第六十一話『土剣 - マッドソード』

「手に入れたスキルをいろいろ試してみるか!」

と僕は微笑んだ。

そう、僕は、前回の戦闘でいくつかスキルを手に入れていたのだった。

僕は、キングゴーレムから手に入れたスキルを発動させた。


『土剣 - マッドソード』


すると、土で出来た剣が発現した。

手を伸ばして、スキルが発動していいように構えていた。

しかし、それは、思っていたよりも、あまりにも大きかった。


「でか!」


そう、これは僕の身の丈くらいある、巨大な剣だった。

僕はその剣を構えていた。

大きく構えていて良かった。


何にもぶつかることなく、自動で、手に握られる形で発現した。


「さすがに、キングゴーレムが使っていた剣よりは小さいんだけど・・・これは、斬るために使うというより・・・」

と、言いながら、僕はサンドバッグに向かって振り下ろした。


ブオン。

風を斬る大きな音がする。


ズガン

そして、土の剣が、木のサンドバッグ、土に埋まった丸太に当たった。


そして、たった一撃で『潰した』!

ぐにゃっと、潰れて最初の丸太の形を失って、子どもの粘土細工みたいな形になった。


「・・・叩き潰すためのスキル、だ」

と、『土剣 - マッドソード』を振り下ろして、呟いた。


そう、それは、剣というよりはハンマー。

斬るというよりは、叩き潰す。

そういう、根本的な力を利用するスキルだった。


そして、その振り下ろした剣を持ち上げると、おっとっと、とよろよろとしてしまった。


「わ、すごいね〜!」

と、ヒカルが言う。


「あ、壊しちゃった」

と、潰れてしまった、木の丸太を見て僕が言った。

今までのスキルの中で一番原始的な、力を利用したスキルにより、丸太は潰れてしまった。


「いいの、いいの!壊すためにあるんだから!」

とヒカルが言う。

とは言うものの、壊す度にお金も掛かるんだろうなぁ、と少し心配になるのだった。


「しかし、なかなか、男らしいスキルだな・・・」

と僕は言う。


そう、力を基本としたスキル。

体力に自信がない僕には向いていない。

こんな重いもの持ち上げ続けようとしたらプルプルしてしまう。


今回は目標が動かないので、当てることが出来たけど、動きまわる敵にあてられるとは思えない。


「これは僕には向いてない感じがする・・・。体力自慢の人向けの、スキルっぽいなぁ」

「そうねー。男らしいキングゴーレムさんが使ってたしね〜」とヒカルが笑った。

そう、僕の何倍もマッチョな、キングゴーレムさんにはピッタリなスキルなのだったが、僕には扱いが難しい。

僕にはもうちょっと軽くて小回りが効くようなスキルがありがたい。


僕はこの重くて扱いにこまる『土剣 - マッドソード』をキャンセルした。

シュッ、と土の剣は消えた。


「これは、難しかった。次行ってみよう!」

と、僕は、キングゴーレム戦で手に入れた、二つ目のスキルを発動させた。

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