14、水久保の甚吉のはなし
三十年ばかり前のことだったといいます。
「どこに行ってたのだ」
「よく帰って来た、うれしいぞ、一体どうして生きていたのだ」
と甚吉の兄夫婦が聴いてみても甚吉は「ふしぎなことを兄たちは尋ねて来るものだ」といったふうで、目をうろうろさせて驚いているだけだったのです。
「潮に流されて、わしは二日ばかり難渋しただけなのに、妙なことを家族は言って来る、何だか居づらくなってしまった」
と考えたのか甚吉は、翌日の昼間にはぷいと家を去ってしまい、東海道に出て
そして海べりに行くと小舟に乗って沖に出て、やにわに海に飛び込んでしまいました。ふしぎなことには、その直後に沖から小さな
知っているあるひとは、甚吉は
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます