第一章4「天使の加護」
拍手に包まれている俺と天ヶ崎レクハは周りから完全に孤立していた。俺は彼女の前の席に座っている。そうすると、必然的に俺は後ろを向くことになる。その体勢になってからある程度の時間は経っているはずだった。しかし、未だに数名は除いて気づいていない。一方方向を見ている俺がなぜにそのようなかとが分かるかというと、これもまた能力だ。認知能力パーセプション。この能力は死角からの攻撃に備えるために取得するため魔法騎士団に入団するのに必須の能力となっている。極僅かしか使えないはずの能力を俺はなぜか、いくつも所有することを可能としている。まぁ、そういう奴は俺だけではないのだが。
「で、なんで俺を探してたんだ。それじゃあ、答えになってないぞ。」
そう言うと、彼女は微笑む。その微笑みも美しく、惹かれる要素満載の彼女は悩みげに、
「なぜって、それは、えーとっ、ハルトくんが私と同じ次席だからですかね?」
なぜかその言葉は本当のようで嘘であるように聞こえた。そんなことより今、衝撃の事実を告げられていることに気がつく。
「『私と同じ次席』って言ったのか?」
「はい、言いました。」
そこは迷いなくはっきりと言う。顔にはどこか嬉しげな表情にも読み取ることができた。しかし、俺が気になったのはそんなことではない。次席が二人いることなどいままでに聞いたこともない。この国立カーラアノス学園の入学筆記試験の満点は400点でそこにプラス剣術200点、魔術200点の総合計800点である。最低合格ラインは8割の640点だ。その差260点とかなりひらいているため基準がかなり低くみえて思えるが、難関校である国立カーラアノス学園の入学筆記試験は一から百までひねりにひねられた応用問題しか出されない。また、国立カーラアノス学園は当日の総合点重視のため、検定などの内申点はほとんど使われることがない。そんなことは置いといて、
「因みにだけど、科目ごとの点数を聞いてもいいか?」
「筆記科目満点、魔術200点、剣術190点といったところでしょうか。」
確かに総合計点数は790点だった。しかし、俺とは違い魔術200点、剣術190点。俺の魔術、剣術の点数とは正反対であった。つまりは彼女も上位10名の一人であり、実力者なのだ。
「天ヶ崎レクハさんと言ったかな?あなたさっきから嘘の匂いがしますねー」
すぐに気づかなかったが二人の間を割って緑の頭が目の前に入る。どこからどうみても、人に突っかかってこなそうな彼は俺の勝手な考えを打ちはらうように声をかけて来たのだ。そんな彼に対して迅速に且つ少し驚いたような口調でレクハは返答した。
「嘘?一体なんのことでしょうか?。」
「とぼけるなよ〜。今、お前は天ヶ崎家の者と言ったでしょー。これ以上の証拠がいるかな〜?」
なんの話をしているかも分からない俺はその輪から外されたような気分になった。レクハはこれは駄目だなと言わんばかりにため息をつき、
「ハルトくん、すみません。さっきは嘘をついてしまいました。実は私、いえ私達天ヶ崎家はずっとあなたの所在をさがしていたのです。」
「どういうことだ?俺の所在を探られるような悪いことはしてないが?」
「いえ、そういうことではありません_」
「じゃ、なんだよ?」
緊迫したこの空間に今の状況を理解している者は二人、そして俺はその反対つまり全くの無知者なわけだ。だからこそ質問したのだが、当の本人レクハはなかなか答えようとしない。しかし、決心したのか彼女は口を開いた、
「あなたは、天使の加護を受けています。私達、天ヶ崎は『天加の探』という潜在能力を保持しています。この能力は普段はあまり役にはたたないのですが、このようにあなたが天使の加護を受けているかどうかがわかってしまいます。」
そうすると、彼女は青く輝くそれはそれはとても美しい瞳を指差しす。しかし、その瞳は俺を見つめると赤く光った。俺はそれがどういう反応か全くわからない。俺は一瞬耳を疑い、焦りを隠せないでいる。
「て、天使?か、加護ってなんなんだよ?」
しかし、それを見たもうひとりの緑髪の青年はなるほどと、何かを理解し少し驚いたかのようでもあり喜んでいる表情をしていた。そんなまだ名の知れぬ緑髪の彼がレクハの発言に対して補足する。
「それもただの天使じゃないよ〜。第一天使ガーネットの火の加護を君は受けているんだ。この天使は他の下級天使たちを率いる貴族天使だ。そして何よりも厄介な天使だよ〜。」
「なんだそれはー⁉︎」
入学式にも終わりが来て退出をしだしている生徒があらわれだした。そんな中、俺は入学式が終わるまでに新の事実を伝えられてもちろん衝撃を受けているが半面疑ってもいる。だが、まだ知らなかった。そんな半信半疑の俺がこれから待ち受ける大きな壁の存在を。
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