第50話 血戦?

 やあ、おいらです。


 今日は、なんだかよくわからない、おいらと水沢舞子のディスカッション対決の予定でしたが、とんでもないアクシデントが起こったのです。それは、

「おいらが眠れない」

と言うことです。そして眠れないと言うことは、あのラジオ番組をやらなくてはなりません。


『ジャパン放送 水沢舞子のてんてん、てんてこ舞い!』


♫(オープニング)♫


 みなさんこんばんは、女優の水沢舞子です。このエッセイの五十回記念日に放送ができるなんて光栄です。それに、今度のディスカッションでイニシアチブが取れるしね。ぺこりさんは眠れなくて、意気消沈、やる気もなくなり、地獄の底に落ちるだけよ。

「その言葉、撤回しなさい」

 あらぺこりさん、逃走したんじゃないの?

「なんでおいらが逃げるんだ。たまたま、眠れなくなっちゃたから番組を舞子に取られちゃったけど、おいらがMCだったら、日産スタジアムを抑えていたんだぞ」

 大げさな。小心者のぺこりさんに日産スタジアムは荷が重すぎる。

「そうなんだ。おいらには荷が重かった。スタジオの放送になって本当に良かった」

 案外正直ね。そろそろ畑道ディレクターがディスカッションを持って、スタジオに来るわ。あっ、きた。

「みなさんこんばんは、ディレクターの畑道三十郎です。今回のディスカッション対決の問題を持ってまいりました。ここに封筒があります。開けます。金の鋏です。切れました。封筒から問題の書いてある紙を引き出します。そしておもむろに読む。ええっ……」

 どうしたの? 畑道さん。

「おいどうした?」

「お題は……フリートークです!!」

 はあ? フリートーク。

「ジャパン放送は舐めてるのか? それなら、ジャパン放送の悪口を言おう。首都ラジオに負け続ける、万年二位!」

 脇が甘いからボリエモンに乗っ取られそうになるのよ。

「それから……」


(ここで突然、CMに入る。CMは三十分に及び、ジャパン放送にはクレームが殺到した。CMが全て、ACのものだったからである)


 ようやくスタジオの音声になる。

「さて、今回の対決、畑道感服しましたぞい。残念ながら、機器の故障でリスナーの皆さんにお伝えできなかったことが残念でなりません」

 じゃあ、再放送したら?

「そうだ、そうだ」

「それが残念なことに録音機器も故障してしまいまして……」

 都合いい!

「そんなことより対決の決着をつけてくれ」

「ええ、本来でしたら、リスナーの多数決で決めようと思っていたのですが、こんなような状態なので私が決めさせていただきます」

 安直!

「若造がおいらたちの運命を決めるのか?」

「そうですよ。では発表します。勝者……なし。両者反則負け。ジャパン放送終身出入り禁止」

 ええー。

「おいらたちの番組が消えてしまうのか?」

「そうです。とっとと荷物まとめて消えてください」

 舞子とぺこりはジャパン放送を追い出された。


 でも、安心してください。業界一位の首都ラジオが二人の境遇を知ってすぐにオファーをしてくれたのです。ですから周波数を124●から95●に変更するだけで、おいらのラジオエッセイが聞こえます。もちろん眠れない夜はおいらの代わりに舞子がDJを務めます。つまり、このエッセイは50話では終わらないと言うことです。100話まで頑張ります。

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