
「大丈夫よ。今、この森には結界を張られているから、外からは誰も
「森から出られない。あれ、それって‥‥」
どこまでも行っても、どこへ行っても、森から出られなかった理由を知った。
「それじゃ
「捕まえるって‥‥どうやって?」
「ん? そりゃ捕まえるとなれば、決まっているでしょう!」
魔女は人差し指を立てると、クルっと回して小さな円を
すると先ほど同様に光の輪‥‥
「さあ、あのモンスターを捕まえに行きましょう!」
虫取りアミをヒカルに手渡して、魔女は虫かごを自分の肩にかけると、ポルア探しをすることになった。
何もない場所から何かが現れる。
何度も繰り広げられた
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