第16話 もう病気エッセイだね!

 やあ、おいらです。


 やっと火曜日です。病院に行ける日です。今朝は午前中は良かったんですが、午後から不安がパニックに変わり、なんとかこらえようと、ツボを押したり、本を読んで気を紛らわそうとしてみましたが、やっぱりダメで、レキソタン服用の道を進みました。

「こんな調子で、病院に行けるの?」

 別の意味でおいらは不安になりました。病院には歩いて行けません。本当のことを言うと二時間歩けば行けるんですけどね。この真夏にそれは無謀。そうすると、バスと地下鉄に乗らなければ行けません。広場恐怖って言葉知っていますか? 映画館とか公共の乗り物など、逃げ場のない場所に置かれると、おいら達、パニック障害の人々は恐怖を感じるのです。だから、バスとか地下鉄はけっこう鬼門です。

 おいらは考えました。バス×2。地下鉄×2。プラス予備6個。これだけのレキソタンを、つまり1シートもって行けば、発作が起こったときすぐに服用できる。大発作を未然に防げると考えたわけです。過度な服用は心身に悪い。わかっちゃいるけどやめられない。とにかくパニックを強引に押し込んで、平静を保ちましょうという作戦です。

 午後五時、おいらは家を出ました。もちろん、レキソタン、胃袋にインです。少し慌てたか、バス時間の十分前に着いてしまいました。ここで、痛恨のミス。レキソタンを忘れてしまいました。慌てて帰る、おいら。バカです。さらに、近所にいろはす、一本百円の自動販売機があるので、そこで水を買おうと思ったら、売り切れ。慌てて、冷蔵庫の麦茶を水筒に詰めました。幸先悪いスタート。でも、バスも、地下鉄も、薬なしに乗れました。成功体験。いいことだ。

 病院は最寄りの駅から二十分歩きます。歩くとパニックのことを忘れられます。汗だくで到着したら、患者さんは少なそうに見えました。しかしです。おいらはいくら待っても呼ばれません。そのうち、パニックが出ちゃって、レキソタン、投入。

 しばらく待ってようやく古賀先生に会いました。おいらは必死にパニックの恐怖を訴えました。その結果、アモキサンという抗うつ薬を処方されました。アモキサン? それって、意欲改善、下手すると躁病になるやつやんけ。それでいいのか? さらにレキソタンを180錠くれました。でも、この数量、普通は処方していけない数らしく、薬剤師さんが焦っていました。レキソタンは麻薬なんだなと思いました。


 で、うちに帰ってアモキサンを飲んで、しばらくたちますがなんも変わらない。果たして、パニック障害を乗り切れるでしょうか?

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