ラウンド3-3

 女(妹)をなんとかリビングまで運び終え、ソファに降ろす。

 服装をなんとかしてほしい俺は、女(妹)にブランケットを渡す。


『おにぃちゃん・・・』


「ん?」


『お腹さすって欲しい・・・』


「えっ!?なっ・・・なんでっ!?」


『お腹痛いの・・・おねがいー・・・』


「いや・・・でも、」


 俺が、ぐだぐだはっきり断れずにいると、女(妹)が俺の手を掴んで、自分の素肌に当てた。女の肌、しかもお腹を触ったのは、幼少期に母親のお腹を触った経験が記憶にあるが、何かが欠けている記憶だ。

 大人になってから、女性の肌に触れた記憶がない。俺が童貞というのは事実なのかもしれない。今そんなことはどうでもいい。この女(妹)が暴走する前に、何とか状況を変えないと・・・


 女(妹)が、俺の手を上下に動かし始めた。


「ちょっと、なにっ・・・」


『おにぃちゃんの手あったかくて気持ちい・・・』


「っ”!?・・・」


『ふぅー・・・ごめんね、ちょっとだけ、』


「・・・あのさ、」


『ん?なにー』


「そういう服装、やめてくれないかな・・・」


 俺は、今言ってしまわないと言えないままでいると思い、思い切って伝えた。


「俺がいないならいいけど、俺がいるときは、あんま、肌が出てる服装、」


『おにぃちゃん・・・』


女(妹)が、俺の言葉を遮って言った。


『それ、セクハラ?モラハラ?ジェンハラ?・・・全部アウトだよ?』


「・・・だな。でも、俺に対してもハラスメントだよね?今も、無理矢理、肌触らされてるし・・・」


『あー・・・あぁ、そっか・・・そーだね・・・ごめん、』


「わかってくれれば、いいよ。今後は、気を付けて欲しい・・・」


『うん、わかった。けど・・・』


((・・・けど?え?けどってなんだよ))


『本当は、ムラムラしてるんじゃない?』


 何を言い出すかと思えば、これだ。


「してるわけないだろ・・・」


『じゃぁ、もし今の状況で相手が妹じゃ無かったら、きっと襲ってるでしょ?』


「そんなことしない・・・」


『あ、ごめん。そうだよね、おにぃちゃん、女の人とそういう状況になったこと無いからね・・・』


「うるさい・・・」


『えっ!?まじ?図星なの!・・・いったぁー、』


 俺は、女(妹)の額にデコピンをした。


「そんなに元気なら大丈夫だな、」


『あぁー、待って待って待ってー!』


 女(妹)が俺の左腕をつかんで、俺を引き留めた。


『ごめんなさい、もう大人しくするから、もう少しだけ傍にいて、』


 俺は、もうこの女(妹)に振り回されるのは、嫌だった。


「部屋にいるから、何かあれば呼んでいいから、」


 そう言って、女(妹)の手を服から外し、リビングを出た。

 この時、女(妹)がどんな顔をしていたのか、俺は見ていなかった。


―――――――――

 部屋に戻り、ノートの続きを再開する。

 一通り書き終わり、ベッドに身を投げる。


「俺は、これからどうすればいいんだぁぁぁぁぁ!!!!」



 俺と女(妹)の同居生活に、光りは差し込むのか、それともこのまま闇に覆われてしまうのか!?



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