ブラコンライフ03

<平日のモーニングルーティン ~ver 妹が起きている朝~>


 俺より先に妹が起きていることもある。

 寝ぼけていない、ブラコンを拗らせている妹の朝のスキンシップは、どんな目覚ましより効果抜群である。この俺が、身をもって実体験している。

 初めは、夢か現実か、全くわからないし、寝起きで頭がまだ寝ているのにもかかわらず、理解できるほうがおかしいと思うが、この生活にも慣れて、やっと状況を理解できるようになって、妹の対応にもやっとうまく立ち回れるようになるが、妹もただの妹ではなかった。思わず感心してしまうほどに、ブラコンを異常に拗らせた妹は、パターン化にやっと追いついた俺に対抗するかのように、変化球を投げてくるようにもなっていた。


 もう、もはやルーティンではない別物になっているが、この変化球も含めて俺のルーティンなのだ。


 妹が先に起きている俺の朝は、戦いそのものである。

 戦い方がわかると楽だが、戦略を立てても全く勝ち目がない、そんな時もある。

 とにかく、絶対に勝てる手段を見つけるのではなく、いかに短時間で的確に終わらせるか、戦いに持ち込まないことが最優先である。

 唯一、一つだけ、一番無難で、8割くらいの確率で終わらせることのできる方法を俺は見つけたのだ。


 それは、”妹を抱き枕みたいにぎゅっとハグする”という方法である。

 この方法は、寝ぼけてても、会話をしなくても、一番何も考えずに、疲れることもなく、妹を黙らすことができ、戦う必要もなくなる最強の技なのだ。


 この方法が通用しない時もあるが、その時は、その時だ。


 俺は、アラームが鳴る前に体に違和感を感じて、目が覚める。

 妹は、右、左、もしくは俺の上に馬乗りになっていたり、背後、その日によって違う場所にいる。

 もちろん、場所は俺の部屋、俺のベッドだ。


 妹の服装は、スケスケの服だったり、ショートパンツにTシャツとか、なぜか下着だけだったりとかもあるし、もこもこの服のときもある。


 俺が違和感を感じて目が覚める前に、妹が大人しく何もしないで、俺と添い寝しているだけで済むはずがないことは、俺の乱れた寝具を見れば一目瞭然である。

 でも、俺は寝ていて、正直何をされているのか詳細がわからないから、説明できないし、もしかしたら、妹は何もしていない、ということも0・1%くらいの希望も無きにしも非ずだ。

 まぁ、この疑問については考えることを遠い昔にやめた。

 もし、万が一、何かある事実を知ってしまったら、俺はもうどうしたらいいかわからず、きっと、身も心も壊れてしまう気がするからだ。

 この話はここまでにして、話を進めよう。


 起きれば、おはようのハグをして、まだ寝ぼけいている俺の頬に妹が軽いキスをする。妹にやめるように言ったことはあるが、もちろんこの異常にブラコン拗らせた妹がやめるわけがない。あぁ、わかっている。


 妹が朝ごはんを用意してくれるその間に、俺は手洗いうがいと洗顔、シェービングを済ませる。


 リビングへ行くと、テーブルの上に朝食を運ぶ妹がいた。

 食べる前にコップ一杯の水を飲む。

 

 テーブルに朝食を並べ終えた妹が席について、一緒に食べる。


【いただきます。】


 今日は時間があまりない。そのためシリアルと牛乳で済ませる。


 基本的に朝は食べる派の俺と妹。

 余裕のある時は、主食、主菜、副菜、意外とちゃんと食べる。

 食べる時間がない時は、バナナとヨーグルトとか、スープだけとか、そんな日ももちろん一緒に食べる。

 妹は、基本的に俺と同じものを食べる。理由はわからないけれど、きっとこれもブラコンのせいなのだろうと、勝手に思っている。正しい回答は妹に聞いてくれ。


 朝食を食べ終えたら、出かける支度を済ませ、いざ、出発。

 朝、起きて活動的な妹の見送りは、玄関までではない。通勤途中のある場所までついてくる。


 さすがの俺も、外でハグをするのはかなりのエネルギーを消費する。人通りがあまりない場所、時間、だが、やはり、公共の場という重すぎる現実。

 それなのに、妹は何の躊躇いもなく、いつも通り、いってらっしゃいのハグをかましてくる。本当に恐ろしい妹だ。


 俺のメンタル鍛えられてる。いろんな意味で・・・。



 と、まぁ、こんな感じで、俺の1日が始まるパターンもルーティン化している。


 妹のブラコンが異常じゃない、とか思う奴は、ただ、お前がシスコンなだけだと思う。(なんか、ごめん。軽蔑ではないけど別に褒めてもないし、羨ましくもない。)


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