大輔
「ちょっと整理してみようか」
ため息まじりに大輔は言った。
美弥たちは犯人について、なにか知っているようだが、そう簡単に口を割りそうにはなかったからだ。
「今回の事件に関係ありそうなことは。
配膳室の女の子の霊。
崖下の女の幽霊。
それと、教頭の言った、ここで死ぬのが運命であるかのような言葉だな」
「時間順に並べると――」
と美弥が言葉を引き取る。
「配膳室の事件が最初かな。
一番古いノートに書いてあったもんね。
ここの生徒かどうかはよくわからないけど、女の子が地下の配膳室に閉じ込められて、
次が
巻き込まれて女の人が亡くなった」
そして―― と少し申しわけなさそうに浩太を見て言った。
「最後が教頭先生。
あの配膳室で亡くなってた」
うーん、と叶一が首をかしげながら言う。
「なんとも
もし、ぜんぶが事故なら、
教頭のあれだって、ぜったい《ぜったい》に事故でないとは言い切れない。
現実の世界では時間は進んでいるのだろうか。
だとしたら、もうかなりのことはわかっているだろうが。
ふと思う。
誰かが自分たちをここに閉じ込めたのは、もしかして―
単に事件の裏にあるものを見て欲しいとかそういうことだけではなく。
だとするならば、犯人は――?
そう思ったとき、美弥の声がした。
「逆に関係があるのなら、ぜんぶ事故じゃないってことかしら」
「崖崩れも?」
と一美が眉をひそめる。
「いつころのことなのかしらね。
詳しいことわからないかしら」
美弥はもう一度、崖下の幽霊について書かれてあったノートを見る。
「崖崩れが起こったのは、『ちょっと前』って書いてあるわね。
このノートがここにある中では一番新しいみたいだけど。
この校舎、いつまで校舎として使われていたのかしら?」
「二十年くらい前じゃないか?
うちもそのくらいだし。
確か、となり町の校舎が二十年で建てかえなんて早すぎるって言われてたから」
木造校舎なことと、生徒の
クラスが増えすぎて、特別教室がぜんぶプレハブになってしまったことなどから建てかえが決まったらしい。
「二十年前かあ」
とつぶやき、美弥はふり返る。
新聞を探しているのだと、すぐにわかった。
もしかしたら、地方紙の
古い記事でもさがせるようになっている。
「美弥」
と大輔は呼びかけた。
「ここが
いや、下手したら、まだのってないかもしれないけどな」
そうね、と美弥は顔をくもらせる。
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