おのれにはそれしか無しと思ふとき世を遁るべき道はひらけむ

【読み】

 おのれにはそれしかなしとおもふときよをのがるべきみちはひらけむ


【大意】

 自分にはそれしかないと思い定めるとき、つらい世から遁れられる道はひらけるであろう。


【附記】

「一芸は身を助く」である。わたしの特に重んじるひとり松尾芭蕉(1644-1694)は「無能無才にしてこの一筋につながる」と言ったらしい。わたしは、座右の銘とは言わないまでもそのことばをありがたく心のかたすみに置いている。


【例歌】

 世間よのなかをうしとやさしと思へども飛び立ちかねつ鳥にしあらねば 山上憶良

 よのなかよみちこそなけれおもひいるやまの奥にも鹿ぞ鳴くなる 藤原俊成ふじわらのしゅんぜい

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