かりそめにあす死なむともつねのごと暮らせる人はかしこくあるらし

【読み】

 かりそめにあすしなむともつねのごとくらせるひとはかしこくあるらし


【大意】

 仮にあす死のうともいつものように暮らしているひとは聡明なようである。


【附記】

 あす死ぬつもりで生きよとはしばしば言われることかと思う。あす死ぬさだめであってもいつもどおりに過ごすことはその精神に合致し、そのひとは思慮深くあるいは立派で畏敬すべき人物であるとの理屈である。

 形容詞の「かしこし」はもと畏怖・畏敬を表す語であったという。わたしは、「賢者」のような漢語を「かしこ(畏)き人」と解釈したために才知があるとの意味が加わったかと勝手に考えている。「死ぬ」は「死しぬ」がつづまったものと予てより思っていたがどうやら違うらしい。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る