異世界の少女
ある日、目が覚めると見知らぬ少女の顔がありました。
「ねえさま、ねーえーさーま−!!!!」
真っ先に飛び込んできた、女の子の顔。相当近くで覗き込んでいた彼女は、私と目があうと、何度かパチパチと瞬きをし、大声を出しながら、部屋を飛び出していった。
聞こえてくる足音から察するに、小学校入学前ぐらいの女の子だろうか。私は、体を置きあげようとして身体中に激痛が走った。体だけじゃない、指一本動かそうとするだけで激痛が走る。仕方なく私は、自分の置かれている状況を少しでも理解しようと周囲を見渡した。まず、天井に目をやる。木造の天井。そのまま視線を天井の角へと動かす。そこに集まる壁はキャンプ場のロッジのように丸太が積み上げられている。目を動かせるだけ動かして、左右を見る。私の右手側には少女が出ていったわずかに開いている扉とそこから右に二歩ほど歩いた場所に3段のチェストが置かれている。それらは全て木製だった。眼球の動きに限界を感じ、左側へ視線をやる。先ほどから柔らかな光が差し込んでいたそこは、大きな窓が開いていた。大きな窓に二枚の薄いカーテンが掛けられ、日差しを和らげて部屋の中に届けている。
「ねえさま早くー」
先ほどの少女の声が聞こえてくる。彼女の軽い足音と、それよりも少ししっかりとした足音が少女の後ろから近づいてくる。その足音をしばらく聞いていると、少女が扉の影からこちらを覗いた。
「ほら、リー止まっていないで入って」
おちつた女性の声が聞こえる。少女の後ろから現れた彼女は、茶色のセミロングにシンプルなワンピース、そして白いエプロンを腰に巻き穏やかな顔をこちらを見ていた。
「目が覚めたのですね。よかった」
その声色は、穏やかで心の底から私の無事を安堵しているように感じられた。
「私、どうしてここに?」
私は彼女を見ながらそういった。
「覚えていらっしゃらないのですか? 近くの川辺に全身傷だらけで倒れてらしたんですよ」
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