第44話 全然読まれなくて、全然眠れない

 やあ、おいらです。


 今夜は眠れないということで、舞子ちゃんたのむわ。


『ジャパン放送 水沢舞子のてんてん、てんてこ舞い!』


♫(オープニング)♫


 こんばんは。三回目の登場、女優の水沢舞子です。今日はおいらさんことよろしくま・ぺこりが、不眠症で眠れなくなって寝込んでしまうという、どこかがおかしなことになって呼び出されました。契約だから仕方ないけど、あたし、明日朝イチでドラマのロケなんですよ。このままじゃ、あたしも不眠症になっちゃう。せめて収録でストックためてくれればいいのに。えっ? 録音だと臨場感が出ないですって。こんな夜中の、ポリシーもコンセプトもない番組なんか誰も聴いていないわ。

 で、今日のお題はなあに? 読まれない。そんなの答え簡単だよー。前作を辞めちゃうからいけないのよ。確かにね、PV爆受けたり、小うるさいフォロワーを本文で非難して追い出しちゃったりして、あんまりムードよくなかったね。でも追い出したつもりのフォロワー、別の作品にまだいるわよ。脇が甘いんじゃない? 加齢臭? まあなんでもいいや。ようはPVを増やしたいのね。簡単よ。本文説明欄に前作の続きですって書くのよ。そしたら全員は帰ってこなくても、多少はフォロワーさんが帰ってくるわ。なんで今までそれをしなかったんだろう?

 ここで一曲お届けします。ザ・フォーク・クルセダーズ 『帰って来たヨッパライ』


♫(演奏中)♫


(ジングル)

♫ま、ま、舞子のてんてこ舞い〜♫


 じゃあ早速、アシスタントのかっぱくんに本文を書いてもらいます。ほら書けた。人間じゃなくともできるのよ。かっぱくん、ご褒美にドクターペッパーをお皿にかけてあげる。

「炭酸飲料はべとつくんでいいです」

 逃げることもないのに。ほんのジョークだったのにね。かっぱくんて、ぺこり作品には結構出てるけれど、陽の当たらないところにいるわね。

「ディレクターの畑道です。かっぱくんはぺこりさんのなんですよ」

 この平和主義の時代に家来? アムネスティーにでも訴えればいいのに。

「でも人間じゃないですから」

 じゃあ、生類憐みの令?

「今、施行されてないんじゃないですか?」

 もちろん冗談よ。動物愛護法ね。

「はあ、でも妖怪って動物なのかな?」

 そうね、考えどころね。

「舞子さん、かっぱのことより、ウチの作品が読まれるアイディアを考えてください」

 簡単なことよ。

「ええっ?」

 あたしがメインになるの。ぺこりは現在、この作品にしか出演していないでしょ。あたしはドラマや、バラエティ番組に引っ張りだこ。

「そうなんですか? あんまりお見かけしませんけど」

 そ、そう? CSよCS放送が中心なのよね。

「本当ですか?」

 まあ、そういうことはいいんじゃない。とにかくあたしをメインにするの。

「一応、会議にかけてみますよ」

 そうしてね。さあ、文字数が尽きてしまいました。今夜はこれでおしまいです。あたしにメイン司会をしてほしいと熱望する方は応援メッセージにお願いします。でも、来ないわよね。

「本当に来たらビビりますね」

 ドキドキしながらお別れです。さようなら。

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