ブラコンライフ 01
<平日のモーニングルーティン ~ver 妹がまだ起きていない朝~>
365日、朝から異常なブラコンである妹に、愛される兄の気持ちをちょっとだけ聞いてくれないか。
朝起きると、まず御対面するものが妹です。
俺の上に妹が乗っていたり、隣で体を絡ませてすやすや寝ていたりします。いつ潜り込んでいるのか気がつく時もあれば、気がつかない時もあります。妹が寝ている場合は、そのままそっと寝かせたままにします。なぜなら、妹の寝起きは最悪だからです。珍しく俺より先に起きている時もあります。その場合は、頭を優しくそっと撫でてあげましょう。
今日は、まだ隣ですやすや寝ているので、そのまま妹を放置し、俺は顔を洗い、歯磨きをして、コップ一杯の水を飲む。この一連の動作を行い、ソファに座り、今日の予定をチェックする。
「今日の予定は、打ち合わせがあって、それから~・・・」
予定を確認した後、朝食を食べ、支度を終える。
書類の確認をしている頃に妹が起きてきた。
まだ寝起きの妹は、あくびをして、ふらふらしながら俺に抱きつく。
『はぁ~・・・おにぃーちゃん、おはよ~・・・』
「おはよ。よく眠れたか?」
俺は、妹の頭を撫でながら、挨拶を交わす。
妹は、うん。と返事をした後、そのままソファに向かって横になった。
時刻を確認すると、そろそろ家を出る時間になった。
「じゃぁ、行ってきます。」
『あっ、待って、おにぃーちゃん。』
妹に呼び止められ、俺が振り向くと、ソファで横になっていたはずの妹が勢いよくジャンプし、そのまま抱きついてきた。
「えっ、ちょっ!!」
『忘れてたでしょー!』
「忘れてないよ。ソファに横になっていたからそっとしておいたほうがいいのかなーって思って・・・」
『そっか・・・忘れてたわけじゃないんだね?』
妹の機嫌が拗ねる前に、俺は妹と目線を合わせるようにしてしゃがみ、微笑みながら頭をやさしくなで、ほら、と言いながら両手を広げ妹をハグする。
((朝から何やってんだ、俺は。))
今日は、寝起きだったこともあるのか、機嫌を損ねることなく事なきを得た。
俺レベルになれば、このくらいの対応は朝飯前。
「あ、そうだ。朝ごはん用意してあるから、良かったら食べて。」
『うん、わかった。ありがとう。おにぃーちゃん。』
「どういたしまして。あーごめん、もう時間だから行かないと。」
『うん、行ってらっしゃい。気を付けてね。』
「行ってきます。」
妹との朝のコミュニケーションを終え、仕事へ向かう。
出かけるときの恒例イベント。俗にいう、同棲、新婚カップルが憧れるシチュエーションとか言っていたり言ってなかったり、実際にやっていたりやってなかったりするアレの兄妹版である。
まぁ、キスではないだけまだなんとかやっている。
唇はない(はず・・・)が、時々、頬とかに一方的にされることもある。もちろん、俺はしない。
正直、ハグもやりたくない。なんてこんなこと、妹には口が裂けても言えないが・・・。
行ってらっしゃい、行ってきますのハグをいつからやっているのかわからないが、妹と必ずすることになっている(らしい)。もちろん、おかえり、ただいまのハグもある。なんなら、おはようのハグ、おやすみのハグだってしている。これについて、俺はもう何も感じなくなっているのだが、俺はもう手遅れなのだろうか。妹に洗脳されて、普通の男ならドキドキすることも、ドキドキしない俺は、もう手遅れなのだろうか。でも、きっと相手が妹だから何も感じないのは当然だと、そう思うようにしている。
たとえ、俺と妹が本当の兄妹でもなく、血の繋がっていない全くの赤の他人だとしても、俺と妹が家族であることは事実だから。
妹の異常なブラコンのせいで、おかげで?女性とのトラブルが起きないのはありがたいが、そもそも、俺に異性と交流があったとしても、全て男女の関係になることが、ほとんど起こりえないのだ。その原因が、妹に握られているとは、俺は知らずにこれまで生きていた。女性とドキドキするシチュエーションにまで事が発展しなかったり、それとも、俺が鈍すぎるのか、ドキドキするシチュエーションというものが、どういうものなのかわからなくなっている。
この妹の異常なブラコンの件について、兄としてどうにかしたいと切実に思っている。
以上が、ブラコンを異常にこじらせた妹がいる俺のモーニングルーティンだ。
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