第25話 戦の始まりを告げる雨

71・雨の中の静けさ


『敵は先ほど進発し、こちらの準備もすべて整いました。これより作戦を開始します。今のところこちらの予測を違える動きはありませんから、皆様も予定通りに進めて下さい。それで勝てますゆえ。』


 ザイール南部の不届きな反逆者を討伐するための南部派遣軍は、街道から外れた行き来の面倒な町村をヘルダに任せ、街道沿いの比較的大きな街を攻め立てた。大半の街はミツカの惨劇を聞いてもぬけの空になり、占領は簡単だったが人も金も消え、ただ廃墟が手に入っただけだった。滞納者の捕縛報酬や現地での略奪に心躍らせていた州軍は失意のまま帰途に就き、ヘルダ村の懲罰部隊が捕縛したという滞納者を載せた囚人護送車数輌を受け取ると、ろくに調べもせずザイラスに向かったのだった。


『この星空を見る限り明日の天気は快晴なれど、所により一時大雨となります。まったく不思議ですねぇ。そして雨音で気配をかき消しつつ接近し、雨上がりと同時に各隊で仕掛けます。護送車から味方が援護攻撃をしますので、同士討ちを避けるため護送車には近づきすぎないようにしてください。ちなみに首や腕に赤い布を巻き付けているのは味方ですから、余裕があれば斬りつける前にご確認を。』


 作戦開始の前日、フレッドは部隊指揮官らの立場にある面々に作戦概要を説明する。ヘルダからザイラスに向かう途中、切り立った岩場が多く雨宿りをしやすい地形に差し掛かったところで雨乞いの術を行って大雨を呼び、動きが止まった南部派遣軍に音で悟らせぬまま追いつき奇襲をかけるのがその内容だった。


「初戦の戦果次第で我らの行く末が決まる……ということは承知しておるが、全軍で出撃し本陣たるヘルダを空にしてしまって本当によいのか?」


 そう質問したのは[夜明けの星傭兵団]団長のウォルツァー=コール。彼らは重装歩兵団という特性上、重要拠点の防衛に就くことが多い。今回のような移動する敵に追いすがって交戦するということは少なく、戦術の傾向としては「まず守りから」が基本なのだ。


『ウォルツァー団長の意見はごもっともです。そこで今回、ヘルダにはハゼル殿を残します。危急存亡の状況になった際は、思念を飛ばしていただけるようゲティ翁にも残っていただくので、もしヘルダに危機が訪れたら脚の速い部隊で駆けつけましょう。もっとも、グア=ロークに及ぶ力がない限り抜かれることはないはずです。』


 フレッドとしても父は極めて貴重な戦力と成り得るのだが、消費と補充の関係から物資の輸送に問題がない場所と状況でしか戦わせるわけにはいかなかった。いかに圧倒的な破壊力を持つ剛斧でも、それを上手く扱い思いのまま振るえなければ役には立たないのだ。


「大将さんも、やっぱりヘルダに残って朗報をお待ちなさるかしら?。お二人が揃って残られるならここの心配は無用ですわね。」


 [野鶲の傭兵団]団長フェルミ=コーラルの発言は、ヘルダ村に残るべきだという半ば念押しのようなものである。というのも、フレッドはなぜか前線に出るつもりであり、しかも隊は率いず単独で動くという。ほかの隊長格の面々からすれば、とても正気とは思えなかった。


「そうだぞフレッド。総指揮官ってのは戦いが始まるまでにあれこれ考えるのが本業で、戦いが始まってからは本陣でふんぞり返っているもんだろ。後ろで見ていて、何かあったら軌道修正してくれりゃあいいんだよ。」


