9、踊る魚のはなし
坂の下の屋敷の御長屋にいる
濠はなかなかに深く、中に入って探すというのも間々ならないので、ただそのあとを見ていることしか出来ませんでしたが、惜しく思ったのは、いんろうに入れていた
それから数日たって、お城の濠に不思議と赤くひかる魚が一匹、踊るようにまわって泳いでるのを見かけるという噂が出るようになり、お殿様までもがその見聞にお出ましになるという騒ぎにもなったそうですが、踊る魚の赤い色はまるで珊瑚珠のようだったといいます。
母野の父親は「あの珊瑚珠は魚が
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