第85話 ほとほと人生に疲れた
やあ、おいらです。
もう、おいらは世間様のお役に立てない、ポンコツなんでございます。どこの企業も、五年間ブランクがあって、緊張症で手が震える。震えどめを飲んでも震えが止まらない。資格といってもペーパードライバーの普通自動車第一種免許と、ほとんど使い物にならない図書館司書なんてどうでもいいものしか持っていないおいらを必要としてくれるところなどないんです。それはわかっている。わかりきっている。それでも、最後の望みで、生活困窮者自立支援制度を利用して、専任のジョブトレーナーについてもらって、面接に行ったのが某O社という大型スーパー。サービスコーナーで案内を請うと、キム兄みたいな店長代行という男性が現れるわけです。キム兄が出てきた瞬間に、おいら詰んだと思いました。こういう顔の人は鋭いんです。おいらの履歴書から不審な点をあぶり出し、字の乱れから、手が震えることを看破した。でもさ、緊張して手が震える人は全員、社会から見捨てられるのかなあ?
それに、シフト自由と求人票に書いてあったのに、今は夜しか空いていないと言われました。嘘つきです。などと、なんじゃかんじゃと言われましたが、おいらもうここには就職したくなくなったので、話半分に聞いていました。
さて、面談も終わり、出て行こうとすると、なんということでしょう。この店、何かしらお買い物をしないと外に出られない構造になっているのです。これって変でしょう? おいらは仕方なく、食パンとチョコデニッシュ、カレーパンを買って脱出しました。「もう、この店には一生来ない!」と心に誓いました。
それから、家に帰って、ハローワークの人に無理言って、お断りの電話をしてもらいました。本当はおいら自身が電話したほうがいいと何度も言われましたが、おいらはキム兄が怖くて、電話する勇気がありませんでした。まあ、電話しなくても採用されなかったと思います。
そして、先頭に戻ります。
おいらみたいな、手に職のないオヤジには、やれる仕事なんてないんだ。生活保護を受けるか、ホームレスになるかのどっちかなんだなと強く思いました。役所を頼れば、何もかも上手くいくと思ったおいらが浅はかでございました。
ハローワークに求人票を出す会社もブラック。仕事探しをする人も、訳あり。win-winの関係なんかできっこないんだ。
そういうわけで、おいらの脳裏にはアレがよぎります。
人間はなんで自殺してはいけないんでしょうか? 生きるためには、ヤミ金に手を出してもいいんでしょうか?
眠くなったので、ここまで。さようなら。
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