 皆はどうにかして私が出ていくのを止めたいらしい、ということはフレッドにも理解できていたが、彼としては指揮下にある各隊が実際にどう作戦を遂行するかを自身の目で見届ける必要があった。幸いにもこの初戦は勝つための算段がうまくまとまり、予定通りに期待値を叩き出してくれれば負ける目はない。しかし次に待ち受けるザイラス守備隊や、外道の手段を用いた北部派遣軍との戦いがどうなるかは未知数であり、そういった敵と戦う際にどのような作戦を立てるかの判断材料とするためにも味方部隊が実戦で見せる動きを知っておく必要があったのだ。


『そこまで心配されずとも大丈夫ですよ。私は皆様の実戦における働きぶりを拝見しに行くのであって、戦いに行くのではありません。それに皇国は騎兵の文化が遅れていて、私が騎乗の腕で負けるとは思いませんし、今回の敵には騎兵隊もおりません。追いかけてきたところで、逃げるのは容易いですから。』


 そう説明はしてみたものの、なかなか了承は得られない。フレッドは指揮や戦略面では臆病なくらいに慎重で、基本的に危ない橋を渡ろうとはしない。しかしこれが自身の戦いとなるとレヴァス戦で見せたような、相手の攻撃に身を晒して反撃を狙うなどの危ない橋ばかりを渡りだすのだ。父や兄との力の差を少しでも埋めるためにリスクある攻撃手段が不可欠なものだったことはブルートにも理解できるが、それだけに「部隊を率いず単独で行く」というのが引っかかるところなのだ。しかしフレッドとしてはこちらにも騎兵隊がいない以上、単独で行くしかないと考えていた。


「それじゃ、わたしが先生のお目付け役になります!どうせ戦うことはないというなら、それでも危険はないですものね?」


 そう言い出したリリアンに一同は困惑するが、よくよく考えれば悪い話ではなかった。彼女がいればフレッドは間違いなく「臆病なほう」になり、もし窮地に立たされるようなことがあっても思念を飛ばすことで状況が打開できる可能性もある。少なくとも、一人で行かせるよりはよっぽど安心なのだ。フレッド一人が反対したものの、ほか全員が賛成してしまってはフレッドも受け入れざるを得ない。リリアンの同行をしぶしぶ了承することとなった。



「あの先生、これはちょっとお邪魔になってしまわないかと……本当にこれでよろしいのでしょうか。わたしこういうの初めてで……」


 リリアンが同行することになり、皆はフレッドがもう一騎の騎竜を引いて視察に出ると考えていたのだが、それでは動きが損なわれるからとリリアンを同乗させていくことにしたのだった。通常の二人乗りは騎手が前、同乗者が後ろという形が多かったが、フレッドは龍ノ稲光を背中側の腰に吊り下げていたため後ろには座れず、リリアンはフレッドに体を預け腕に抱かれる形となってしまっていた。


『邪魔なんかではないですよ。それより、激しく動いている間はしっかり歯を食いしばっていてください。下手に口を開こうとすれば、舌を噛んだりすることもありますから。何かお話があるなら袖を引くなりの合図をしてもらえれば、できるだけ早く竜を止めます。……では行きますか。父さん、村のほうはお任せしますね。何もないとは思いますが。』


 父はどことなく嬉しそうにニヤつきながら「しっかり見極めてくるがよいぞ!」と言って息子を送り出した。フレッドはそれに違和感を感じはしたが、来たるべき決戦の地に向かうという緊張感からそのことはすぐに頭から消えてしまった。もっとも後に、なぜ父がこんなにも嬉しそうだったのかを聞き得も言われぬ気分にさせられてしまうのだが。



「うん?さっきまで晴れてたのに、なんだか急に曇ってきたな。雨の中を進まなきゃならん急ぎの行軍でもないし、ここらで休憩にするか。全隊に小休止を伝えよ。」


 南部派遣軍の指揮官ヴェントは傭兵上がりで、元は領主ゼニスに雇われた男である。軍学校などは存在しない辺境区では正規兵と言っても荒くれ者が多く、傭兵団や追剝ぎ集団と大差ない部隊も少なくない。そして南部派遣軍は典型的な辺境区の正規兵であり、そのような集団を率いるには作戦指揮能力よりも腕っぷしの強さが求められ、ヴェントもその腕を見込まれた口であった。


