第15話 矯正

「で、どこまでほんと?」

「一応全部本当ですよ。ピアスも申し訳ないですけど、ガチです。」

「うっそ。マジで?」


殿と珈琲のやり取りが終わったあと、合意の上(拒否権はなかった)珈琲は行き同様眠らされ、高校に送り届けられていた。

返還された衣類に盗聴器などがつけられていることを恐れ、着替えてから再び集まったのだった。


「手持ちに珈琲先生を脅す手札があれしかなかったので、切らせていただきました。」

「めっちゃ脅されたしたわぁ、怖かったぁ。」

「仕方なかったんでs」

「怖かったわぁ。」

「すいませんね!?いや、私も強い珈琲先生があんなに簡単に捕まっちゃうなんて思ってませんでしたけど!」

「……言ってくれるね???」


珈琲としても捕らえられたのは、校舎内だと油断していたとはいえ不本意だった。そして口では怖かったと殿を責めるようなことを言ったが教師である以上教え子は守らねばならない立場であり、これもまた不本意ながら殿に申し訳ないという気持ちが無いわけではなかった。


「……これから私はあの人たちの話にのって、色々動いていこうと思います。最初に記憶操作を行うのは本館の生徒だということなので、そこから。」

「本当にやるの?」

「……わかりません。でも、なにもしないという選択肢はないでしょ?」


弱いものと見下されていたという事実がある以上、従順に見せていればいつかなにか見えるかもしれないというのが殿の考えだった。


「ふーん、じゃあ、仕方ないから一肌脱ぎますかね。」

「洋服は着といてくださいね?」

「ふふふ、どうしようかしらー☆」


後日殿に「珈琲先生はたまにカマっぽくなるのウケる。」と言われることをこのときはまだ知るよしもなかった。

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終焉 空白 創成 金魚殿 @Dono-Kingyo

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