五月雲見つつしをれば鳥ならぬこの身の上は思ほゆるかも

【読み】

 さつきぐもみつつしをればとりならぬこのみのうへはおもほゆるかも


【語釈】

 五月雲――皐月の雲。「皐月」は旧暦五月の異称で、新暦だと6月頃にあたる。梅雨の雲。

 見つつしをれば――見ていると。「し」は調子を整える語。


【大意】

 梅雨の雲を見ていると、鳥ではないこの身の上が思われることである。


【附記】

「世の中をしとやさしと思へども飛び立ちかねつ鳥にしあらねば」(山上憶良)という歌に唱和したかたちである(わたしは目下のところその歌を和歌のなかの和歌と思っている)。わたしは短歌よりも俳句をつくることが多く、自己認識の上でも俳句をつくる人間であるためか季語を入れることを忘れていない(むろん季語は不要である)。わたしのつくる短歌の終わり方がワンパターンである点が気になっている。


「つつ」の後には「あり」を置くのがふつうのようである。それを敢えて「をり」にすることで、その動作の主体が詠み手であることをほのめかした。

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