「まったく、街道沿いの街は大半が財産を持ち逃げ。貧乏な村では命を捨てて死に物狂いの徹底抗戦と来た。今回は働き損だったぜ。」


「それに比べ、北の奴らはうまくやったもんだな。敵より少数で攻めるっつーから南にしたってのによ。……あ、降ってきやがった。」


「でもさすがに、異界の怪物を使って皆殺しはいくらなんでもやり過ぎじゃねーか?次から誰が納税して俺ら養ってくれんのよ?……お、強くなってきやがったぞ!」


「ミツカは最初だから、派手な見せしめにする必要があるんだとさ。ビビらせて、昔のように従順な領民にしたいんだろ。ここ1周期、いろいろと噂が立ってるしな。……にしてもこりゃひでえな雨だな。岩陰に隠れてやり過ごすか。」


 州軍が予測通り岩場で小休止を取り始めたのを、切り立った崖の上から見ている者がいた。フード付きの雨除け外套を纏い、竜に跨ったフレッドである。体に見合わぬほどの大きな外套は騎竜の背も覆い隠さんばかりのものだったが、彼が覆っておきたかったのは腕の中にいる少女と、腰に提げた長柄の剣である。明らかに動きを阻害するであろうこの外套も、しばらくすれば不要になることを彼は知っている。そしてそれが、戦闘開始の狼煙となるのだ。


『予測通り、この岩場で部隊が止まりました。彼らは街道から外れた目標には赴かないほどものぐさで、他人に任せて成果を自分で確かめないほど仕事に対しても不真面目です。雨に降られれば離れた森まで急いで避難しようとしたり、一刻も早く任務を済ませるために雨中の行軍をすることもないことは目に見えていました。』


 外套の首元付近にある結び目の一部を緩め顔を覗かせているリリアンに、この場で待ち受けていた理由を説明する。ここで予想された最悪のケースは雨宿りのために囚人(に擬した工作兵)を護送車から出すというものだったが、さすがにそこまで落ちぶれてはいないようでフレッドは胸をなでおろす。ここで護送車から降ろされては、かく乱の機を逸する可能性もあったのだ。


「先生はそうなるとの確信があったから、シェリーさんたちにこのあたりで雨を呼んでもらったんですね。」


 ヘルダからザイラスに向かう街道は、かつて採石場として使われていた場所を広げ道としたものである。ヘルダを出ておよそ2日はその名残を感じさせる岩場が続き、以前にザイラスから戻る途中にジェンダの出稼ぎ達に襲われたのもこのあたりである。フレッドの中に残る悔悟の記憶が、今回の作戦を決めた理由の一つでもあった。


『ヘルダを出てからしばらくは、このような岩場が続きますからね。もう1日くらい進めば、君は思い出したくないだろうけど危ない目に逢ったあの場所にもつながる。賊が岩場を使ってバスティンさんたちの目を掻い潜って近づいてきたのを参考にした……というわけです。ただ、軍規模ともなればさすがに気付かれやすくなるので、雨という目隠しを使うんですよ。これはシェーファーさんたちの協力が得られたからこそ、ですけどね。』


 もともと南部派遣軍との決戦について戦術を練ってはいたが、それはシェーファーらの参加で大きな修正を余儀なくされる。新たに加わった強力な手札を加味した再構築を行い、より勝利に近づける。リリアンは朝から晩まで虚空を見つめ続け、思案の世界から出てこなかったフレッドを何度も見かけた。その都度「ご飯もしっかり食べて下さい!」「ちゃんとお休みにならないと体に悪いですよ!」と苦言を呈すのだが、なかなか聞き入れてはもらえなかった。そこで一度、盛大に腹を立てた演技をして注意してみたこともあった。


