第46話 新ぺこりの酒場暴言記1

 「へい、いらっしゃい」


 やあ、おいらです。ヒック。

「ぺこりさん、はしご酒ですか? 酒に弱いんだから、よした方がいいですよ」

 てやんでい。コーラで酔う奴がどこにいる? 

「ここにいる」

 てへぺろ。

「まあ、立ってるのもなんだから、座ってください」

 客だから座るのは当然、よっこいしょ〜いち。

「昭和だねえ。なんにします?」

 ドクターペッパーと焼き鳥のハツ、せせり、食道、ホルモンのシロ。

「食欲、落ちました?」

 そりゃあ、落ちるよ。

「そりゃまたどうして?」

 気合い入れて(嘘)始めた新作がさあ、前作の六分の一しかPVいただけないし、大陸間弾道ミサイルみたいのが飛んできて、孫より可愛いエピソードを抹殺しなきゃならなくなったし、自分の作ったキャラクターに反撃されるし、さんざんさあ。カネも底をついたしね。日雇い労働しなきゃならない。いやだなあ。神とか仏とかはこういう時に助けてくれるんじゃないのかねえ。

「ぺこりさんは因業だから助けてもらえないと思いますよ」

 ドクターペッパーお代わり。

「へい、毎度!」

 それもこれもさあ、おいらが小説を書けなくなってしまったのが原因さ。『女優』で初めてPV1000超えたけど、どうもおいらの小説はウケが悪い。エッセイ・ノンフィクションならすぐ1000超えるのにな、今回の駄作もPV900だ。何が違うんだろう?

「エッセイストぺこりさんと小説家ぺこりさんの知名度が違うんじゃないですか? 顧客は作品ごとに新作を追っていきますからね。ぺこりさんは名前で売り出すほどの知名度がない」

 知名度ねえ。おいら逆フォロー爆だからフォローするの好きじゃないんだよねえ。

「どうして?」

 恥ずかしいから。

「子供か!」

 そうだよ。おいらは大きなお友達。オタクではないけれどね。嫌なことはかっぱくんに全部やらせている。

「自立してないなあ」

 みんな病気が悪いんだよ。あれで人生詰んだ。

「全然、病気には見えませんよ」

 心の病気は表に出ません。

「都合いいなあ」

 まあ、その話はやめよう。それより、水沢舞子をギャフンと言わせたい。

「例の小説は読んだのですか?」

 まだだ。他人任せセレクトだから、読めるかちょっと心配。その人のセレクトした短編は二本しかフェードアウトしていないから、信じるしかないね。

「いい小説があったらどうするんです?」

 500字から1000字で華麗にプレゼンテーションするんだ。だがなあ、相手は女優、表現力で勝てるかどうか?

「秘策は?」

 ある。

「どんな?」

 落語家の萬願亭道楽を使う。奴に独演会をさせるんだ。ウケるよ。

「そう、うまくいくかどうか」

 いかすんだよ。おいらはこの世界の創造者だよ。ヒック。

「もうそろそろ帰った方がいいですよ」

 焼きおにぎりが食べたい。

「へい、焼きおにぎり一丁! 食べたら帰って勉強するんですよ」

 わかったよ、大将。ドクターペッパーもう一本だけ。

「あいよ。しかし、自分の作ったキャラクターに反旗を翻されるなんて、どんだけ人望ないんだろう、この人」

 

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