第3話 決闘の始まり




翌朝、目が覚めたらもう既に正ちゃんは起きていた。


「おはようさん、誠。昨日はよく眠れたかい?」

「ああ、お陰さまで」


眠い目をこすりながらこたえた。


「そうか。そらよかったよ」


正ちゃんは嬉しそうだった。


すごく優しいせいかくなんだなとかんじた。


「そういえば今日はクラスと測定結果の発表だったな。正ちゃんはどう?」

「わしのクラスはC組やったよ。あとBランクやったよ」


携帯をみるとそこにはC組と書いてある。


測定結果も見てみると適合者ランクはBランクになっていた。


他にも魔力量はB+、魔力制御はB+、攻撃力はB、防御力はCランクとなっている。自分のことではないがホッとした。


「誠、君はどうやった?もう発表されてるやろ」


「ああ、いま確認するよ」


そういって俺はクラスとランクを確認する。


クラスはE組。クラスにはおかしいところはない。問題はそのあとだった。


適合者ランクはFランクだった。


魔力制御はAランクだが魔力量、攻撃力、防御力はいずれもFランクとなっていて力が弱いとすぐに分かる。


「は?」


なんだどうしたと正ちゃんが携帯画面を覗きこんだ。


「え?」


二人揃って携帯を見て唖然とした。


「誠って固有武装もっとるんだよね」

「いや。持ってないけど。」


おい。昨日の話きいてなかったの。この事実にもまた呆然とする。


「そうか。もってへんなら納得いくわ」

「というか、なんでこんなランク低いの」

「昨日の話聞いてへんかったの。測定は固有武装を使った状態で検査を受けるって言っとたよ」

「そうか。ならいいか」


別にいいというわけではない。


「ほな学校に行こうか」

「ああ。もう行こう」


どんな生徒がいるのだろう。ワクワクしながら学校へと向かった。



始業式終了後



1年E組の教室


「やあみんな、おはよう!私は覇王学園の学園長、そして1年E組の担任の神崎舞姫です。気軽に話しかけてきてね」


学園長の神崎舞姫は若く見えるが実際は41歳のおばさんだ。


「そしてE組には適合者ランクが低い人が集まっています。だけど心配はいらないよ。受ける授業は一緒だからね」


室内はざわめきから安心した声に変わる。


「学園内には序列があります。この序列は1年に1回の覇王剣祭、一ヶ月に1回ある模擬戦の結果によって序列は変わることがあります。そして序列によって施設の受けられるサービスが変わってきます。昼からは、学級委員長と係を決めます。それでは解散」


クラスの面々はみんなどこかへいってしまった。


俺もクラスを出た。すると、

「学園長、話があります」


前に会った女の子がいた。


「なんですか?エリスちゃん。話があるなら外でしましょう。」

「君も一緒にくるんですのよ」


3人で歩いて学園長室にはいる。




「それで話というのは?」


学園長は話の先を促す。


「今日の放課後、そこの彼と決闘を行いますわ」


やはりそう来たかと思った。


「決闘を行うには、先生がついていないといけないわ。それでもいい?」

「はい。構いませんわ」


決闘を行うつもりしかないのだろう。エリスと呼ばれる彼女は即答した。


「それで相手は?」

「そこの彼ですわ」

「分かったわ」


もう話が決まってしまった。俺に拒否権はないのかよ、という悲痛な叫びは心の中に留めておく。


すると学園長がこちらに近づいてきて小さな声で


「災難ね赤城くん。でも私としては気になるなキミのこと」


な、何言ってるんだこの人!


「だってあの人に言われて学園に入れたけど、昨日の測定結果を見る限りでは固有武装は持っていないし、魔力量が異常に高いだけのFランクなんだもの」


ぐぅ、ごもっともだ。返す言葉がない。


「キミにどんなことが出来るのか見せてもらうわ」


そう言うと歩いていった。








そして学級委員長は朝井という男に決まった。


「それでは明日から授業が始まります。明日から頑張りましょう」


今日はこれで終わりだ。


だけど一番大事なことがひとつ残っている。だから俺は闘技場に向かった。




そして闘技場。



俺が闘技場に着くと、もう既に観客席には西門正春が、下にはエリス=ラティアークと学園長神崎舞姫が来ていた。


「あら、おそかったわねぇ赤城くん」

「待ちくたびれてしまいましたわ」

時計をみると約束の時間を2、3分オーバーしていた。

「赤城くん、だっけ。君の父親って赤城栄二郎なんですって?」

「ああ、そうだけど。それがどうかしたのか?」

何故そんなことを知っているのか気になったが質問を飲み込んだ。

「それならどんな固有武装なのか楽しみですわね」

「・・・」

答える必要はないと判断し黙った。


「そう言えばキミってFランクよね」


「なぜそのことを」


「学園長に聞きましたわ。それで手加減の必要はないからと言われました」


ああー、ヤバイぞ。本気出さないとまける。


「だから本気出さないと負けますわよ」


こ、心の声を読まれた?


「分かりやすい人、顔にスゴイ出てますわ」


クッ、一言唸ると顔を真剣なものにした。

「二人とも準備はいい?それじゃあ固有武装を|幻装形態《ファクトフォーム》に替えてね」

エリスは自分の固有武装、|斬鬼《ニルヴァーナ》を胸から幻装形態で出した。俺は背中の剣を抜いて構える。

先に宣言しよう。これは固有武装ではない。普通の剣だ。

「それがあなたの固有武装?みたことないわね」

もう一度言おう。これは普通の剣だ。固有武装ではない。

二人の間に沈黙が流れる。その瞬間、誠一郎から、ものすごい量の殺気が流れ出る。


・・・な、なにこの人、すごい殺気。この殺気は今まで向けられたどの殺気よりも強い。本当にFランクなの?


この殺気を正面からモロに受けているエリス・ラティアークは、恐怖で汗が止まらない。


「それでは今から赤城誠一郎対エリス=ラティアーク、模擬戦を始めます」


と声が聞こえた。

「模擬戦・・・開始!」


遂に模擬戦が始まった。




続く










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