『人は「ああしていたら」とか「こうなっていれば」みたいに、過去を振り返ることがあるよね。個人がそれをやるのは構わないと思うけれど、他人の命を握る立場の者が後になってそんなこと言い出したら、失われた命に顔向けできない。だから私は事が起こる前は思いつく限りの「~たら」や「~れば」を繰り返すのさ。全知全能だったらそれを考えながらいろいろできるんだろうけど、さすがにそれは無理でね……』


 そう言って軽く微笑むフレッドを見て、リリアンは何も言えなくなった。この人が背負っているものは、自分には想像もつかないほど重い荷だと痛感したのだ。実際かつてユージェでは彼の指揮の下で多くの兵が戦い、敵味方を問わず誰かしらが死んでいった。そして今、このザイールでも少なくない犠牲者が出るのだろう。それを生き延びた者が後になって「あれは必要な犠牲だった」「彼らの働きなくしてこの結果は得られなかった」というのは簡単だが、死んだ者たちに言わせれば「俺たちも死なないようにしてくれりゃあ良かったのに」となるはずなのだ。フレッドの指揮官としての始まりは兄の死によるものだったからか、その戦術は後世に「とにかく堅実かつ効率的。損失を嫌い戦う前から勝ちが見えているような状況でしか戦おうとはしない、人によっては臆病と評す者も出るような指揮官」と記されたほどだった。


『さて。もう雨も上がりますから、まずは[野鶲の傭兵団]が仕掛けるはずです。雨の中で戦いが始まってしまうと、雨が人を殺すわけじゃありませんがシェーファーさんたちも気にはなるでしょうし、それに雨が止んで日が差せば人は空を見上げ一息つくものです。その気の緩み、備えなきところを打つ……!』



72・雨上がって吹き荒れる嵐


「よし、前衛隊は敵陣に突撃をかけな!後衛は鎧を外しているやつを重点的に狙え!体制を整える前に手痛いのをくれてやるのよ!」


 フェルミ団長の号令の下、まずは[野鶲の傭兵団]が南部派遣軍の軍列後方の部隊に襲い掛かる。南部派遣軍は隊を前・中・後の3隊に分け、それぞれ500ほどを配していたが、10人ほどが並んで進めるほどの広さもない街道で、しかも街道以外を歩かせると重装兵は足が遅くなる。結果、細い街道に長大な縦列隊形を取る形になってしまっており、後方から攻めかかった[野鶲の傭兵団]は街道だけでなく脇の荒れ地や森林からも仕掛け、半包囲状態で集中攻撃を掛けることができたのだった。


「後ろが騒がしいが、また殴り合いでも始めたのか?味方同士でやり合っても報酬は出ないのだから、ムダなことはよせと伝えろ!」


 南部派遣軍の指揮官ヴェントは後方から微かに聞こえる喧騒を耳にし、そう部下に指示する。彼もその部下も、自分たちは領民など誰か襲う側であり、襲われる側という認識は欠片も持ち合わせてはいなかった。この認識の甘さが初動対応を誤った原因で、ヴェントが後方から敵襲を受けたという情報を得た時には後方配置部隊の一割ほどが失われ、それ以上が戦闘不能状態に陥っていた。


「後ろから敵?敵とはなんだ!領民どもがどこかに潜んでいたか、それともユージェの奴らがまた来たのか?ええぃ、取り敢えず中軍を増援に回せ。荒地でも何でも、全力で駆けつけろと命じておけよ。前軍は中央に移動させろ!」


 ヴェントの指示は戦力を集中させるという基本的なものだったので、間違いではなかった。しかしそれだけに、そうすることは想定内でもある。三方からさんざんに攻め立てた[野鶲の傭兵団]は「敵の増援が見えるまで戦う」という事前の取り決め通り、中央部隊の一部が近づくころには撤退を開始する。そしてそれを見た南部派遣軍は、敵が恐れをなして逃げ出したと判断してしまう。逃げ惑う相手……おもに領民を襲うことこそが、彼らにとっての戦いだったからだ。


