6、盆の海のはなし

 盆の時期に海に出没するあやしいものに、妙ながいるといいます。

 足はまるで竹筒――火吹き竹のような――のようにまるくて太く、笠は真四角でおよそ五寸弱ほど。見た目もやや妙なものですが、それが足を水面から上に向けて立てて、はやい早さで右から左に、まるで子供がのおはじきをはじいて飛ばしたかのように、駆け抜けてゆくことがあるのだそうです。


 水面から帆柱のように立って出ている竹筒のようなまるいの足は、駆け抜けてゆく折りにきらきらと油を水に垂らした時のようなひかりを照らしながら揺れ輝いてゆくそうですが、私はまだそのようなものは見た試しは無く、どこの海辺にて見られたものなのか、いずれ知識のある人物に問いただして、じかに妙なを見てみたいものであるのです。






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