第7話トラ船長と宇宙の雲③~雲の正体

 話はさらに続きました。

「その後、我々の星は膨張した太陽に飲み込まれて消滅してしまった。なくなった星の周りにたくさんの精神が集まった。我々はいつも集まっては過去の思い出などをいろいろ話し合っている。しかし、からだはなく、どこかへ行くこともできないし、将来の展望もない」

「我々の目的は一つ。この近くを通る宇宙船とコンタクトをとり、かつて惑星移住をめざして旅立った先人たちが、またここに帰ってきていないか確かめるためだ。同胞であれば話を聞かせてほしいのだ」

  しばらく聞き入っていたトラ船長が答えました。

「ボンタを調べてわかってもらえただろうが、俺たちはあんたらの同胞でもないし、仲間も知らねえな。たまたま通りがかっただけさ」

 すると、マタタビ号を取り囲んでいた雲はひいていきました。トラ船長もラットも腕が動くようになりました。

 いすにうずくまっていたボンタはウーンと言って目を覚ましました。

「どうしたんだろう、誰かとなにか話をしていた気がする」

「寝言だけど、おもしろい話だったよ」 

「さあ、いこうか。ラット準備はいいか。マタタビ号、全速力で発進」

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