長雨とはかねて聞けどもさみだれのかく降り継ぐを知らざりしかも
【読み】
ながめとはかねてきけどもさみだれのかくふりつぐをしらざりしかも
【大意】
長雨とはかねてより聞くところであるが、梅雨のこうも続けて降ることを知らなかったことである。
【附記】
一週間前から毎日のように降り一週間先まで毎日降る見込みらしく、わたしの住む場所では異例の事態と見える。
【例句】
五月雨に家ふり捨てなめくじり
海山に五月雨添ふや
五月雨や桶の輪きるる夜の声 芭蕉
五月雨に
五月雨の降り残してや光堂 同
五月雨をあつめて早し最上川 同
さみだれや蚕煩ふ桑の畑 同
さみだれやつきあげ窓の時明り
さみだれの尻をくくるや稲びかり
五月雨にしづむや紀伊の八庄司 同
湖の水まさりけり五月雨 同
つづくりもはてなし坂や
さみだれや
里の子の五月雨髪や田植笠
五月雨や桃の葉寒き風の色
五月雨や
さみだれに小鮒をにぎる子共哉
五月雨の仕舞は竹に夕日哉
五月雨やふり
咄しさへうちしめりけり五月雨 同
五月雨や
さみだれや植田の中のかいつぶり
さみだれや風つれて来て戸を
五月雨に隣も遠く成にけり
牛流す村の騒ぎや五月雨
五月雨の晴間を不二の雪見かな
五月雨や田舟の中になく蛙 同
さみだれや夢かとおもふ宇津の山 同
さつき雨田毎の闇となりにけり 蕪村
さみだれや大河を前に家二軒 同
五月雨や滄海を
五月雨や三味線かぢるすまひ取り
五月雨や物にうつろふ繭の
さみだれやけぶりの籠る谷の家
さみだれの空や月日のぬれ鼠
五月雨盛りいちごの雫かな 留里
五月雨の竹に隠るる在所哉 一茶
五月雨や夜の山田の人の声 同
五月雨や猫かりに来る
五月雨や庭を流るる竹の皮
五月雨や蘆の上行く淀の舟 太無
五月雨の狐火うつる小窓かな 内藤鳴雪
さみだれの畳くぼむや
五月雨のふり潰したる藁家かな 村上鬼城
さみだれに持ちあつかふや蛇目傘 夏目漱石
眼を病んで灯ともさぬ夜や五月雨 同
五月雨や月夜に似たる沼明り
五月雨や尾を出しさうな石どうろ 泉鏡花
五月雨や
五月雨や雨の中より海鼠壁 芥川龍之介
さみだれや
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