第59話 ご苦労さん
やあ、おいらです。
あーちょっと酷いな、このところのPVの数。このエッセイの打ち切り危険水域はPV一桁だけど、前話が10PVに届いていない。番組編成委員会が動き出す気配だ。今度こそ、水沢舞子にMCの座を奪われかねないわ。
対策を考えよう。そうだな、カクヨムの全読者に『ぺこり通信』を印刷して配ろう。印刷はA社に頼んでと。A社にはデザインの作成だけを依頼して、実際の印刷はB社に頼もう。お代はどうする? そりゃあもちろん、政務活動費を申請してもらうまでだ。だって僕は神戸市議だからね。国会議員のIさんとラブラブな寝顔ツーショットを撮られちゃったけど、これも有名税、有名税。「一線は越えていません」って汗だくで弁明すれば「あの人、スワローズの雄平に似てるわね」とか言われて、社会的知名度大アップ。逆に人気出ちゃうかもな。
ああ、政務活動費が振り込まれたわ。『ぺこり通信』印刷しなくちゃ。枚数はどれくらいにしようかな。七百万部? おいらのフォロワー70人だぞ。あと、大御所に配るとしても百枚あれば足りるな。それだったら、自分でIllustratorで作っちまった方が早いな。チョチョイノチョイっと。できちゃった。さあ印刷だ。Canonのプリンターはインクを大量消費するからな。ヨドバシカメラでインクタンク買わなくちゃ。もちろん政務活動費でね。
さて印刷だ。早い早い。もう百枚印刷できたよ。でもさあ、おいらのフォロワーの人の住所、誰も知らない。市議のくせにTwitterもやっていないから、個別の連絡が取れないや。まあ、いいか。おいらが自力で配ったことにしよう。七百万部。朝まで頑張って配りましたって言えばいいだろう。ああ、領収書の問題があるな。A社の社長に空の領収書作ってもらおう。ついでに、週刊門松から疑惑の追及があった時のための問答集、メールで送っとこう。B社には印刷は確かにしたと言ってもらおう。古くから、おいらが信用している人間だ。うまくごまかしてくれるだろう。
ええっ、A社の社長が裏切っただと。なんだよ、おいら信用していたのに。問答集をマスコミに公表しただって。なんて日だ! それに比べてB社長は男気を守ってくれた。でも、もうダメだな。政務活動費は返却します。そして三日間の熟慮の上、神戸市議を辞任します。だからお願いです。I議員と結婚させてください。ハワイで結婚させてください。できれば政務活動費を使って。馬鹿言うなって? もともと馬鹿が議員やってるんだから、仕方ないよ。選んだ国民が悪いんだから。
※今日もフィクションです。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます