ブラコンライフ ー番外編ー

<妹のHBD>


 今日は妹の誕生日。

 俺は、この日が一番恐ろしい。

 祝いたい気持ちはもちろんある、だが、それよりも恐怖が勝ってしまう。

 

 ちなみに、同位に恐れている日が、俺自身の誕生日である。

 


 ブラコンが異常な妹の誕生日は、俺にとっては、1年で一番、妹の重すぎる愛を受け止めなければならない、いや、俺が妹に・・・つまり、一年に一回訪れる【シスコンの日】なのだ。


 俺は、妹というラスボスに食われるのだ。

 言うならば、”誕生日ケーキ”&”プレゼント”みたいな対象でしかなくなる。

 俺に拒否権がないこともないが、無いに等しい。


 一日は24時間。つまり、妹の誕生日も24時間ある。答えは簡単です。俺は妹に24時間拘束される。何が行われるかは、誕生日当日の妹の気分次第である。

 毎年、前日から妹の気合が半端ないことは感じている。

 俺も、色々と覚悟をしている。


 さて、今年の誕生日は、どんな日になるのだろうか。



 目が覚めたら、全身拘束されている俺。


 ((容赦ないな・・・おそるべし妹よ。))


 視界も何かで覆われていて、真っ暗だ。

 唯一、耳と口だけは、なにもされいていないことが救いだ。

 さすがに、呼吸は確保できるようにしてくれたようだ。


 だが、肝心の妹の気配がない。


 少し動いてみたら、ベッドから落ちた。


 ”どす”


 ((イタイ・・・))


 とりあえず、俺は今の状況を把握する。

 此処は俺の部屋じゃない・・・妹の部屋だ。

 何故、妹の部屋だとわかるのかというと、昨日の夜、妹の部屋に拉致られたからである。そして、なぜ俺が何の警戒心もなくこの部屋でスヤスヤと眠ってしまったのは、妹の仕業である。睡眠薬を飲まされたのだ。

 俺としたことが・・・。

 お風呂上がりのミネラルウォーター、一杯。

 

 つーか、こんなこと今までなかったし、前日の準備段階から巻き込まれるなんて想像してないし、思わないし、睡眠薬飲まされるなんて思わないだろ?ただの睡眠薬でよかった、とかそういうことではない。まぁ、もういい。とりあえず、最優先はこの拘束を解いてもらうことだ・・・


 痛む体に悶えながら、この後の作戦を考えていると、足音が近づいてくるのが聞こえてきた。

 

 ”ガチャ”


『あっ、おにぃーちゃん!!』


「おう。」


『落ちたの!?大丈夫?』


「あ、うん。地味に痛いけど、大丈夫。」


『はい、つかまって、立てる?』


「ありがとう。というか、これ、拘束ほどいてくれないのか?」


『うん。まだほどいてあげられないの。もう少しこのままでいることになるけど、ちゃんとサポートするから心配しないで。』


「そっか、わかった。」


 妹は、俺をベッドに座らせた後に、隣に座って何かを始めた。


「あ、そうだ。お誕生日おめでとう。」


『わー!ありがとう!!ふふふっ♪』


「それで、今日はどうすればいいのかな?」


『今日一日、おにぃーちゃんは、妹のことだけ考えてほしい。』


「うん、わかった。」


『それと、妹の言うことは絶対にきくこと。』


「あぁ、できることならなんでもするよ。」


『できないこともあるってこと?』


「それは、まぁ、そうだな。」


『たとえば?』


「誰かを悲しませたり、キズつけたり、苦しませること、とか?かな。」


『そんなこと、お願いしないから安心して!』


「うん。」


『じゃあ、今日は特別な日なんだから、いつもの1000倍くらい、妹を愛してね。おにぃーちゃん。』


 そう言うと、妹は、俺の頬にキスをして、抱きついた。


((さて、俺は、生きて帰れるだろうか。))


 この後、一年で一番長い、長い、戦いが始まるのである。



 ブラコンが異常な妹の誕生日の件について、ちょっと聞いてくれないか。


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