第四十二話『速突 - ラピッドスラスター』

「た!倒した!!」

と、僕は言った。

そう、『速斬 - スピードスラッシュ』は持ちナイフでも使えたのだった。


「や・・・やった・・・」

なんとか倒した。


かなり危ない所だった。

ゴブリンを倒したと勘違いしていたところ、ゴブリンが最後の力で攻撃してきたのだった。


「ちょっとタカシ!!」

とニコが怒っている。


「ダメじゃない!油断しちゃ!相手はモンスターなのよ!一瞬の油断で死ぬのよ!!もう目の前で人が死ぬのはイヤよ!」

ニコは本気で怒っている。


目の前で?

そういうことがあったのか・・・。

たしかに、この街ならあり得る・・・。


「そうよ!ダメだよ!タカシくん!」

とヒカルにも注意された。


そう、この街ではそういうことが、起こりえるのだろう。

だからこそ彼女たちの日々のトレーニングがあるのだ。

それを避けるためのトレーニング。それが彼女たちの日常なのだ・・・。


「悪かった。気をつけるよ・・・」

と僕は、心から思った。


防衛隊の僕らが死んでは元も子もない。

なんのためにトレーニングしているのか・・・。

深く反省したのだった。


「でも、最後の一撃はなかなかよかったわね!」

とニコは笑った。


最後の一撃とは『速斬 - スピードスラッシュ』を持ちナイフで発動させ、ゴブリンを倒したことだろう。

使えたのはたまたま、だったが『速斬 - スピードスラッシュ』は持ちナイフでも短剣でも使えることが分かった。

これは大きな収穫と言えるだろう。


<<新しいスキルを獲得しました>>

と天の声が聴こえる。


「お?また??」

と僕が呟く。さっきスライムを『速斬 - スピードスラッシュ』を手に入れたばっかりだったからだ。さらに、ゴブリンを倒して新しいスキルが手に入ったらしい。


なんだろうか。


<<速突 - ラピッドスラスター>>

と天の声が答える。


「ラピッドスラスター??」

と、僕は呟く。


ラピッドは速いとか、急にって意味だっけ?

と、学校で習ったことを思い出す。

異世界ではなく、元いた世界の学校の方だ。


「速い・・・突き・・・か」

僕は呟く、それは良さそうだ。


「試しに使ってみよう」と僕は言い。

スキルを発動した。

本番でいきなり試すのはできるだけ避けたいからだ。

さっきみたいにたまたま、持ちナイフでも『速斬 - スピードスラッシュ』が使えた、みたいな奇跡にたよるのは危険だからだ。


『速突 - ラピッドスラスター』


高速で、持ちナイフを『突いた』。


「やっぱりこういう技か!これはいいな!」

と僕は喜んだ。

思った通りの突き技だった。

これはかなり便利な技といえるだろう。


「それはいいわね!」

とニコも微笑んでいる。


これでかなり攻撃の幅が広がった。


剣士用のスキルも、アサシン用のスキルも手に入った。

リオンのように、相手の懐に入り込めたら、そこから『速突 - ラピッドスラスター』で高速攻撃が出来る。


「これは楽しくなってきた!」

と僕は微笑んだ。

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