「奴ら女の尻を追うのに一生懸命だな。こちらには気づいちゃいないようだが、今はフレッドの指示通りやり過ごす。皆も功を焦って飛び出すなよ?」


 街道を戻る形で撤退を開始する[野鶲の傭兵団]を、重装兵が追いかけるという光景を見ながらブルートが周囲にそう囁く。撤退する[野鶲の傭兵団]は女性団員の比率が高めなことに掛けた冗談だったのだが、別の冗談のほうが信憑性が高かった。


「私はブルート殿も尻に釣られて飛び出さないか心配であったが、どうやら杞憂に終わったようだな。いや女好きが災いとならず、まことにめでたい……」


 [夜明けの星傭兵団]のウォルツァー団長は皇国本領にいた頃のブルートがいかに「お盛ん」だったかを知っていたので、あるいは冗談のつもりではなかったかもしれない。いずれにせよ、主戦力たる彼らの出番は少し先の話で、今は待つ時なのだ。


「俺は女の尻なんぞ追わんよ。なにせ女のほうが俺を追いかけてくるって図式なんだ、こちらから追う必要がねえってもんさ。」


 その発言にダウラスとウォルツァーは顔を見合わせ、肩をすくめる。彼らの知る限り、ブルートが追われる側であった回数よりは追う側だった回数のほうがはるかに上回っていたのだが、当人にその感覚はなかったようである。このようなやり取りを行いつつ身を潜めるヘルダ側の重装歩兵団の前を、南部派遣軍が通り過ぎていった。



「よし、ここまで引きつければ十分だろう。みんな、よくやってくれた。左右どちらでもいい、森か岩場に向かうんだよ!」


 フェルミ団長の指示で各団員が街道沿いの森林や岩場に退避する。最初からそうしなかったのは、それをすると潜んでいるブルートらに目が行ってしまう可能性があったことと、街道上に待ち受けている者たちがいたからであった。


「1班2班は斉射準備!3班4班は合図までに目標地点の修正を!……まずは1班2班から、放て~!!」


 指揮棒を敵集団に向けてかざしながらテアが号令をかけると、70を超える大型クロスボウの矢が街道上に向け放たれた。最前列にいた兵20人ばかりが矢を一身に浴び、街道上に血の池地獄を展開する。その光景を目にした後詰は戦慄し足を止め盾を構えてしまうが、正面からの射撃を恐れるあまり、岩場の上に配置された3班4班の攻撃には気付き得なかった。そして次の斉射で数十の兵が射貫かれることになる。


「2射が終わったな?では俺たちの出番だ。野郎の尻に興味はねぇが、後ろから一撃食らわせて本当の戦ってもんを奴らに教えてやれ!」


 後ろから来るのは味方の部隊である……と思い込んでいた追撃隊は、肉薄する鋼鉄の軍団が殺気を放っていたことに気付くのが遅れた。近づいてきたのがこれまで追いかけていたような軽装兵ではなく、自分たちと同じような重装兵であったことも勘違いの一因だったかもしれない。いずれにしても簡単に背後からの攻撃を許し、追撃隊は一瞬のうちに大混乱に陥ってしまった。前には容易に近づけそうもないクロスボウの砲列と、それを守る軽装兵。後ろからは重装兵の一団。州軍は完全に囲まれてしまい、まさに進退窮まる状態であった。


「ミツカでお前ら州軍がしでかしたことを考えれば、捕虜になって助かる道などないことは理解できるな?ここで死ぬか、命懸けで逃げるか……好きなほうを選べ!!」


 本隊から離れ追撃のために突出した後方部隊と中央部隊の一部を合わせたおよそ600は、不意打ちと奇襲を繰り返されあえなく瓦解した。殺戮の宴が終わり、ヘルダ側が決戦に備え一時後退した後に現場へと到着した南部派遣軍の本隊は、100にも満たない生存者の話を聞き、自分たちの敵が訓練された軍隊であることを知る。突然の大雨から始まった命を糧に吹き荒れる嵐は、いまだ収まる様子を見せてはいない。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る